理工学専攻数学領域

時代の数学を学び、探究を進め、社会に活かす

数学領域では数学の勉強・研究をする環境が充実しているのは元より、もっと大切なことは自分で問題を見つけ、それを解決し、発表するという研究活動を実際に行なうことだと我々は考えています。考え続けた問題が解けた時の喜びは強く大きいもので、それを在学中にぜひ体験してください。

博士前期課程修了者の進路は、数学領域の前身である旧数学専攻の実績を含め、以前は博士後期課程への進学・中学高校の教員・金融・保険などが多かったのですが、近年では数学を専門に学んだ人への社会のニーズが大きくなっていることに伴い、幅広い業種の企業への就職も多くなっています。博士後期課程修了者の進路は、それに加えて研究者としての職を目指すことが多く、全国各地の大学・高等専門学校などで多くの修了生が職を得ています。

カリキュラムの特徴

数学領域では「数学ゼミナール」を教育と研究の中心に据えて、指導を行なっています。このゼミナールは開講当初、各院生が研究の基礎の專門書や論文を精読して、それを発表することが多いのですが、各自の研究テーマ設定後はその経過や成果を発表することになります。この際に指導教員による研究指導も行なわれるので、論文の完成を目指す学生にとって実に重要な学びの場となっています。また、講義科目では専門的なトピックを学び、学部で学ぶ基礎的な数学と現在の最先端の研究とを結び付けて、自分の学修に活かせるようになっています。

授与学位

  • 博士前期課程:修士(理学)
  • 博士後期課程:博士(理学)

取得可能な教員免許・免許教科

  • 中学校専修(数学/理科)
  • 高等学校専修(数学/理科/工業/情報)

※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能で、必ずしも全教科取得できるわけではありません。

数学領域の特色

丁寧な研究指導

数学領域では、1名の専任教員につく大学院生の数は平均すると約1名です。学生数の多い国立大学などと比較すると、各人のレベルに応じたきめ細やかで丁寧な研究指導が行われています。

研究に便利な環境を整備

中央図書館とは別に数学図書室があり、図書検索システムも通じて、3万5,000冊の専門書や論文誌を、身近に利用できます。また、大学院生へのノートPCの貸与も行っています。

委託聴講生制度

上智大学・中央大学・学習院大学・国際基督教大学・立教大学・東京女子大学・津田塾大学・日本大学・日本女子大学・明治大学・東京理科大学の11大学で大学院数学連絡協議会を構成。委託聴講生の制度によって、これらの大学の講義を聴講し、単位の修得および修了単位への算入が可能です。

修了生の最近の主な研究テーマ

  • オープンデータを用いたSARS-Co-2 感染による死亡リスクの遺伝的要因の探索
  • 最低保証期間付き家族収入保険の純保険料の導出
  • Factorial Schur multiple zeta function and Schur multiple Bernoulli polynomial
  • On a characterization projective space
  • Cells in some Coxeter groups
  • 6次複比型 Noether 問題に関連する計算的研究
  • Global Properties of the Time Delay Differential Equation Model in Epidemiology
  • Orthomorphisms of General Linear Groups and Strong Complete Mappings of Dihedral Groups
  • Optimal Investment in Correlated Stocks and an Index Bond for Defined Contribution Pension
  • サーキットブレーカー制度を考慮した商品先物のリスク評価
  • Cluster Variables on Double Bruhat Cells and Monomial Realizations of Crystal Bases
  • Product formula for extremal projectors of q-boson algebras
  • 近似計算を利用した種数1のBelyi 対の計算
  • 有限体上のGL 2共役類に付随する軌道ガウス和の決定とその応用について
  • ウェーブレット分散を応用した原油先物のリスクに関する考察
  • Dirichlet L 関数の明示公式と非自明零点の1-level density
  • 6次以下の種数1のdessin のGalois 軌道の決定
  • 重複ありのウェーブレット変換を利用した原油先物のリスクに関する考察
  • A study on Eisenstein series over finite fields
  • 統計的前処理を施した遺伝的プログラミングの応用
  • 2次ディリクレL- 関数の実軸に近い零点の分布について
  • テキストマイニングにもとづくレビューのスコアリングを用いた映画の統計的分類
  • 規模の異なる変量群をもつロジスティック回帰モデルの係数2 段階推定
  • ウェーブレット分散と参照形式を利用した商品先物の暴落予測
  • Schur type poly-Bernoulli numbers
  • 小さいレベルのモジュラー関数体の定義方程式の決定

教育の方針

博士前期課程

本領域では、数学の発展とその応用に寄与し、その専門知識を社会や次世代に伝えることで人間社会の発展に貢献できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 数学の基礎知識に加え、それ以外の自然科学分野あるいは社会科学分野との学際分野も含め広範に学ぶことにより、数学の基礎およびその社会への応用について多面的にとらえる力
  2. 数学および関連分野において最先端で活躍できる専門知識を身につけるとともに、真理の探究・理論の発展およびそれを広く社会や次世代に伝えることのできる力 グローバル化の進展に対応するため、社会で活躍できるレベルの英語力
  3. 数学に関する専門的な知識の理解と独創的な発想を持つ研究者として、学術論文を完成させる力

