文学部新聞学科生が手掛けた3作品が東京ビデオフェスティバル2024で入賞しました

“市民による市民のための映像祭”と呼ばれ、ドキュメンタリーやドラマなどジャンルを問わない映像作家の登竜門と評される「東京ビデオフェスティバル2024」で、文学部新聞学科の学生たちが制作した3作品がTVFアワードに入賞しました。ひとつの大学から3作品が入賞するのは全国最多で、合計6人の学生が受賞者に名を連ねました。

同コンクールは今年15回目を迎え、全国各地や海外に住む10代から90代まで多様な世代の人たちが98作品を応募し、うち37作品が入賞しました。上智大学から入賞した3作品は、ドキュメンタリーを制作する水島宏明教授のゼミの2023年度の授業で制作されたものです。

水島ゼミに所属する学生が制作したドキュメンタリー作品は、他にも丹波篠山映像大賞でのグランプリ獲得や、「地方の時代」映像祭でも入賞するなど、さまざまな映像コンクールで受賞しています。

文学部新聞学科ではテレビ局に匹敵する機材が揃った制作環境の下での実践授業を通じ、さまざまな映像作品を制作しています。一連の受賞は学科の特徴である実践授業の成果といえます。東京ビデオフェスティバル2023に入賞した新聞学科生の作品は以下の通りです。


森山琴葉さん(4年)制作「にほんではたらくぼくら」

森山琴葉「にほんではたらくぼくら」より

日本には現在およそ32万人が技能実習生が働いています。1993年にスタートした外国人技能実習制度は、いま転換期を迎えています。日本社会で働く彼らはどのような生活をしているのでしょうか。

言葉も文化も違う日本で働くこととは何か、彼らを受け入れる会社はどうあるべきなのか、森山さんは父親が福岡県の片田舎で経営する小さな会社でフィリピン人の技能実習生を受け入れていて幼い頃から実習生たちとつき合っていたことから、彼らの仕事ぶりや生活を撮影して映像作品にしました。

審査員評では「制度の問題点や課題をただ取り上げ、指摘するのではなく、森山さんという個人の視点から技能実習制度がどのようなものかを考え、作品の中に落とし込んでいた点がユニーク」だと評価されました。

新聞学科4年・森山琴葉さん

森山さんは今回の受賞で次のように語っています。

「これまで全力で取り組んできたドキュメンタリー制作について、受賞という形で結果に残すことができ、うれしく思います。これからも精進し、自らの問題意識を伝えていくことができるよう努めます」

銭晟揚さん(4年)制作「町の記録係〜半世紀の記憶と共に〜」

銭晟揚「町の記憶係〜半世紀の記憶と共に」より

長野県の御代田町に「世界でいちばん小さなテレビ局」があります。西軽井沢ケーブルテレビです。スタッフは社長の石川伸一さんを含めてわずか2人。文字通り、町の「記録係」として、地域密着で小学校の運動会や老人ホームの催しなど、町民たちのごく身近な話題を記録し続けています。

石川さんは御代田の町を毎日走り回って話題を探していますが、地域メディアの原点ともいえる活動です。

審査員からは「町のテレビ局の役割をしっかりと表現できていて面白かった」「石川さんという一風変わった人物の魅力に惹かれた」「メディアの変革期にあってケーブルテレビ局の存続が今度どうなるのか気がかりだ」などの声が上がっていました。

新聞学科4年・銭晟揚さん

受賞した銭晟揚さんは以下のように話しています。

「東京ビデオフェスティバルは、30年以上続く歴史のある大会で、このような大会で入賞できたことはとてもありがたく嬉しいです。テレビ西軽は、今日も絶えず『記録』をし続けています。その記録が町民の記憶に形あるものとして残り続きます。しかし、テレビ西軽のこの先は不確かなものであり、これからも石川さん、テレビ西軽を追っかけ続けていきたいと考えています」

「わったーしんかー〜わたしはうちなんちゅ〜」

3年生の北城ひかるさん、水野葉月さん、高崎慧さん、森末七海さん制作

「わったーしんかー〜わたしはうちなんちゅ〜」より

「エイサー」とは、本土の盆踊りにあたる沖縄の伝統芸能です。制作者の一人である北城ひかるさんは、沖縄から進学のために上京し、東京・中野の団体でエイサーを踊っています。

いまやすっかり中野の風物詩になったエイサー。しかし、最初から東京で沖縄の文化が受け入れられたわけではありません。かつては「外国人」と呼ばれ、本土の人たちから露骨に差別されていた時代もあったのです。中野でも沖縄出身者らが街を練り歩いて少しずつ活動の輪を広げてきました。以前を知る人たちの話を聞いて歴史を知った彼女は、「先人が守ってくれた場所を次につなげていきたい」と踊る理由を見つけていきました。

(向かって左から) 新聞学科3年・水野葉月さん、北城ひかるさん、高崎慧さん、森末七海さん

審査員から「故郷は離れて初めて良さに気づくものだが自分のアイデンティティとしての故郷を再認識させるきっかけになりうる作品」だと評価されました。

制作した学生たちのコメントは以下のとおりです。

水野葉月さん

「今回のような取材・撮影は初めてでしたが、ご協力いただいた方々に感謝申し上げます。これからもドキュメンタリーという切り口を通して、人や社会についての学びを楽しみたいと思います」

北城ひかるさん

「なぜうちなんちゅは沖縄の外でも強い結び付きを持つのか、主人公の想いを伝えられたかと思います。今後もさらに精進し、老若男女に刺さる作品を作っていきたいです」

高崎彗さん

「このような賞を頂けたこと、とても嬉しく思います。ただ、まだまだ粗があるなというのが正直な感想です。今後、もっと素敵な作品を作れるように頑張っていきたいです」

森末七海さん

「TVFアワードに選出されてとても光栄です。これからももっと上を目指して、仲間と切磋琢磨しつつ頑張ります」

上智大学 Sophia University