アンコール・ワット西参道修復工事が完了し、11月4日に完成式典が行われます

上智大学とカンボジア王国国立アンコール遺跡整備機構(アプサラ機構)は、日本国政府のODA(一般文化無償協力9,470万円相当)による支援を受け、2016年より「アンコール・ワット西参道修復工事」の第二期工事を開始し、8年の歳月をかけた共同作業により、今年11月に修復工事が完了します。

アンコール・ワット西参道から環濠、中央尖塔を望む

西参道の修復工事完成を記念し、11月4日に現地において、※アプサラ機構および上智大学アジア人材養成研究センター主催でアンコール・ワット西参道工事「完成式典」および「渡り初め儀式」が行われることになりました。式典には、カンボジア王国ノロドム・シハモニ国王陛下がご臨席され、国王陛下からサリ・アガスティン上智学院理事長への勲章親授も行われます。

※主催がカンボジア王国政府主催に変更になりました

全長200メートルの西参道全景。創建当時は両側にナーガ(蛇神)の欄干(てすり)が設置されていた。

アンコール・ワットは、12世紀に建立され、アンコール王朝の、そして現在のカンボジア王国の象徴です。「西参道」は、参詣者がアンコール・ワットの中央尖塔に向かうために設けられた環濠を横断する出入り口にあたり、過去に幾度か崩壊し、修復が繰り返されてきました。

石澤教授がプノンペンの王立芸術大学で集中講義。遺跡保存官の養成が開始された(1991年)。

工事の推進にあたり中心的な役割を果たしてきたのは石澤良昭教授(アジア人材養成研究センター所長)。内戦で失われたカンボジア人遺跡保存官の人材養成のため、1991年からプノンペンの王立芸術大学で考古学、建築学を学ぶ大学生のために集中講義を開始。1996年、西参道第一期修復工事の着工と同時に、シェムリアップ市内に上智大学アジア人材養成研究センターを建設、修復工事現場に寄り添いながら、今日まで33年間にわたり保存官養成に尽力してきました。

修復された中央テラス全景。シンハ立像およびナーガ(蛇神)が加護している。

今回の修復工事完成により、800年前のアンコール王朝の隆盛を今に伝える、東南アジア最大級の石造大伽藍、アンコール・ワット本殿に向かって、参詣者は西参道を再び渡ってゆくことができるようになりました。

 

なお、上智大学とアプサラ機構は完成式典に先立ち、アンコール・ワット西参道の保守管理およびカンボジア人保存官の技術専門研修の継続を主眼とする、新しい協定書を取り交わし、引き続き共同作業を継続してゆきます。

上智大学 Sophia University