調査報告書『上智大学 気候変動意識調査2025』結果公表
上智大学総合人間科学部社会学科のホメリヒ カローラ教授(研究代表)らの研究チームは、気候変動に関する意識・行動・感情を把握するために実施した全国規模のオンライン調査の結果を、調査報告書 「上智大学 気候変動意識調査2025」としてまとめ、公表しました。本調査は2025年8月27日から9月1日にかけて実施され、全国の15歳~74歳の男女5,000名から有効回答を得ました。
気候変動の影響が日本社会においてますます具体的に表れ、その対策の緊急性も高まっています。本調査は、気候変動に対する懸念、理解、感情、行動の実態を包括的に明らかにすることを目的に実施しました。 報告書では、全設問の結果を年齢層別に集計し、世代間の特徴や傾向の違いが把握できるように構成しています。
本調査報告書の全文は、以下よりご覧いただけます。
調査結果ハイライト
1.懸念は高いが、関心と政策知識には差
全体の76.3%が気候変動について心配していると回答した一方で、「関心がある」と答えたのは58%にとどまりました。また、政府がどのような気候変動対策を講じているかについて「よく知らない」とする回答が多数を占め、政策に関する知識は限定的であることが明らかになりました。
懸念と関心は20~39歳で相対的に低く、とくに20~29歳では懸念を示したのは64.3%にとどまり、6割以上が「関心がない」または「どちらともいえない」と回答しています。
一方で、15~19歳では、その直上の年齢層と比較して懸念および関心が相対的に高い傾向がみられました。
2.20~39歳で知識水準と行動実践が相対的に低い
気候変動に関する知識問題でも、20~39歳の正答率が相対的に低い傾向が確認されました。また、猛暑や豪雨などの極端気象現象を気候変動の影響と結びつける割合も低い結果となりました。
この年齢層は、気候変動に配慮した行動の実施頻度も他の年齢層と比べて低い傾向がみられます。
さらに、20~29歳の16.4%、30~39歳の10%が「気候変動は起きていない」と回答しています。
3.気候変動に配慮した行動は社会的規範として十分に定着していない
気候変動に配慮した行動は、広く社会的規範として共有されているとは言い難いことが示されました。とくに若年層では、「環境意識が高すぎる」「過激だ」と周囲から見られることへの恥ずかしさを理由に、気候変動に配慮した行動をとらないと回答する人が一定程度みられました。これらの認識は、若年層における行動の社会的障壁として作用していることが示唆されます。
4.感情的影響は広範にみられ、若年層では拡散的な気候不安が相対的に強い傾向
全ての年齢層において、多くの回答者が、気候変動による自然の変化に対して恐怖や悲しみを感じていると回答しました。四季の変化が弱まっていることへの悲しみや、伝統的な風景の喪失に対する感情的反応も広く確認されました。
集中困難や睡眠障害といった側面を含む拡散的な気候不安は、若年層で相対的に高い傾向がみられました。気候変動は広い世代に感情的影響を及ぼしているものの、その現れ方には年齢差があることが示唆されます。
今後の分析課題
現在、気候変動に関する知識、気候に対する感情、および気候配慮行動や社会運動への関与との関連について、より詳細な分析を進めています。また、行動を阻む具体的な障壁がどのようなものであり、それが人口集団によってどのように異なるのかについても検討しています。
研究代表者コメント
研究を主導したホメリヒ教授は次のように述べています。
「今回の結果からは、気候変動に対する懸念や不安は広く存在している一方で、それが必ずしも知識や行動と十分に統合されていないように見えます。とくに若年層では、感情的影響がみられるにもかかわらず、理解や実践との結びつきが弱い可能性があります。今後は、その背景にある社会的・心理的要因を丁寧に分析していく必要があります」
調査概要
- 調査期間
2025年8月27日~9月1日
- 調査対象
全国15~74歳の男女
- サンプル数
5,000名(有効回答)
- 調査方法
オンライン調査
- 抽出方法
住民基本台帳(2024年1月1日時点)に基づく人口構成比に比例した都道府県・性別・年齢のクロス・クオータ方式
- 調査機関
オンライン調査パネル(ネオマーケティング)
‐研究内容に関するお問合せ先
上智大学総合人間科学部社会学科
教授 ホメリヒ カローラ
Email: hommerich[at]sophia.ac.jp
‐報道関係からのお問合せ先
上智学院広報グループ
Email: sophiapr-co@sophia.ac.jp