博士後期課程

本領域では、数学の発展とその応用に寄与する高度な専門性を身につけ、社会や次世代に伝えるとともに、その及ぼす影響を総合的にとらえる学際性を持ち、自立して研究を遂行できる人材の養成を目的に、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。

 

  1. 自分の専門分野だけでなく、関連する学際分野なども含め広範に学ぶことにより、数学とその応用が社会に及ぼす影響を多面的にとらえる力
  2. 数学および関連分野において最先端で自立的に活躍できる専門知識を身につけて創造的な研究を行うとともに、それを広く社会や次世代に伝えて人類の発展や幸福に寄与できる力
  3. グローバル化の進展の先頭に立ち、国際社会にて独立して活躍できるレベルの英語力
  4. 数学に関する専門的な知識の理解と独創的な発想を持つ研究者として、学術論文を完成させる力

博士前期課程

高度に発展した数学の理解と新たな真理の探究のため、体系的に専門的知識を学び、自ら思考して新しい数学的知見を創造し、数学の研究とは何かを学ぶとともに、それを広く社会や次世代に伝えて人間社会の発展に貢献できる力を涵養するため、数学領域や他領域の科目を受講し、研究指導を受けさせる。

 

  1. 数学領域の科目の受講を通じて基礎的知識を得るとともに、他領域および理工共通領域の科目を受講することにより、自分の専門領域以外の分野についても広く知識を得させる。
  2. 数学領域が提供する解析学・代数学・幾何学・数理統計などに関する科目を受講し、これらについて専門知識を得させる。また、特定のテーマについて研究を行い、このテーマと周辺について深い専門知識を得るとともに、研究の進め方、まとめ方、研究倫理などを学ばせる。
  3. 科学技術英語や英語で行われる科目の受講、英語文献の講読、英語による学術講演の聴講、研究成果の英語発表、英語論文の執筆などにより、英語力を向上させる。

博士後期課程

数学における高度な専門性と関連分野の広範な知識を有し、自立して研究を遂行できる力を涵養するため、演習を受講し研究指導を受けさせる。

 

  1. 自分の専門分野を中心に数学の基礎的な学術論文や解説書などを精読することに加え、学際分野を含むその他の分野との関連・応用についても広く知識を得させる。
  2. 自分の専門分野において教員の研究指導を受けながら集中して研究を遂行し、このテーマと周辺について深い専門知識を得るとともに、研究の進め方、まとめ方、研究倫理などを学び、研究の集大成として博士論文を提出させる。
  3. 得られた研究成果を国内外にて英語で発表し、また英語論文を執筆投稿し、必要に応じて海外の研究機関にて研究を行い、これらにより英語力を積極的に向上させる。

博士前期課程

本領域は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 数学分野で勉学を行い、研究を遂行することに意欲的である学生
  2. 数学分野で勉学を行い、研究を遂行するために必要な数学の基礎分野および解析学・代数学・幾何学などのうち自らの専門とする分野などに関する基礎学力を有している学生

博士後期課程

本領域は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 数学分野にて、自立して創造的な研究開発を遂行することに意欲的である学生
  2. 数学分野にて、自立して創造的な研究開発を遂行するために必要な専門知識と英語力を有している学生

教員一覧

都築 正男 教授

研究分野 [ 保型形式と整数論 ] ゼータ関数・跡公式

角皆 宏 教授

研究分野 [ 整数論・構成的ガロア理論 ] 生成的多項式、数論的基本群
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中島 俊樹 教授

研究分野 [ 量子群の表現論 ] 結晶基底、幾何結晶、クラスター代数
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中筋 麻貴 教授

研究分野 [ 解析数論、保型形式 ] 多重ディリクレ級数、保型表現
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大城 佳奈子 准教授

研究分野 [ 位相幾何学、結び目理論 ] カンドル理論、結び目不変量

五味 靖 准教授

研究分野 [ 岩堀ヘッケ環と組みひも群にまつわる表現論 ] 有限群・代数群の表現論、代数的組合せ論

Fabien Benoit TRIHAN 准教授

研究分野 [ 数論幾何 ] 楕円曲線、幾何的岩澤理論
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後藤 聡史 助教

研究分野 [ 作用素環論、部分因子環の指数理論の研究 ] 部分因子環の代数的・組合せ論的不変量とその応用

平田 均 助教

研究分野 [ 偏微分方程式と応用数学 ] 数理物理、数理生物学

木村 晃敏 助教

研究分野 [ 数理統計学 ] 時系列解析、数理統計学、確率過程

上智大学 Sophia University