ジャン・ピエール・ラクロワ国連平和維持活動(PKO)担当事務次長特別講演

11月22日、ジャン・ピエール・ラクロワ国連平和維持活動(PKO)担当事務次長が本学を訪れ、国連広報センターと本学の共催により2号館309教室において特別講演が開催されました。
在スウェーデンフランス大使、国連フランス代表部大使のほか、これまでも多くの重要なポストを歴任してきたラクロワ氏の講演に、本学および他大学の学生、教職員、関連官庁の関係者、そして同氏と親交のある元国連事務次長の明石康氏を含む多くの来場者が訪れました。
講演では国連平和維持活動が現在取り組んでいる課題について、植木安弘総合グローバル学部教授をモデレーターとして活発な議論が交わされました。

はじめにラクロワ氏は、世界各地において国連が現在行っている14のミッションを紹介。なかでも、コンゴ・マリ・南スーダン・中央アフリカ共和国の4カ国における最大規模の活動について言及。内紛問題のみならず、環境破壊、テロ、武装グループによるレイプ、一般市民の虐殺などの犯罪をはじめ、ありとあらゆる違法行為が横行していることを指摘しました。
そして、活動が大変危険な上、エボラ出血熱の蔓延や複雑に絡み合う政治的利害も相まって、極めて困難であると語り、さらに、昨年の活動において、過去25年間のうちで最大の犠牲者が出たことにも触れ、紛争国における平和的解決の実現には、近隣諸国からの積極的な働きかけが重要だと呼びかけました。
活動に対する国際社会からの協力という面においては、国連の平和維持活動を大きく左右する国連安全保障理事会の分断といった現状への懸念を示しました。一方、南スーダンにおける活動に関しては、日本から寄せられた多大なる貢献について感謝の意が表されました。
講演後には学生・教員だけでなく、紀谷昌彦アフリカ開発会議担当大使を含む国際協力のエキスパートからの質問に回答。複雑化する現在の紛争問題に向き合うために、組織的かつ技術的にも改革を迫られる国連平和維持活動の、現在と将来について多くの質問が寄せられました。

上智大学 Sophia University