行動科学的な観点から公衆衛生上の重大な問題に対するアプローチを提案
上智大学総合人間科学部心理学科の樋口 匡貴教授らの研究グループは、新型コロナウイルス感染症の対策として2020年4月に発出された緊急事態宣言の最中における、東京都民の感染予防・感染拡大予防行動と関連する認知的変数との関連に関する研究を行いました。その結果、外出や対人接触を回避する行動の増加および手洗い行動の増加について、以下の点が重要であることが示唆されました。
外出や対人接触を回避する行動の増加に影響する重要なポイント
- その行動をすべきと明示されること
- 多くの他者がそうしていると認知されること
- その行動がリスク軽減に効果があり、かつ簡単にできると認知されること
- その行動がリスク軽減に効果がない、あるいは簡単にはできないと感じている場合には、リスクそのものが強く認知されること
手洗い行動の増加に影響する重要なポイント
- 手洗いをすべきであると明示されること
- 面倒でなく、かつ簡単にできると認知されること
- 新型コロナウイルスに脅威を感じていること
これらの成果から、「密を避ける」といった新型コロナウイルス感染症への予防行動がどのようなメカニズムで実行されるのかに関するより詳細な検討へとつながり、感染や感染拡大予防に有効な政策や指針策定へと発展することが期待されます。本研究成果は、2021年3月26日に学術雑誌「日本公衆衛生雑誌」への採択が決定し、6月11日にJ-Stageにて早期公開されました。
論文名および著者
雑誌名: | 日本公衆衛生雑誌 |
論文名: | 新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言期間における予防行動の関連要因:東京都在住者を対象とした検討 |
オンライン版URL: | |
著者: | 樋口 匡貴(上智大学総合人間科学部)、荒井 弘和(法政大学文学部)、伊藤 拓(明治学院大学心理学部)、中村 菜々子(中央大学文学部)、甲斐 裕子(明治安田厚生事業団体力医学研究所) |
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