世界的に著名な指揮者 レナード・スラットキン氏が来校しました

12月17日、世界的に著名な指揮者レナード・スラットキン氏が、上智大学管弦楽部の学生たちに特別指導を行いました。

NHK交響楽団との演奏のために来日中のスラットキン氏が、本学11号館7階の練習室で約2時間にわたり指導したのは、管弦楽部が12月の定期演奏会で披露するベートーヴェン「交響曲第9番」。

この機会は、同部の指揮者・金山隆夫氏がかつてセントルイス交響楽団でスラットキン氏の指導を受け、その後も親交を深めてきた長年の絆によって実現したもので、スラットキン氏が本学を訪れるのは3年ぶり。
来日中、多忙なスケジュールにもかかわらず、学生たちに熱心な指導を行いました。

3年ぶりの再会に、約100名の部員は緊張と喜びの中で演奏を重ね、巨匠のアドバイスにより音楽にさらなる輝きを加えました。

休憩時間には、スラットキン氏の周りに学生たちが集まり、サインや記念撮影に応じてもらったり、演奏について質問を投げかけたりと、緊張感のある練習中とは異なる、和やかな雰囲気に包まれていました。

練習終了後、スラットキン氏は学生たちに語りかけました。

「本番で大切なことは二つあります。一つ目は、音楽を信頼し、舞台に立ったら自然に流れに身を委ねること。自分たちが準備してきたものを信じ、演奏そのものを楽しんでください。そしてもう一つ、特にこの作品において重要なことがあります。

私たちは日々、世界で起きている困難や不安定さを否応なく知ることになります。良い知らせよりも、重たい現実に向き合わされることの方が多いのが、残念ながら今の時代です。

しかし、コンサートホールには音楽があります。ベートーヴェンがこの作品で描いているのは、人と人が集うこと、友情の精神、そして音楽を共有する場そのものです。コンサートでは満員の客席が皆さんを待っています。お客さんは、日常から一歩離れ、ニュースやデジタルの世界を忘れ、65分間、音楽に身を委ねるためにここに来ています。それは決して小さなことではありません。私たちには、ほんのひとときでも、人の心を解放し、人生を少しだけ豊かにする力があります。

皆さんが将来どのような道を選んだとしても、今こうして音楽を演奏している時間は、「これ以上に意味のあることはない」と胸を張っていい時間です。人が集い、同じ空間で音楽を共有する――これは他のどんな職業にも代えがたい、音楽だけが持つ力です。

どうかこの時間を大切にし、舞台の上で音楽と真摯に向き合ってください。そして心から演奏を楽しんでください。」

このメッセージを胸に、管弦楽部は12月21日、満員のサントリーホールで素晴らしい演奏を披露しました。その音楽は、スラットキン氏が語った「人と人が集う力」を体現するものとなり、会場にいたすべての人の心を温めました。

演奏指導を受けた部員からの感想コメント

チェロパート 小長井 冴希さん(理工学部機能創造理工学科1年)

「スラットキン先生の練習では、音を出す以前に「音楽をどう捉えるか」を深く考えさせられる時間でした。大学からオーケストラを始めた私にとって、作曲者の意図を理解し、それを演奏に落とし込むという考え方はとても新鮮で、音一つひとつに意味を持たせる意識が生まれました。実際の合奏では、指揮や周囲の響きを感じ取りながら演奏することで、自分の音が全体の中でどのような役割を持つのかを考えるようになりました。また、自分のパートだけに集中するのではなく、周囲の音を聴きながら演奏することで、オーケストラ全体として音楽が形づくられていくことを実感しました。先生の指導を通して、音楽は完璧さを追い求めるものではなく、喜びやつながりを分かち合うものだと感じました。学生のうちにこのような貴重な経験ができたことは、今後の演奏や音楽への向き合い方に大きな影響を与えてくれると思います。この学びを今後の練習や本番でも大切にしていきたいです。」

上智大学 Sophia University