3月7日、四谷キャンパス2号館国際会議室において、トロント大学のJane Knight特任教授による、本学教職員向けの講演会が開催されました。国際教育の分野において世界的に著名なKnight教授は、高等教育のグローバル化をテーマに、世界における動向や、新たな潮流であるInternational Program & Provider Mobility (IPPM)の概要について説明するとともに、それに伴う課題も提起しました。シンポジウムの参加や研究交流を通じて、本学と10年来の親交があるKnight教授は、今般、本学の国際アドバイザリーボード会議への出席のために来日。滞在期間を活用し、本学教職員のグローバル化に向けた資質向上の取組みの一環として、本講演が実現しました。
Knight教授は、先ず昨今ますます多様化が進む高等教育のグローバル化について言及。これまで国際教育の主流と捉えられてきた学生の海外留学は、現状では全体の中では一定の割合を占めているにすぎず、海外分校やフランチャイズ、もしくはプログラム等の提供先の国の教育機関と提携を結ぶといった形態において、高等教育機関自体が海外へ出向くといった動向が近年急増していることや、世界各国において国と国との協力のもと設立される新しい高等教育機関の存在など、グローバル化といっても一括りにできない教育への取組みが世界各国で行なわれているとの説明があり、学生の留学先としても人気の高い英国の高等教育機関においては、在籍する留学生の52%が移動をせず自国にて学んでいるというデータも紹介されました。
このように、学生ではなく教育機関もしくは教育プログラムが国と国の間を移動する国際教育の潮流を、Knight教授はInternational Program & Provider Mobility (IPPM)と位置づけ、昨今研究を重ねています。IPPMは、教育の活性化や、より多くの学生にグローバル教育への門が開かれるといった点において大変有意義であるとはいえ、同時にプログラムの水準の確保や、学位認定のあり方、学費の定め方など、さらに検討しなくてはならない多くの課題も残されているという説明とともに講演は締めくくられました。講演後は、教職員から熱心な質問が寄せられ、講演テーマへの関心の高さがうかがわれました。