第43回「地方の時代」映像祭で文学部新聞学科生の作品が優秀賞と奨励賞を受賞しました

優秀賞は熊西叶乃さんによる「川の図書館 本が編む物語」

優秀賞を受賞した熊西叶乃さん(文学部新聞学科3年)

「地方から社会の今を見つめる」というコンセプトで放送局やケーブルテレビ、それに市民や大学生、高校生らが制作したドキュメンタリーの中から優れた作品を表彰する「第43回地方の時代映像祭」で、文学部新聞学科3年の熊西叶乃さんが個人制作した作品が優秀賞に、さらに同学科2年の椋木りあんさん、楠本夏花さん、湯沢澪央さんがグループ制作した作品が奨励賞に選ばれました。

同映像祭の「市民・学生・自治体部門」で応募があった67作品の中からの入賞で、同じ大学から同時に2つ入賞するのは全国最多。上智大学の学生の作品が優秀賞に選ばれたのも初めてです。

入賞した熊西さん、椋木さん、楠本さん、湯沢さんの4人はともに新聞学科でドキュメンタリーを制作する水島宏明教授のゼミに所属しています。

熊西さんの作品「川の図書館 本が編む物語」

3年生の熊西さんが受賞したのは「川の図書館 本が編む物語」という作品です。コロナ禍で多くの学校や図書館が閉まった時に東京・多摩川の河川敷で毎週日曜日に自然発生的に始まった”図書館”の活動を記録しました。

熊西さんの作品「川の図書館 本が編む物語」

活動を始めたのは一人の女子中学生でした。“本”を持ち寄ることで人々がつながるコミュニティーが生まれていく、毎週、そこだけの会話を楽しむ人たちの輪ができました。このつながりはちょっと不思議で素敵な世界です。

優秀賞の受賞者として壇上でスピーチを求められた熊西さんは「河川敷という開けた場所で本を通して、人と人とのつながりが生まれる様子を目撃できて私自身も楽しい取材でした」と感想を語っていました。

 

2年生3人による受賞作品は「その声に耳を傾けて」

椋木さん、楠本さん、湯沢さんの2年生3人が受賞したのは「その声に耳を傾けて」という作品です。

内容は、東京・神宮外苑で強引に進められている再開発プロジェクトに対して、学生の視点から「見直し」を求める活動をする楠本夏花さん自身を主人公にしたものです。東京都が認めるなかで大手建築会社などによって着々と樹木の伐採などの工事が始まっています。

椋木さん、楠本さん、湯沢さんによる作品「その声に耳を傾けて」

「樹木を守りたい…」「私たちの声をもっと聞いてもらいたい…」。

高校生の頃から違和感を抱いて署名運動などの先頭に立ってきたのが楠本夏花さん。「等身大の大学生」としての楠本さんの素の姿も記録し、有無を言わせず進む再開発工事に対して「再開発と環境保護との共存」を考えて思い悩み、自問自答するドキュメンタリーです。

奨励賞に選ばれたことについての3人は以下のように感想を話しています。

(写真向かって右から)椋木りあんさん、湯沢 澪央さん、楠本 夏花さん

■椋木 りあんさん

「初めてのドキュメンタリーが賞をもらえたのはうれしく思います。活動する楠本さん自身のジレンマや都会の中にある自然の大切さを伝えることを重視したので、そこが伝わったならいいなと思います」

■湯沢 澪央さん

「正直いって神宮外苑の問題をこの取材で初めて知りました。私のようによく知らない人間にもどうすれば伝わるのかを一生懸命考えました」

■楠本 夏花さん

「活動する自分を客観視していく作業はとても難しいものでした。他の2人に手伝ってもらって映像にしました。これからもいろいろ声を上げている人たちに焦点を当て、民主主義のあり方を問い直すような作品をつくっていきたいと思います」


今回の受賞作品の一覧は こちら

今回の受賞作品の映像の一部は こちら から短縮バージョンの視聴が可能です。

上智大学 Sophia University