出会い、学ぶなかで気づいた、日本とカナダの共通点

上智大学では毎年多くの学生が日本を飛び出して世界各国に留学しています。言語、文化、生活習慣の違いを乗り越えた先に見えたものとは。留学した学生たちの声を集めました。
留学に行こうと考えたきっかけは何ですか。
幼少期からイギリスやチェコなど複数の国で育ち、多様な価値観に触れてきました。しかしウクライナ侵攻を機に海外の大学に進学した友人との情報の捉え方や考え方の違いを実感し、異なる価値観を持つ同世代の学生と交流することで、自分の視野を広げたいと強く思うようになりました。そして、国際情勢や自分の社会的役割を深く学ぶため、留学を決意しました。
留学先(国・大学)はどのように選びましたか。
カナダを選んだ理由は大きく二つあります。まず、純粋に行ってみたい国でした。幼少期にヨーロッパと日本で育った自分にとって、これまで関わることのなかった北米で新しい価値観を学び、北米から見た世界観やヨーロッパ、そして日本との違いを知りたいと思いました。そしてもう一つは、大学での難民支援活動を通じて先住民族学に興味を持ち、その分野に強いカナダのマニトバ大学に魅力を感じたからです。ただ、上智からマニトバ大学に留学した前例がなく、情報が全くなかったのは不安に感じました。
留学のために準備したこと、また、しておけばよかったことはなんですか。
学生VISAの準備、航空券の手配(往復)、奨学金の申し込みは、留学の許可が出て日程がわかってすぐに始めました。かなり余裕をもって準備していてよかったです。
一方で、寮の申し込みと米国ESTAのビザ申請はもっと早くしておけばよかったと後悔しています。大学寮の申し込みは2023年4月頃から始まっていましたが、メールに気づかず申し込みが遅れ、第一希望の寮に入ることができませんでした。米国ESTAはカナダに行く際のアメリカ乗り換え時にも必要だということを知らずに空港に行き、出発直前ギリギリにビザを発行し、危うく飛行機を逃しかけました。
どのように交友関係を広げていきましたか。

大学のイベントに積極的に参加し、自分から出会いを増やす努力をしました。また日常生活でも授業で隣に座った人やグループが一緒になった人に積極的に話しかけ、連絡先を交換し、自分から遊びに誘うようにしました。
授業の様子、学習内容、試験などは日本と比較して違いがありましたか?
みんな授業に誠心誠意取り組む姿が印象的でした。テスト期間でなくても、図書館で予習・復習をする人が多くいました。
国際教養学部はもともと課題が多い学部なので、授業の形式や課題の量、試験は似ているなと感じました。しかし、学習内容に関しては、犯罪経済学やジェンダー経済学など、特化した分野の学びが多く、具体的で非常に学びがいがありました。
学業以外でもっとも力を入れたことは何ですか。

新しい街・お店を開拓したり、マニトバ州だけでなく、トロントやバンクーバーなど違う地域に行ったり、そして違う国に旅行したり、と新しい価値観と文化に触れ吸収することに力を入れました。
留学先ならではの魅力や、新たに気づいた点は何ですか。

日本で出会うことのない文化・宗教・価値観を持った人と出会えたことが、大きな収穫です。そして、他の国の文化や歴史を勉強することによって、より日本の文化に興味関心が湧きました。私の場合は、先住民族学の歴史について深く学ぶきっかけになりました。
また、カナダ人と日本人は文化や価値観等の面で似ている点が多いと気づきました。謝罪から文章を始めるというような、ちょっと謙遜するところや礼儀を重んじるところなど、日本の文化と意外と似ていてびっくりしました。「違う国だから」と価値観の違いを求めすぎていたのかもしれませんが、どこの国に行っても結局みんな同じ人なんだと感じさせられた留学でもありました。
留学中のトラブル、大変だったことは何ですか?また、どのように乗り越えましたか?
バンクーバーに一人旅をした際、帰りの便の出発1日前に航空会社が倒産し、フライトがキャンセルされて帰れなくなりました。最初は泊まる場所もなく、どんどん高くなる航空券料金に焦りましたが、最終的にカプセルホテルに泊まり、3時間離れた郊外の空港からのチケットを手配して無事に帰ることができました。
留学の前後で比較して、成長できたと実感する点や意識が変わった点はどこですか?

精神面と学力面の両面で成長を感じました。精神面では、どのような場面でも動じずに臨機応変に対応する能力がついたと実感しています。ゼロから自分の生活基盤を築き、人間関係を構築するなかで孤独に感じることもありましたが、それを乗り越えたことで精神的に大きく成長し、自信に繋がりました。
また、学力面では、カナダの先住民族学という日本では学ぶ機会の少ない分野の知識を吸収できたこと。また、経済学の授業でも積極的に教授にフィードバックを求めて、名前を覚えてもらうほど関わりを深め、良い成績を収めることができたことで、大きな成長を感じられました。
留学経験は今後の人生にどう影響しそうですか?
辛いことがあったときに、留学経験が心の支えになると感じます。また、留学を通してより自分自身の多様なバックグラウンドを認めてあげることができました。
留学に行こうか迷っている人に一言
新しい国に行くことはとても大きな決断です。最初の1か月は精神的に辛いかもしれません。でも困難を乗り越えた先には楽しい留学生活とこの上ない達成感が待っています。今まで出会ったことのないバックグラウンドの人や見たことのないような街並み、全てが新鮮で貴重で一生忘れることはありません。自分の好奇心を信じて、ぜひチャレンジしてみてください!