足を踏み入れ、違ったら軌道修正。この過程を楽しみながら
留学、課外活動、サークル、ボランティア、インターンシップ。夢をかなえるため、そして自分を成長させるため。大学でさまざまなことに挑戦した学生たちが語る入学から現在までの変化と成長を7つの対談から紐解きます。
大学での学びは、将来の大きな礎に
1年生の時はたくさんの科目を履修していましたが、その中でも経営学科の網倉久永教授の「経営戦略論」は印象深いですね。さまざまな企業の事例を扱いながら、どのような戦略を立てて商品を販売するのかという内容が面白かったです。この授業がきっかけで、経営戦略を扱うゼミを志望することになりました。また、「消費者行動論」も忘れられない授業の一つ。消費者の心が動く理由や、商品を知ってから購買するまでの流れなどについて学ぶことができました。自分のキャリアを考える上での礎になった気がしています。
私が卒業したのは2001年で、就職氷河期の真っただ中。大学を卒業する人の20%ほどが新卒で就職できなかった時代です。人の心を動かす仕事にはメディアが大きく関わっていると思っていたので、当時の私は広告代理店を第一志望にしていました。やりたいことしかしたくないという性格ですから、広告、テレビ、出版社に絞っていたんです。落とされ続けて大変でしたが、メディアへの興味は失いませんでした。
幸い、小さなイベント会社から何とか内定をいただけましたが、広告代理店をどうしても諦め切れずに求人を探していた時に、中途採用の記事を見つけたんです。私は新卒でしたが、イチかバチかと思って応募。4年生の9月だったので、基礎化粧品のEC化をテーマに各ブランドの利益シミュレーションも交えて書き終えたばかりの卒論も同封し、マーケティングの業務をどうしてもやりたいと熱意をぶつけました。
そうしたら、応募先企業のマーケティング局の方が気に入ってくださり、新卒の方と一緒に中途採用として4月から入社ということになったんです。
強い好奇心が、新たな可能性へと導く
広告代理店のマーケティング局で扱うものは企業の商品やサービスなので、各業界や競合商品を調べるのが主な仕事。好奇心が強い私は、楽しさを感じていました。ただ、新入社員の時にさまざまな部署を回った際に、雑誌局でクライアントの記事広告の制作に関わり、今度は雑誌制作に挑戦したいという気持ちが芽生えたんです。
結局、広告代理店を1年半ほどで辞め、ウェディング関連の雑誌を作る出版社に転職しましたが、実際の業務が想像していたものとギャップが大きかったんですね。記事広告の特性上、自分が思うように編集することが出来ない難しさも感じました。特定の商品やテーマだけを扱うよりも、多種多様な商品やサービスを扱う方が楽しかったと改めて感じ、2年ほどで以前の会社に戻ったんです。
派遣契約でしたが、その時もマーケティング職。そこから12年在籍しました。視聴率や購読率のデータを見ながら予算内で最大限の効果が得られる広告媒体の配分をシミュレーションする仕事に取り組んでいました。そこでデータの集計や加工をしているうちに、統計学への関心が高まってきたんです。
現在の勤務先に、正社員として入社したのが数年前。さまざまな企業のダイレクトメディアによる広告(DM)を扱い、どんなターゲットやエリアに配布すべきか、施策を練っています。さらに、申し込みや購入に至ったレスポンスのデータをもとに、次の行動を促す仕事をしています。
ダイレクトメディアの面白さは、結果が数字で見られること。一方で難しさもあり、分析の手法や結果、新たな提案をクライアントに分かりやすく説明できないといけません。そのため、独学では限界を感じて大学院への進学を決めたんです。ちょうど上智にデータサイエンスを学ぶ大学院が開設されるタイミングだったので、1期生として四谷キャンパスに戻ってきました。
入学前はデータ処理などを徹底的に勉強するのかと思っていたのですが、ビジネスの現場で役に立つデータ分析など、マーケティングの現場で必要な実践的な授業が多くて、よい意味で裏切られました。今後、自分が決めた課題に取り組みますが、この商品を買うのはどういう人か、何と比較して買ったのかという心の動きを見て、その裏付けとしてデータを活用する研究をしたいと思っています。
デジタル化や生成AIの急速な発達で、今はどんな業界も大きな変化を迎えています。仕事の内容もこれまでとは大きく変わっていくでしょう。どのように成長できるかは自分次第。キャリアを重ねる過程で変化していく自分も楽しめたらいいですよね。
※この記事の内容は、2023年10月時点のものです。