10月15日から29日まで、「国連の活動を通じて世界と私たちの未来を考える」をコンセプトに「上智大学国連Weeks/October, 2018」が開催されました。第10回となる今回は、7つの企画に多彩なゲストが登壇したほか、フォトコンテスト表彰式や国連写真展などが実施され、来場者数は延べ1,100人を超えました。

アフリカと共にグローバル社会を創る若者たちへ

服部氏の基調講演

10月16日、アフリカの人々と協働する社会の未来について議論するシンポジウムが、2号館17階国際会議場にて開催されました。はじめに曄道佳明学長が挨拶に立ち、上智大学のカリキュラムにおけるアフリカとの関わりを紹介しました。

基調講演で、豊田通商株式会社アフリカ本部日本上級代表の服部孝氏は、アフリカの基本情報から同社のアフリカにおける方針と活動に至るまで詳しいデータを交えて説明しました。続いて、グローバル教育センター長の小松太郎総合人間科学部教授をモデレーターに、アフリカ開発銀行アジア代表事務所所長の横山正氏とJICAアフリカ部計画・TICAD推進課専任参事の吉澤啓氏を加えてパネルディスカッションが行われました。それぞれのアフリカでの活動などを紹介したあと、今後のアフリカとの関わりで若者たちにますます活躍してほしいとの期待が述べられました。

多文化日本における難民認定希望者

難民問題について議論

10月17日、日本において難民申請を行っている、あるいは、希望している人々にスポットを当てたシンポジウムが、2号館17階国際会議場にて開催されました。

はじめに、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日代表のダーク・ヘベカー氏が登壇し、UNHCRの現況や現在の取り組みについて説明しました。続いて、認定NPO法人難民支援協会代表理事の石川えり氏(1999法国卒)が、協会の活動と日本における難民申請の現状について報告し、特定非営利活動法人なんみんフォーラム代表理事で上智大学神学部の小山英之教授からは、難民支援に関わる団体の紹介がありました。

パネルディスカッションでは、本シンポジウムのモデレーターを務めたデビッド・スレーター国際教養学部教授も加わり、現在の難民危機が日本に与える影響や、この問題に対して大学や学生が果たすべき役割について話し合いました。

第13回UNHCR難民映画祭-学校パートナーズ

10月19日、映画を通じて難民問題を考えるイベントが、6号館101教室にて開かれました。冒頭、UNHCR駐日副代表の川内敏月氏が登壇し、イランにおけるアフガニスタン難民の現状や、児童婚の問題などを、自身の現地での活動経験を踏まえて解説がありました。

続いて、イランで生活する18歳のアフガニスタン難民の少女が主人公の『ソニータ』が上映されました。古くからの風習で見ず知らずの男性との結婚を家族に迫られる中、自身の夢であるラッパーになる事を目指す姿を描いたドキュメンタリーで、高い評価を得ています。彼女の境遇と挑戦に、多くの参加者が共感しました。

川内UNHCR駐日副代表

ISIS後のイラク・シリアの課題~平和構築と難民支援

イラク・シリアの課題を討論

10月23日、ISISが撤退した後のイラクやシリアにおける平和構築や難民支援の現状を把握し、今後の支援のあり方を共に考えるシンポジウムが、2号館17階国際会議場で行われました。日本国際ボランティアセンターとの共催でした。

登壇者は、イラク国内で平和構築や難民支援を行っているNGO代表のジャバリ・アリ・ナジュムルデン・モハマンド氏、日本国際ボランティアセンター職員でシリア出身のガムラ・リファイ氏、グローバル教育センターの東大作教授、総合人間科学部の小松太郎教授の4人でした。それぞれの立場から、イラク・シリアにおける難民の現状とこれからの平和構築プロセスなどについての報告や討論が行われました。最後に、ガムラ・リファイ氏からの「日本の学生にはイラクやシリアの現状や難民となっている人々を心に留めておいてほしい」という言葉で、本シンポジウムを締めくくりました。

