原点に立ち返り自分を知る、他者を知る、看護を追究する

人間の尊厳を基盤としたケアリングをディシプリンとして捉えるとともに、実践に活かせる研究力ならびに指導力を兼ね備えた人材育成を目指します。看護学専攻では、患者とその家族や地域との「共生」関係を側面から「支援」するという意味で「共生支援」を捉えています。各専門領域においては、この「共生支援」というキーワードに基づいて、より良質なケアリングに係る発展的かつ実践的な研究を行います。

カリキュラムの特徴

他分野の知識と看護の教育・研究・臨床から得た知見を融合させ、それを地域・国際社会に還元し、社会に貢献できる人材を養成します。これまでの経験を振り返ることで「実践知」をつくり出すとともに、他の学問領域の知識や理論を看護学に適用することを検討します。それらを学んだ後、臨床に携わる者は、病院や福祉センターなどの医療保健・看護系機関等での活躍が、また、研究および政策マネジメント等に関わる者は、制度・政策ならびに教育機関や諸研究所での活躍が期待されています。さらに、社会のニーズに応えるための新しい活動分野を開くなど、発展的な活躍も期待されています。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(看護学)

看護学専攻の特色

キーワードは「共生」と「支援」

さまざまな個性がともに幸せに生きることの「共生」、自律・自立へ向けた「支援」をキーワードとし、「他者のために、他者とともに」「人間の尊厳」という精神と深い専門性を活かせるような人材を養成します。

フィールドワークを重視した実践的指導

看護学専攻では実践力ならびに研究に必要なセンスを磨くための教育方法として、フィールドワークを重視しています。

働きながら学べる昼夜開講制(長期履修制度)

2019年度からほとんどの科目を午後5時20分以降に開講(一部は午後3時25分開講)。現在看護の臨床で働いている方などが、学びやすい環境で学業を両立できるように長期履修制度を実施しています。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • ドナー家族の脳死下臓器提供プロセスにおける体験と心理的軌跡
  • 市町村に就業する新人保健師の地区における活動での体験の積み重ねの描写
  • 大学生の避妊に関する知識、性教育受講状況と性行動の実地調査
  • フィリピンろう者の健康観と健康保持・増進のための対処行動
  • 一般病棟看護師による生活習慣病をもつ精神疾患患者への看護介入とそのプロセスにおける困難への対応
  • 産褥早期の腰部さらし着用の有無による骨盤周囲径の変化および腰痛と日常生活の状況に関する研究
  • 母親のマラリアに対する知識と予防対策
  • 海外で支援する日本の災害看護の効果的な準備
  • 外来化学療法を行う独居高齢がん患者の療養生活における思い・困難と治療を継続する要因
  • 口唇口蓋裂児をもつ母親の思い
  • 看護師が終末期と捉えた根拠とその後の関わり
  • 下肢悪性骨軟部腫瘍手術後患者の自己効力感と影響要因に関する縦断的研究
  • 救命科看護師の患者の事前指示に対する認識と対応およびそれらに影響する要因の検討
  • 中国人留学生の健康支援のあり方の検討
  • 脳卒中患者の家族が在宅介護を選択するまでの意思決定過程
  • 山谷地域の高齢者への訪問看護を探る
  • エンパワメント構造が中堅看護師のキャリアデザインを介して精神的エンパワメントに及ぼす影響
  • 乳がん患者のがん罹患の意味づけ方法による心的外傷後成長への影響
  • 人工呼吸器装着患者の援助に対する看護師のリフレクション
  • 家族が望む代理意思決定支援に関する研究
  • 成人期にある高次脳機能障害をもつ人の自己概念に影響を及ぼす重要他者のかかわり
  • 中堅看護師の後進育成と組織アイデンティフィケーション及び専門職アイデンティフィケーションの関連について
  • 脳卒中患者の急性期における思い- 「諦めない」思いからの分析 -
  • 助産師が捉える無痛分娩を選択した女性の経験
  • 手術室看護師が捉えた周術期看護の専門性
  • 人工呼吸療法を受ける神経変性・筋疾患患者の看護ケア内容とケア量調査
  • 悪性脳腫瘍患者の家族が代理意思決定をする際の手がかり
  • 行政機関で働く新人保健師の実践能力向上に必要な主体性

