上智大学発ベンチャー開発の医療用多言語対応アプリSoCHAS 獨協医科大学埼玉医療センターで実証実験開始

外国人の医療機関受診時に発生するコミュニケーション問題解決を目指し、更なる機能充実へ

上智大学の理工学部情報理工学科・高岡詠子教授らは、2015年より、医療・看護・福祉・介護分野に特化したタブレットアプリである医療用多言語対応情報提供システムSoCHAS(ソーカス=Sophia Cross-lingual Health Assistant System)の開発を進めています。2018年10月には、SoCHASの普及や運営管理を目的として、ソフィアメディカルインフォ株式会社(SMI)が学校法人上智学院の100%出資により設立され、開発責任者の高岡教授が代表取締役社長に就任しました。

本学は、2018年より獨協医科大学埼玉医療センターと共同研究を行っています。その中で、放射線部、眼科、内視鏡センターの検査に関するシーンについて共同で開発を行ってきました。このたび、2019年6月より、獨協医科大学埼玉医療センターで合計20台のiPadを用意し、この検査シーンを含む病院の様々な部署でSoCHASの実証実験を行うこととなりました。

これまで、本学保健センターでの留学生を対象とした実証実験のほか、2018年7月からは聖マリアンナ医科大学東横病院において実証実験を行っています。獨協医科大学埼玉医療センターでは、共同研究で開発した検査シーンをはじめ、外来、病棟、医療事務等各シーンで外国人患者を担当するスタッフに実際に使ってもらい、更なる機能充実を図ります。

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獨協医科大学埼玉医療センターでの実証実験概要

実施場所:
獨協医科大学埼玉医療センター (埼玉県越谷市南越谷2-1-50)

実施期間:
2019年6月~2020年3月

実施概要:
病院内で、3つのグループに分けて、順次実施。使用言語は英語と中国語です。
・第1グループ(検査):
放射線部、眼科、内視鏡センター(6月中にスタート)
・第2グループ:
総合案内、外来診療科(小児科・産科婦人科)、時間外外来はSoCHAS既存コンテンツにて6月中にスタート、
薬剤部、看護部(病棟)、外来科(受付・会計窓口用)はSoCHAS既存コンテンツの若干の修正を行い7月中にスタート予定
・第3グループ:
入院課、臨床検査部、リプロダクションセンター、総合患者支援センター

■実証実験後の展開
実証実験のフィードバックを受けて、アプリの更なる機能充実を図っていきます。

SoCHAS(ソーカス)概要

開発目的

来る東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、訪日外国人旅行者の受入れのための環境整備が急ピッチで進められています。SoCHASは、彼らが医療機関を受診した際に生じるコミュニケーション問題を解決するためのツールとして開発されたタブレットアプリです。医師、看護師、介護福祉士など、医療、福祉従事者と日本語を母語としない人々とのスムーズなコミュニケーションを支援します。

SoCHASの特徴

診療科選択から、医療機関での受付、問診、受診、会計、投薬という一連の流れで想定しうるコミュニケーションを洗い出し、医師の監修のもと約6万文例に取りまとめ、さらに10万語を収録した単語帳も有しています。タブレット端末にアプリをインストールする形式で、問診票よりも多岐にわたるコミュニケーションが対話形式で展開されます。例えば“痛み”でも、部位ごとの微妙な差異まで表現し、より的確な診療、処方への橋渡しを試みます。

SoCHASは翻訳のためのツールですが、機械翻訳ではありません。あらかじめ想定されるコミュニケーションのシーンを用意し、状況に応じてユーザーがその中から選択していきます。用意された各シーンは事前に翻訳されているため精度はほぼ100%です。また、辞書機能を設けることで、想定シーンに無くユーザーが知りたい単語や表現を多言語で提供することができます。

対応言語

日本語の他13言語(英・中・韓・ポルトガル・スペイン・フランス・ミャンマー・インドネシア・ベトナム・ネパール・フィリピン・
タイ・ロシア)

本件に関する問い合わせ先

上智大学理工学部情報理工学科 教授 高岡 詠子
TEL:03-3238-4123
sochas-info@ml.sophia.ac.jp

上智大学 Sophia University