SDGs学生フォトコンテスト2018表彰式

大賞を受賞した星野さん(左)

国連デーである10月24日、第3回SDGs学生フォトコンテスト2018(国連広報センターと上智大学の共催)の表彰式が、2号館17階国際会議場で行われました。

今回は過去2回と異なり、高校生にも応募資格が与えられたほか、日本国内のSDGsの諸課題に関心を持ってもらうため、国内で撮影した写真のみを対象としました。応募者371人から約600点の作品が寄せられました。

厳正なる審査の結果、大賞(外務大臣賞)には、星野雄飛さん(文学部新聞学科2年)の作品「不調和」が選ばれ、賞状と賞金が外務省地球規模課題審議官の鈴木秀生氏から贈られました。

星野さんは「天の川や流星群という宇宙からの光と、海岸に打ち捨てられたスーパーのカゴを対比させることで、プラスチックゴミの問題を浮かび上がらせたかった」と作品への思いを語りました。また、優秀賞には久保田友宏さん(文学部新聞学科3年)の「炎と闘う」が選ばれたほか、武藤有紀さん(総合グローバル学部総合グローバル学科1年)の「過去と現在と未来と」も入賞するなど、上智大学からは3人が受賞しました。

なお、受賞作品全14点は、国連広報センターのウェブサイトに掲出されています。

第7代国連事務総長コフィ・アナンの回想-業績と試練

10月24日、2018年8月に死去したコフィ・アナン第7代国連事務総長の業績を振り返るプログラムが、2号館17階国際会議場にて開催されました。本プログラムは、元国連事務次長補でアナン氏の部下でもあったフランツ・バウマン氏と、元国連広報官の植木安弘総合グローバル学部教授の2人による対談形式で行われました。

アナン氏は1997年に国連職員出身としては初めて国連事務総長に就任。2001年には国連と共にノーベル平和賞を受賞しています。地域紛争への対処や大国に翻弄される国連の舵取りなど、常に緊張を強いられる現場を率いてきたアナン氏をよく知る2人の会話に、参加者も興味深く聞き入っていました。

アナン氏の功績を語る

上川陽子氏特別講演

10月27日、「SDGsについて法務大臣として取り組んできたこと~1年2か月を振り返って~」と題し、衆議院議員で前法務大臣の上川陽子氏特別講演会が2号館414教室にて開催されました。

東大作グローバル教育センター教授による紹介のあと上川氏が登壇。「大臣としてのSDGsへの取組姿勢」「『司法外交』の推進」「再犯防止に向けた取り組み」の順にこれまでの活動を解説し、会場一杯の参加者は熱心に耳を傾けていました。

講演する上川氏

SDG 8とSDG 9の達成に知っておくべき背景と事実-企業の戦略は?

10月29日、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)との共同企画による国際シンポジウムが、2号館17階国際会議場にて開催されました。

SDG 8は「働きがいも生きがいも」、9は「産業と技術革新の基礎をつくろう」をゴールとする取り組みです。始めに、ILOアジア太平洋地域局技能・就業能力専門家の坂本明子氏が基調報告を行いました。続いて、国際連合工業開発機関東京投資・技術移転促進事務所所長の安永裕幸氏から、同機関の事例報告などに基づき、イノベーションがもたらすSDG達成への期待が述べられました。

後半は、「仕事の未来と技能-AIと技術の革新の影響と対策-企業の戦略は?」と「SDG 8とSDG 9に向けた企業の取り組み」の2つのパネルディスカッションが行われた。いずれも企業、国際機関、シンクタンクから専門家が登壇し、活発な議論が展開されました。

その他に、次の写真展も行われました。
■国連写真展「People on the Move(移動する人々)」
10月15日(月)~ 26日(金) / 2号館1階 エントランスロビー
■「SDGs学生フォトコンテスト写真展」
10月29日(月)~ 11月9日(金) / 2号館1階 エントランスロビー

上智大学 Sophia University