コソボ共和国のヴィヨサ・オスマニ・サドリウ大統領が来校し、学生向けに特別講演を行いました

講演前に理事長、学長らとご挨拶

6月13日、コソボ共和国のヴィヨサ・オスマニ・サドリウ大統領が上智大学を訪問し、2号館国際会議場にて特別講演を行いました。

司会を務めた小松教授

この講演会は、大統領の来日に際し、駐日コソボ共和国大使館からの提案を受け、 総合人間科学部教育学科の小松太郎教授が調整役を務めて実現したものです。当日は学生や教職員を含む約200名が参加しました。講演のテーマは「21世紀の民主主義を守る―コソボからの教訓―」で、冒頭に杉村美紀学長が歓迎の挨拶を述べた後、小松教授の司会進行のもと進められました。

オスマニ大統領は、紛争を経て2008年に独立を宣言し、現在も民主的な国家づくりに取り組むコソボの経験 をもとに、民主主義を守るための3つの重要な教訓を共有しました。それは、民主主義はすべての世代が日々選択し続ける「決断」であること、持続的な平和には「正義」が不可欠であること、そして民主主義は人々に「成果」をもたらさなければならないということです。

聴衆に熱く語りかけるオスマニ大統領

また、大統領は自身の抑圧と解放の経験を踏まえ、「民主主義、正義、平和、そして自由には価値がある。自由は、あらゆる犠牲を払う価値がある」と力強く語り、「日本の皆さんとともに、それらを守るために戦うことをやめない」と熱意をこめて述べました。

質疑応答では、オスマニ大統領は若者の課題や教育が果たすべき役割についての質問に答え、コソボの若い人口構成を活かすための教育投資や、国外への人材流出の防止や地域の発展につながる 雇用機会の創出の必要性を強調しました。また、紛争後の和解 に向けた教育の役割についても触れ、真実を語ることや過去に向き合うことの必要性を訴えました。

さらに、大統領は女性リーダーとしての経験や若い頃の政治活動についても言及しました。民主的で独立した国を守るために、世界中のパートナーと協力し学び続けてきたこと、そして自由を享受する世代には特権と責任があることを述べ、「自由は他のすべてを達成するための強い動機を与える」と深い思いを込めて語りました 。

参加した学生たちからは「民主主義は一度きりの決断ではなく、毎日何度も何度も繰り返し決断され、すべての世代によって下されなければならないこと、という話がとても印象的だった」「とても感動しました。貴重な機会をありがとうございました」といった感想が多く寄せられ、オスマニ大統領の講演は、参加者に深い感銘を与え、未来への希望と行動の意欲を呼び起こしました。

満員の会場
関係者で記念撮影

上智大学 Sophia University