10月3日・4日、そして12日に、ホンジュラス国立自治大学修士課程「国際協力と開発プロジェクト運営管理」プログラムに関わる教員4名が四谷キャンパスに来校しました。
上智大学は、JICAがホンジュラスで実施している技術協力プロジェクト「社会経済開発人材育成のためのホンジュラス国立自治大学修士課程強化プロジェクト」について、株式会社コーエイリサーチ&コンサルティングとともに受託して技術協力を実施しています。今回の来校もこのプロジェクトの一環として実施されたものです。
ホンジュラスでは、同国が抱えるさまざまな課題解決のため、多くの外国の政府や国際機関から開発援助を受けて事業を実施しているものの、適切なプロジェクト管理を行い得る開発事業に通じた専門人材が不足しています。
本プロジェクトは、同国のホンジュラス国立自治大学において修士課程「国際協力と開発プロジェクト運営管理」プログラムのカリキュラムを再構成し、同国における社会経済開発事業を担う人材育成の改善を図り、社会経済開発事業の効果的・効率的な実施に資するプロフェッショナルな人材の輩出に寄与することを目的としています。本学からは、植木安弘教授(グローバル・スタディーズ研究科国際協力学専攻)、幡谷則子教授(外国語学部イスパニア語学科)、佐崎淳子特任教授の3名が協力しています。
本学でのセッションでは、植木教授を交え、カリキュラムの改善点の洗い出し、修士論文指導の在り方、教員や科目配置の工夫などについて議論。国際協力学専攻をモデルに、⽇本における国際協⼒系⼤学院の卒業研究の進め⽅や指導方法、大学院の運営方法などの知見を深める機会となりました。
参加した同大教員からは、「先生方や日本の大学院生との交流を通じて、自分たちに不足しているものが明確になったことが収穫です」「我が国に適応した形で質の高い修士課程プログラムを提供できるよう努めていきたい」といった声が寄せられました。
植木教授は、「ホンジュラス側の課題は、修士論文の執筆が必須ではないこと。テーマを決め、計画的に研究を取り組むことは、知識や思考力の底上げや実務的スキルアップにつながっていきます。修士号をもつ人材が、将来のホンジュラスの社会開発、教育レベルの向上を牽引する存在に育ってくれると思います。また、専任教員の少なさも課題です。現在指導する教員のほとんどは外部か外国人講師であり、学生を指導する指導教員そして指導体制が確立されていません。能力のある自国出身の教員をいかに育て、集められるかが中長期的に見たときに一番の課題と言えます。途上国には特殊な事情もあり、質の高い学生を育てる上での課題が山積しています。先進国のやり方が必ずしもベストではなく、その国にあったやり方を模索することが重要です」と話しています。
本学はJICAと包括連携協定を締結し、教育と研究の両面でさまざまな交流を行っていますが、上智大学としてJICAとともに海外でのプロジェクトに関わるのは今回が初の取組みとなります。
本学では2021年4月に国際機関や国際協力の現場でのキャリアを目指す人のための実践的なコースである本学国際協力学専攻を開設しました。コーエイリサーチ&コンサルティングから、そこで培った知見を生かしてほしいとプロジェクト共同実施の提案を受け、2021年より共同でプロジェクトを進めています。
同社の担当者は「上智大学の先生方からは、専門職を育てる目線で実践的なアドバイスをいただいています。ホンジュラスの社会文化や政治状況など、現地の実情を踏まえた提案が大変役立っております。本プロジェクトは2025年2月までの予定ですが、プロジェクト終了後も、ホンジュラス側が自走できるように学びの枠組みを上智大学の先生方とともにしっかりと固めていきたいです」と話しています。