教育の方針

修士課程では、人間に対するケアリングをディシプリンとして捉えるとともに、実践に生かせる研究力ならびに指導力を兼ね備えた人材の養成を目的として、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 研究のプロセスを適切に踏み、その成果を的確な構成、論理的な展開をもって論文としてまとめる力
  2. 人々の発達・健康レベルに応じた最善の健康支援をめざした実践能力と研究能力
  3. 臨床現場で指導的役割を果たすことのできる実践能力
  4. 学際的、総合的な視野をもって国内外で活動する力

修士課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、国内外の医療健康問題の動向における重要課題に鑑み、「共生支援」のキーワードにもとづいて、良質なケアリングにかかわる発展的かつ実践的な研究を行うために、以下のようにカリキュラムを編成しています。

 

  1. 看護研究に関する基礎力を充実させる科目を開設する。
  2. ケアリングについて考究する科目を開設する。
  3. 自己が研究を通して深めたい専門看護学に関する科目を開設する。
  4. 自己が研究を通して深めたい専門看護学を支持する科目を開設する。
  5. 修士論文執筆とプレゼンテーション能力の修得のため、1年次春学期から指導教員による演習を行い、研究計画検討会、修士論文発表会を配置する。

修士課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 看護のさまざまな現場で実践を行い、高い実践能力と職業倫理性をもつ学生
  2. 実践に役立つ看護学の研究を通じて、看護学の発展ならびに国内外の医療健康問題の解決に寄与したいという意欲を有する学生
  3. 医療・看護における現象を論理的かつ客観的に分析できる柔軟な思考性をもつ学生

教員一覧

石川 ふみよ 教授

研究分野 高次脳機能障害をもった患者とその家族の支援に関する研究、障がいをもつ子のきょうだい児支援に関する研究

草柳 浩子 教授

研究分野 病棟や外来における子どもや家族の看護支援に関する研究。小児看護教育における教育プログラムの検討。アクションリサーチを用いた研究

坂井 志麻 教授

研究分野 地域包括ケアにおける入退院支援や多職種連携に関する研究、外来における在宅療養支援に関する研究、アドバンスケアプランニングに関する研究

﨑山 貴代 教授

研究分野 不妊に悩む女性および家族の支援、周産期と生涯の健康に関する研究

島田 真理恵 教授

研究分野 周産期の切れ目ない支援に関する研究。産後の母子の支援に関する研究(産後ケア、開発した産褥期育児生活肯定感尺度を活用した研究)
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塚本 尚子 教授

研究分野 研究分野は看護心理学。テーマは「看護の良い組織風土づくり」「がんサバイバーの心理的適応」。自己概念、自己効力感、バーンアウト、ストレスなどの心理変数を用いた研究

両羽 美穂子 教授

研究分野 地域で働く看護専門職者への生涯学習支援に関する研究
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岡本 菜穂子 准教授

研究分野 生活困窮者の自立支援に関するピアサポートモデル開発、地域で暮らす高齢者のケアの質保証に関する国際比較研究
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小高 恵実 准教授

研究分野 初期段階の精神病患者を持つ家族への看護ケア。統合失調症、予防・早期介入、家族支援、精神科看護

舩木 由香 准教授

研究分野 看護学生の技術習得に関する研究。クリティカル・シンキングに関する研究
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三次 真理 准教授

研究分野 がんサバイバーシップを支える看護に関する研究。がん緩和ケア・エンドオブライフケアの実践に関する研究

吉野 八重 准教授

研究分野 開発途上国における母子保健に関する研究
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田村 南海子 助教

研究分野 脳死下臓器提供におけるドナー家族へのケアに関する研究、終末期がん患者・家族の療養場所選択に関する研究

手塚 園江 助教

研究分野 小児集中治療における子どもと家族中心のケア、新人看護師の移行支援、慢性疾患のある子どもの自立に関する研究

松永 真由美 助教

研究分野 妊娠糖尿病妊婦を対象とした多職種連携・継続支援体制の構築

上智大学 Sophia University