文学部新聞学科の学生が手がけた作品が 「みんなの人権・映像フェスティバル」において3年連続で入賞しました

差別のない社会を実現するために人権に配慮した映像作品を評価する第3回「みんなの人権・映像フェスティバル」において、文学部新聞学科に所属する学生たちがグループで制作した作品「Re:再び」が大賞に次ぐ優秀賞を受賞しました。

世界人権宣言大阪連絡会議が主催するこのフェスティバルは、映像の力で「差別のない人権が尊重された社会づくり」を目指すもので、主に関西在住のテレビや映画関係者らが審査委員を務めているほか、お笑い芸人でYouTuberのせやろがいおじさんが審査委員長を務めています。

受賞したのは新聞学科3年で水島宏明教授のゼミでドキュメンタリー制作に取り組んでいる龍村仁美さん、中野美子さん、水野葉月さん、楠本夏花さん、竹下晋平さんの5人です。このフェスティバルでの新聞学科生の入賞は3年連続です。

優秀賞に選ばれた「Re:再び」から
優秀賞に選ばれた「Re:再び」から

彼らは大学2年生の夏休み、ゼミの合宿で生活に困窮する人が多く住む大阪・西成区に1週間滞在しました。そこでかつての日雇い労働者や生活保護を受けている人など様々な事情で社会の中で「生きづらさ」を抱える人たちに出会いました。

そうした人々の“生き直し”を支えるNPO釜ヶ崎支援機構が運営する「どーん!と西成」という“居場所”の日常を記録してドキュメンタリー「Re:再び」を制作しました。カメラを通して見えてきたのはひきこもりや精神疾患など様々な事情で生活保護を受け、西成で暮らす人々が再生する姿です。

5人は西成という街の存在や社会的構図における貧困の問題に目を向けるきっかけになればと考えて、映像作品にしました。その中では西成に対する偏見・差別や貧困当事者への先入観や偏見について取材した学生たちも自分自身の中にそういった意識がないか自問自答して考えようとしています。

表彰される龍村仁美さん(向かって右)と竹下晋平さん
記念シンポジウムの様子=向かって右から3人目が龍村仁美さん

審査員からは、「自己責任が声高に言われる現代社会で批判を受ける生活保護受給者が多い西成地区の取材を通して、制作者自身が西成に問題があるのではなく、自分たちを含めた社会の無知や偏見、価値観が問題だと気づく。さまざまな支援者や当事者のインタビューから、視聴者も制作者の学びや気づきを共有できる。西成に対する差別や偏見をなくすことにも貢献する」と評価されました。

4月26日に大阪で行われた授賞式には、龍村仁美さんと竹下晋平さんが出席。賞状を受けた後で記念のシンポジウムに龍村さんが登壇し、取材を通して得た学びについて他の登壇者たちと議論しました。

受賞学生たちの喜びの声

龍村 仁美さん(ディレクター担当)

人権という当たり前にありつつも自覚が難しい問題について、大学生なりの視点でアプローチできたのがよかったと思います。私たち自身も新たな問題意識が生まれた時間でした。関わってくださった皆様、ありがとうございました。

竹下 晋平さん(撮影・インタビュー担当)

5人で作った作品が優秀賞に選ばれてとても嬉しいです。

楠本 夏花さん(ナレーション担当)

この作品をより多くの人に見てもらい、日本における貧困とその偏見についてより多くの人に考えてもらうきっかけになれば嬉しいです。

中野 美子さん(撮影・インタビュー担当)

この度の受賞大変嬉しく思います。これからも映像制作を通して社会の様々な問題に目を向けていきたいです。

水野葉月さん(プロデューサー担当)

取材の中で貴重なお話を聞かせて下さった皆様に、心から感謝申し上げます。私たちが西成で得た気づきや学びを共有することで、作品を見た方が何かを考えるきっかけとなればと思います。


第3回「みんなの人権・映像フェスティバル」の入賞作品ついては こちらをご覧ください。

上智大学 Sophia University