日韓関係を多角的に捉える契機となったソウル大学への留学

■名前:嶋田立希
■学部学科・学年(留学当時):総合グローバル学部 総合グローバル学科 3年
■留学時期:2023年2月~2023年7月
■留学先(国・大学):韓国・ソウル大学 (Seoul National University:SNU)
■留学形態:交換留学

上智大学では毎年多くの学生が日本を飛び出して世界各国に留学しています。言語、文化、生活習慣の違いを乗り越えた先に見えたものとは。留学した学生たちの声を集めました。

留学に行こうと考えたきっかけは何ですか。

高校生より東アジア地域に興味を持っていたために、元々大学生のうちに交換留学に行きたいと考えていました。入学後も専攻学問を学んでいる中で、実際に日韓関係について現地の大学で学びたいと思ったほか、現地でしか学べないことも学んでみたいという気持ちが強まったために交換留学に行くことを決意しました。

留学先(国・大学)はどのように選びましたか

留学当初は韓国・香港・台湾のいずれかの大学に行きたいと考えていましたが、その中でも学部での学びを通して、日韓関係の変遷を歴史的・社会的・文化的などの多角的な観点から学びたいという想いが芽生え、最終的に韓国への留学を決めました。ソウル大学を選んだ理由は、各交換留学先のシラバスを一校ずつ調べ、自身が学びたい分野や受けたい授業が最も充実している大学がソウル大学だったからです。

留学前に不安に感じていたことはありますか。

生活面と学業面の両方で不安を感じていました。今まで一人暮らしをしたことがなかったために、家族と離れて一人で生活できるのかという不安がありました。同時に学業面でも、韓国国内でもレベルの高い大学であることから、授業についていけるかどうかという心配も感じていました。

留学のために準備したこと、また、しておけばよかったと思う事はなんですか?

留学先では、朝鮮半島や韓国の歴史に関する講義を2つ履修する予定であったために、韓国や朝鮮半島の歴史や社会に関する書籍を読んでから留学に行きました。しかし留学先の授業の中で、「日本人としてどう思う?」などと日本人としての意見を聞かれることも非常に多かったために、日本の歴史や社会、文化についてより学ぶべきであったと感じました。

大学や学生の雰囲気はどうでしたか。

韓国でも最も優秀な大学の一つであることから、優秀な学生が非常に多いと感じました。授業中の議論でも、自身にはない考えや価値観を持っている学生が多く、自身が常に成長できる学びの環境だったと思います。大学はソウル中心部から離れている場所に位置しているために、広大なキャンパスを有しており、キャンパス内を循環するシャトルバスが運行されているほか、周りを山に囲まれていたことから自然豊かであったために、大自然を感じながら勉強に集中することができる環境でした。

どのように交友関係を広げていきましたか?

100年の歴史を持つソウルの広蔵市場に友人と行った際の一枚

SNU Buddyと呼ばれる、留学生の受け入れを担当するSNUの国際協力本部傘下の組織として、2~3人の交換留学生と1人のSNU正規生をマッチさせるバディープログラムに参加しました。韓国人の友人はもちろん、複数のバディーを一つのグループにしたアクティビティーも多くあったために、アクティビティーに参加することで同じグループの多くの交換留学生の友人も作ることができました。他にも、SNUの正規生の友人が他の韓国人を紹介してくれるなど、SNU Buddy以外の韓国人の友人も作ることもできました。

授業の様子、学習内容、試験などは日本と比較して違いがありましたか?

どの授業にもディスカッションの時間が設けられていたことから、常にディスカッションを意識しながら講義を受けていました。学習内容に関しては、留学中の一つの目標として、現地でしか学べないことを中心に履修科目を決めたいと考えていたため、日本では学べないような北朝鮮の歴史や朝鮮半島情勢、現代韓国社会における社会問題、韓国の伝統音楽や伝統楽器など、多岐に渡る学問分野の授業を履修しました。

学業以外でもっとも力を入れたことは何ですか。

ソウル大学のハングル略字である「ㅅ」「ㄱ」「ㄷ」を組み合わせた、有名な「샤」門の前で

「百聞は一見に如かず」という言葉がある通り、実際に学んだことを自分の目で確かめるという、フィールドワークに行くことにも力を入れました。留学中の講義では、韓国や朝鮮半島の歴史についても多く学んでいたことから、実際に講義の中で登場した都市を巡るフィールドワークを行いました。光州事件の舞台となった光州市や南東部の大邱市、新羅の古都である慶州市、北朝鮮との境界である軍事境界線を巡るツアーに参加するなど、講義にて実際に学んだことを自分の目で確かめることでより講義内容が身に付いたと感じています。

留学先ならではの魅力や、新たに気付いた点は何ですか?

ソウル大学のキャンパスから登ることができる、冠岳山の頂上にて登頂した記念の一枚

メインキャンパスが冠岳山と呼ばれる山の中にあるために、広大な敷地のキャンパスの自然を満喫することができる環境でした。落ち着いたキャンパスの中で、音楽を聴きながらのんびり散歩することが特に好きでした。

最も印象に残っている出来事や、衝撃を受けたことは何ですか

授業内で日韓関係に関するディスカッションを行った際に、クラスメイトの異なる視点の意見から、自身の考えは日本の教育やメディアの情報の一方向からの物の見方であったと気づき、多面的に物を考える視点が大切であると気づくことができました。

留学中のトラブル、大変だった事は何ですか?また、どのように乗り越えましたか?

どの講義でも毎回ディスカッションを行っていたため、ディスカッションについていくことが大変でした。そのためにも事前に授業の予習を行ったり、ディスカッションテーマが授業内容と沿ったものであったために、自身がどういうことを話したいかを授業前に考えていたりすることで、ディスカッションに備えていました。

留学の前後で比較して、成長できたと実感する点や意識が変わった点はどこですか?

韓国の国技であるテコンドーの文化体験をした際の一枚

短い留学期間であったことから、色々なことに挑戦しようと行動したことがきっかけで、日本に帰国後も色々なことに挑戦しようという行動力が上がったと感じています。留学中から、たった一度の留学だから色々な経験をしてみたいという考えのもと、様々な行事や体験に参加したために、何事にも恐れずに挑戦するという意識の変革があったと思います。

留学経験は今後の人生にどう影響しそうですか?

帰国する前日に、一番仲良かった友人たちと最後にお出掛け

この留学を通して、やったことがない事柄に対しても「とりあえずやってみよう」という挑戦する大切さを学ぶことができたために、今後の人生においても様々な事柄に対して、主体的に行動することを活かしていきたいと思います。

留学に行こうか迷っている人に一言

「後悔は美徳の春」という言葉もある通り、たとえ留学中に失敗したとしても、その失敗した経験が自分を成長させるきっかけになるということを実感しました。自分自身も留学中に何度も挫折や失敗を経験しましたが、それらの経験が自分を成長させ、強くしてくれたと思っています。同時に様々な人と出会い、かけがえのない友人も作ることができました。色々な人と出会い、共に笑って泣いた時間は一生の宝物です。この留学を通して、色々な人と触れることで自分にはなかった考えや価値観を学ぶことができ、素敵な友人とかけがえのない経験をし、成長した自分とも出会うことができました。ぜひ勇気を振り絞って、一歩踏み出して、素敵な留学生活を送っていただければと思っています。

上智大学 Sophia University