Africa Weeks 2025 in 大阪「食卓から見るアフリカの多様性」を開催しました

アフリカ地域の文化や国際交流などに興味のある参加者が多数集まった

5月18日(日)、本学大阪サテライトキャンパスで『Africa Weeks2025 in 大阪「食卓から見るアフリカの多様性」』が開催されました。本イベントは、今年8月に横浜市で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)のパートナー事業、「上智大学Africa Weeks2025」の一環として、国際協力機構(JICA)関西センター協力のもと実施されました。
日本の約80倍の広大な大地に50以上の国々が存在し、さまざまな民族・言語・宗教が共存するアフリカ。本プログラムでは、そんなアフリカの多様な暮らしや文化に「食」を通して迫りました。関西在住のソフィア会員(本学卒業生)、地域の方々、高校生など50名以上が参加し、現地の多種多様な料理や自然環境の写真、エピソードを見聞きすることで、さながらアフリカ旅行をしているかのような雰囲気の中、会は進行しました。

アフリカ研究の道を志した経緯を語る山﨑講師

はじめに、上智大学学事局 SFDP推進室の山﨑 瑛莉講師による「アフリカ料理を通してみるアフリカの国々と文化」と題した講演が行われました。山﨑講師は学生時代の国際協力サークルでの活動や、過去の万国博覧会(愛・地球博)での、アフリカをテーマにしたプロジェクトに参加、アフリカ料理レストランでの料理人としての経験などを通じてアフリカ研究の道を志した背景を紹介しました。
また、気候帯や生態環境の多様性など、アフリカ理解の鍵となる「広さ」というキーワードを挙げ、アフリカ各国の歌や踊りと食との関係性、都市化・グローバル化に伴う食文化の変化についても触れました。
さらに、各地域の主要な食材やおすすめの現地料理、家庭でできるアフリカ料理のレシピを紹介。自身が現地で撮影した豊富な写真を投影しながら、「その地域が大事にしている作物などをリスペクトし、同じものをいただくことで受け入れてもらえた」と語りました。また、「食文化にはさまざまな切り口があり、人々の生活や社会文化と密接に結びついている。食の多様性を理解することは、アフリカの多様性そのもの理解することに繋がる」と述べました。

続いて、「料理が教えてくれる”知ること”の大切さ」というテーマでトークセッションが行われました。登壇者は、以下の3名です。それぞれが深く関わってきた各国の文化や現地での食に関するエピソードを紹介しました。
● 並木莉杏さん:上智大学総合人間科学部教育学科、コートジボワールへの渡航経験およびセネガルのアパレル企業でのインターン経験あり
● 冬野由季氏:JICA海外協力隊大阪府OB・OG会、マラウイで活動経験あり
● ムカディ・イルンガ神父:上智大学大学院文学研究科哲学専攻、コンゴ民主共和国出身

アフリカでのインターン経験を語る並木さん
マラウイで長年活動した冬野氏
コンゴの郷土料理を説明するムカディ神父

並木さんは、「アフリカの食文化に対する印象は、ゲテモノやイモが多いというイメージだった」と述べつつ、初めてのアフリカ体験を通じて「実際は想像以上に料理のレパートリーが豊富で驚いた」と語りました。また、大皿を囲み全員が着席してから食べるというセネガルの食文化と、日本の食文化の違いを肌で感じた経験を紹介しました。
言語聴覚士の資格を生かしてマラウイでボランティア活動を行っていた冬野氏は、マラウイの貧困や厳しい環境に触れつつ、「Warm Heart of Africa」と呼ばれる温かい国民性や、主食であるシマ料理(トウモロコシの粉を練ったのり状の食べ物)を紹介しました。また、フライドポテトなどのファーストフード屋台が増えつつある現地の様子について、「保守的な国だが、少しずつ外の文化を取り入れ始めている。屋台は井戸端会議のような場で、さまざまな情報を得られる貴重な場所だった」と語りました。
来日して8年が経つムカディ神父は、「恋しい料理は何か」という問いに対して、家庭料理のフフ(マニョクというキャッサバを乾燥させ、粉状にして湯を混ぜて練って固めたお餅のような料理)を挙げました。また、「食事会は誘った人が会計をする」という文化があることから、「日本でも同じだと思っていたが、会計時に割り勘と聞いてとても驚いた」というエピソードを披露し、会場の笑いを誘いました。
後半の質問コーナーでは、現地の食料自給率や地産地消の実態、化学調味料の使用状況など、さまざまな質問が寄せられました。

登壇者それぞれが、アフリカ各国のゆかりある食文化の特徴を語った

最後に、登壇者たちから「食は生きる上での土台となるもの。ゆったりとした時間のなかで、食を楽しむ気持ちを持ってほしい」「今日のイベントを通してアフリカをより身近に感じてくれたら嬉しい」といったコメントがあり、会は和やかな雰囲気の中で締め括られました。
参加者にとっては、今後グローバル社会でより一層存在感を増す地域のひとつと考えられるアフリカについて、多彩な食文化を通じて各国の文化や自然環境、国家背景を身近に感じる貴重な機会となりました。

<参加者アンケート(抜粋)>

  • アフリカへの関心と共に、アフリカ料理に大変興味を持ちました。
  • 食文化を通じて、多様性の広がり、新しいことを知る素晴らしさを感じました。
  • どのお料理もとても美味しそうで近々アフリカ料理のレストランに行ってみたいと思いました。
  • 明るく、風通しのよい雰囲気でした。これからもアフリカへの興味を温めていきたいと思います。

大阪サテライトキャンパスについて

大阪サテライトキャンパスは、2011年に大阪市北区のサクラファミリア(カトリック大阪梅田教会)2階に開室されました。関西およびその周辺でも上智大学のことをよりよく知ってもらうために、受験生・在学生・保護者・卒業生、そして地域の方々との「知的出会いの場」として、入試広報イベントや公開講座、シンポジウムといったさまざまなサービスを提供しています。イベント開催など詳しい情報は、大阪サテライトキャンパスの公式サイトをご参照ください。

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