学科の特色
異なる文化の人々とのコミュニケーションには、言語だけでなく、背景にある社会や文化などに関する基礎知識が重要です。そのためポルトガル語学科ではポルトガルやブラジルだけでなく、ポルトガル語圏地域を総合的に学びますが、そこで培った能力は、ほかの言語圏へアプローチする際にも役立つものとなります。
学生に求めるものは「未知なるもの」に挑戦する精神です。大きな変化を遂げる現在の国際社会へ飛び出す姿勢は、500年前に大航海時代を切り拓いたポルトガル人航海士の精神に通じるもの。ポルトガル語学科ではビジネス界だけでなく、NGOやNPOなど幅広い分野で活躍できる人材の育成を目指しています。
カリキュラムの特徴
社会・文化・歴史などへの理解を学習のモチベーションとして語学と地域研究を相乗的に学ぶ
文法、会話、作文、講読などを中心に週6コマの授業を行う1~2年次の「基礎ポルトガル語」でポルトガル語の基礎を徹底して学び、あわせて「ポルトガル語圏基礎科目」の授業でポルトガル、ブラジル、アフリカやアジアの複数の国・地域に広がるポルトガル語圏各地域の歴史も概観します。
3~4年次にはポルトガル語による高度なコミュニケーションやプレゼンテーションを見据えた運用能力を習得する実践的科目群と並行して、9つの研究コースから一つを選択し、専門性の高い科目群を中心に学びます。4年次には「演習」で学びの集大成として、卒業論文や卒業研究に取り組みます。
※科目の詳細については、シラバスをご覧ください
科目紹介
- 基礎ポルトガル語Ⅰ
文法、会話、読解・作文に分けて、ポルトガル語の基礎を学びます。ネイティブスピーカーとのコミュニケーションに必要な単語や表現、基礎構文を学びながら「聴く、読む、話す、書く」力を養います。
- 基礎ポルトガル語Ⅱ
文法、会話、文章作法、主語研究、講読文法、速読に分けて、中級レベルのポルトガル語の運用能力を身につけます。あわせてポルトガル語圏の歴史や文化への理解を深めます。
- 総合ポルトガル語
1〜2年次に身につけた基礎力を、実践的な応用力へと発展させます。自らの考えを発表し、難解な文献を読み解くなど、多角的に語学の総合力を高め、専門研究へと移行する力を養います。
- ポルトガル語圏研究入門
ポルトガル語圏諸国を対象として、地理・歴史・人・社会・グローバル・移民といった視点からのアプローチをもとに、地域研究の研究視点、方法、資料収集、論文作成に関する基礎知識を学びます。
- ポルトガル史
建国からカーネーション革命(1974年4月革命)後までのポルトガル史を概観します。ポルトガル史と隣国スペインをはじめとするヨーロッパ史の双方からの思考ができる知識を習得します。
- ブラジル史
植民地時代から現代に至るまでのブラジル史を概観し、あくまで現代のブラジルを理解するたに必要な知識・視点を培うことを目的として、500年以上に渡る歴史の流れを学びます。
取得可能な教員免許と教科
- 高等学校教諭1種(ポルトガル語)
学芸員課程が履修できます。
学生の研究テーマ例
- ブラジル経済における石油の役割―発見から経済発展のエンジンへ―
- 飛躍するブラジルのアグリテックスタートアップと日本企業の進出の現状
- ボルソナリスタとルリスタの考察―2018 年・2022 年ブラジル大統領選挙を巡る政治的背景と市民の反応―
- ブラジル・アマゾン地域におけるコミュニティ・ベースド・ツーリズムの現状と考察
- ブラジル国内におけるアフロ・ブラジル宗教への宗教的不寛容
教育の目的・方針
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ポルトガル語の高度な運用能力を養い、地域研究、言語研究などの専門研究の基礎となる幅広い教養(人文・社会科学、ポルトガル語圏に関する基礎知識)を修得すること
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ポルトガル語の高度な運用能力を基礎として、グローバル化する社会に貢献しうる人物、並びに地域研究、言語研究等の専門家を養成すること
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本学科は、学生が卒業時に身につけているべき能力や知識を次のように定めています。卒業要件を満たせば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
卒業時において全員がヨーロッパ言語参照枠(CEFR)におけるB2相当(海外の大学で学べるレベル)に到達し、それに加えできるだけ多くの者が同C1相当(海外の大学院で学べるレベル)に到達することを目標とします。
- ポルトガル語の「聴く」「読む」に代表される受容的言語活動(receptive activities)に関する能力
- ポルトガル語の「話す」「書く」に代表される産出的言語活動(productive activities)に関する能力
- ポルトガル語の会話や交渉に代表される相互行為活動(interactive activities)に関する能力
- ポルトガル語の通訳・翻訳などに代表される仲介活動(mediating activities)に関する能力
- ポルトガル語圏の歴史・文化・政治・社会について、世界での位置づけや特徴および日本との関係や比較を踏まえて理解する能力
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本学科では、ディプロマ・ポリシーに沿って、次の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。
- 【第一主専攻・必修科目(基礎ポルトガル語I,II)】1年次、2年次を通してポルトガル語の基礎を学ぶ。会話・作文、文法、読解(講読と速読)などを通して、ポルトガル語における4技能「聴く、読む、話す、書く」の運用能力の向上を目指す。授業は、講義、口頭での反復練習、グループワーク、プレゼンテーションなど、それぞれの授業目的に合わせてさまざまな形で展開されるが、いずれの授業においても学生の主体的な学びが重要となる。
- 【第一主専攻・必修科目(総合ポルトガル語)】1年次、2年次で修得したポルトガル語の基礎学力を用いて、さらに実践的かつ応用的なポルトガル語の運用能力を身につけさせる。授業は主にコミュニケーションやプレゼンテーション、ディベート形式で行われる。担当する教員はネイティブスピーカーが多く、したがって使用言語もポルトガル語が中心となる。一方、日本人教員のクラスでは、より高度な内容の文献講読や上級文法に関する講義なども行われる。
- 【第一主専攻・語圏基礎科目】主に1・2年次において、ポルトガル語が使用される国や地域(=ポルトガル語圏)における歴史・政治・経済・社会・文化・言語に関わる基礎的な知識を学ぶ。授業形式は講義が中心であるが、授業内でグループワークやプレゼンテーションなども実施される。また本科目群の一つの科目「ポルトガル語圏研究入門」では、地域研究の手法を用いた6,000字程度のレポートの執筆に取り組むことで、大学での学びにおいて不可欠であるレポート・論文の書き方を修得する。
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- ポルトガル語圏の言語・歴史・政治・経済・社会・文化などに関心を持ち、ポルトガル語の高度な運用能力を身につけることを望む学生を求めます。
- 基本的に、ポルトガル語学科においてポルトガル語の学習を開始したい学生を求めています。すでに何らかの形でポルトガル語の学習経験のある学生で、改めて体系的に学ぶことを通じ、その運用能力の向上に真摯に取り組む姿勢を持つ学生も受け入れます。
- ポルトガル語と英語の実践的な運用能力を基盤として、外国語学部が設けている9つの「研究コース」のいずれかにおいて、自ら選んだ領域やテーマについて専門的に掘り下げることを期待します。