産学共同研究の成果が、株式会社アルビオンの製品開発に活用

上智大学理工学部物質生命理工学科の臼杵 豊展教授は、沖縄在来柑橘「カーブチー」の果皮に含まれる成分に関する研究を行い、そのエキスの開発と機能的特性を明らかにしました。本研究成果は、高級化粧品メーカーである株式会社アルビオン(東京都中央区、代表取締役社長:小林 章一、以下、アルビオン社)および恵比須化学工業株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長:大平 淳史)との共同研究を通じて評価され、同社の新製品開発に活用されるなど、地域資源を用いた研究成果の社会実装事例となりました。

研究の背景・概要

カーブチーは沖縄北部“やんばる”地域で栽培される希少な沖縄固有柑橘であり、果皮には抗酸化・抗炎症作用をもつ天然有機化合物ポリメトキシフラボン類(PMFs)が豊富に含まれています。しかし、これまで果皮の有効利用法が確立されておらず、その多くが未利用資源のままとなっていました。

本研究では、カーブチー果皮に含まれるノビレチン、タンゲレチン、シネンセチン、イソシネンセチン、ナツダイダイン、ヘプタメトキシフラボンの6種類のPMFsに着目し、その科学的特性の分析・検証を行いました。その結果、カーブチー果皮由来成分が高い抗酸化作用や抗老化作用を示すことが確認され、基礎研究としての学術的意義に加え、産業利用に向けたアップサイクル型化粧品原料としての有用性が示されました。

本件はアルビオン社との共同研究を通じて実用化の検討が進められ、その学術的成果は2025年9月開催の「第35回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)カンヌ大会2025」にて発表されました。本大会は化粧品や肌研究の発表の場として世界的に最も権威のある大会の一つといわれています。この度、当該研究成果の応用事例として、同社が展開するスキンケアシリーズ「フラルネ」シリーズの新ライン「ブライトライン」(2026年3月発売)の一部製品に、本研究で評価されたエキスが配合されることとなりました。

本研究の意義

本成果は、未利用地域資源の新たな科学的価値を見出すとともに、大学の基礎研究が実社会へ還元されるプロセスを示すものです。今後も科学的エビデンスに基づく研究を通じて、地域産業や科学技術の発展への貢献が期待されます。

研究者コメント

臼杵教授コメント

「本研究は、カーブチーという地域資源に科学的な視点から向き合い、その可能性を検討してきたものです。研究成果が企業との連携を通じて社会で活用されていることは、研究者として大きな励みになります。今後も、学術的価値と社会的意義の両立を意識しながら、世のため人のためとなる研究を推進していきたいと考えています」

担当した大学院生(当時)の森 菜月さん コメント

「学生時代に企業との共同研究開発に携わらせていただき、大変貴重な経験をさせていただきました。そしてこのたび実際に商品化され、お客様のもとへ届けられることを心より嬉しく思っております。」

補足情報

研究発表

2025年9月

学会名

第35回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)カンヌ大会2025

発表タイトル

沖縄産植物を利用した機能性化粧品原料の開発

発表者

〇中野 和真1、 森 菜月2、仲眞 浩美1、深水 愛理沙1、四本 健介3
田崎 太悠3、國廣 建斗3、鳥井 昭吾3、浦川 雅満4、臼杵 豊展2、鈴木 章悟3

(〇:代表発表者、株式会社アルビオン・研究部 素材研究グループ 沖縄研究所 駐在、2上智大学、3株式会社アルビオン 研究部 素材研究グループ、4恵比須化学工業株式会社)


‐研究内容に関するお問合せ先

上智大学物質生命理工学科
教授 臼杵 豊展
Email: t-usuki@sophia.ac.jp

‐報道関係からのお問合せ先

上智学院広報グループ
Email: sophiapr-co@sophia.ac.jp

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