スペインに飛び込んだら育まれた「なんとかなるよ」のラテン精神

■名前:加藤梨乃
■学部学科:文学部英文学科
■留学時期:2022年8月~2023年7月
■留学先(国・大学):スペイン・マドリード自治大学
■留学形態:交換留学

上智大学では毎年多くの学生が日本を飛び出して世界各国に留学しています。言語、文化、生活習慣の違いを乗り越えた先に見えたものとは。留学した学生たちの声を集めました。

-スペインに留学に行こうと思ったきっかけは何ですか。

国際交流に興味があり留学に行きたいと考えていましたが、入学後、周りの豊富な海外体験や語学力に圧倒され諦めかけていました。しかし、大学での留学生との出会いや友人たちが留学に行く姿を見て、自分も挑戦してみようと決意できました。日本に来る多くの留学生にとって日本語は、自国語、英語に次ぐ第3言語。自分も日常言語が英語ではない国で生活をしてみたかったので、スペインという国を選びました。

-留学のために準備したことは何ですか。

イスパニア語(=スペイン語)の会話力を鍛えました。交換留学の審査のための面接をイスパニア語で受ける為、通常の語学科目に加え、ハイレベルのイスパニア語の文法や会話の授業も履修しました。また、授業外でも、LLCという外国語学習をサポートする施設でもイスパニア語話者を見つけ、コミュニケーションを取りました。

-留学前にしておけばよかったと思う事はありますか。

日本語を教える際に必要な知識をもっと知っておけばよかったと思いました。日本語を学んでいる学生が世界中にいると知り、日本語ネイティブとして役に立つということも留学中の目標でした。母語話者であるがゆえに細かい文法知識などを言葉で説明することが難しく、うまく伝えることができなかったので事前に学んでおけばよかったと思いました。

-大学や学生の雰囲気はどうでしたか。

大学がある駅はほぼ大学しかなく、学部ごとに校舎が違っていたり、敷地内に寮やラグビー場などのスポーツ施設が存在するほど土地が広かったりと上智とはまた違う大学生活を送ることができました。学生の雰囲気はスペインで出会う人全般に言えることですが、とても開放的で優しい人が多いと感じました。日本語学科は先生と学生の距離が近く感じ、大学というより高校のようでした。

-どのように交友関係を広げていきましたか。

日本会と茶道のイベントを日本食レストランで実施した時の写真です。合計約40名が参加してくれ、なかには卒業旅行で日本に行くから日本文化を知りたいと来てくれた人もおり、日本への関心の高さに驚きました。

授業初日に廊下で目が合った子に話しかけて友達になれた体験から、色々な人に話してみようという自信に繋がりました。また、日本語のクラスを受講していたのでそこから交友関係が広がりました。その他の授業でも周りの人に話しかけて友達を作っていました。授業以外にも、日本語クラスの先生や学生と「和-む会」という親睦を深めるサークルや日本語を学ぶイベントを通じて交友関係が広がりました。日本会(Associación Japón)もあり、茶道体験、ピクニックなどへの参加を通して日本語専攻の学生以外でも日本に興味のある学生と出会えました。さらに、国際交流基金主催の言語交流会でも大学以外の友人は増えました。

-授業の様子、学習内容、試験などは日本と比較して違いがありましたか。

授業は基本的には週2回合計3時間なのですが、先生によっては週1回3時間、日本語のクラスはシラバス上3時間でも日本語を学ぶ時間が足りないとのことで週4時間だったりと、かなり自由でした。決まった時間割がないので、チャイムが鳴らないこと、移動時間が考慮されていないことには驚きました。だからなのか?常に遅れて始まります。授業の様子は、和やかな雰囲気のクラスがほとんどでした。しかし、ある授業では、ルーツや文化的背景の違いから先生と学生の意見が合わず言い合いになってしまうことも。日本語の授業では、TAのような立ち位置からサポートするのみならず、授業を任せてもらったり、会話テストにも先生側として参加させてもらったりと、かなり臨機応変に対応していただきました。

-学業以外でもっとも力を入れたことは何ですか。

上智のオンラインイベントで出会った友人がおうちに招待してくれ、ブルゴスに行きました。ご家族が近くの観光地に連れて行ってくれました!

マドリード自治大学と上智大学とのオンライン言語交流会を開催したことです。日本語の授業や学生との交流を通し、日本語の会話機会の少なさの弊害を感じたこと、交換留学先として上智(語学要件や物価の高さ、東京が怖い理由から)の人気があまり感じられなかったので、上智を身近に感じて留学にきてほしいと思い企画しました。日本会のメンバーに働きかけ、情報伝達の面ではグローバル教育センターや第二外国語の先生に協力してもらいました。

-留学先ならではの魅力や、新たに気付いた点は何ですか。

日本語学科の友人らの卒業式を見に行きました!1年間とてもお世話になった皆の晴れ姿を見ることができ嬉しかったです:)

スペインは人がとても暖かく、困っている人がいたら見知らぬ人でも助け合い、慈愛の精神が強いと感じ、首都という面もあると思いますがどんな人でも受け入れられると感じました。新たに気づいたことは、日本では外国人に対し英語で話すことは失礼なことなのではないかということです。スペインでは見た目がアジア人の私にもスペイン語で話してくれました。日本では外国人を見ると英語で話さないと、と思ってしまうことが多いと感じますが、日本に来る外国人の母語が皆英語というわけではないし、日本語を話す人もいます。相手に意図はないと思いますが、スペイン語で話しかけてくれることに対し、対等に接してくれていると感じ嬉しく思いました。だから、日本に帰ったら私もまずは日本語で話すことを心がけようと思いました。

-留学の前後で比較して、成長できたと実感する点はありますか。

同じクラスの友達のお家でクリスマスを過ごした時の写真です。スペインの家庭でのクリスマスを体験させてもらいました。

“気になったらやってみよう!”の精神が身についたことと、ポジティブな自分を発見できたことです。もともと心配性な性格だったので、以前はやる前に想像を膨らませてしまい不安に感じることもあったのですが、1年しかない貴重な時間を無駄なく過ごそうと考え、なんでもやってみようというマインドで過ごすことを心がけていました。少しの勇気や自分の発信が別のことに繋がることを学び、“人生なんでもチャレンジが大切だ”と強く感じます。また、現地に着いてスペイン語がまるでわからない時も、できたことや伸び代に目を向け落ち込むことがない意外とポジティブな自分に驚きました。さらに現地の友人たちものんびりとしていて、年齢や職業にとらわれない生き方、どっしりと構えた様子、「なんとかなるよ〜」といつも言ってくれることから、ラテンの精神が育まれたと思います。

-留学経験は今後の人生にどう影響しそうですか

大学で習い始めたフラメンコのクラスの先生のフェリア(お祭り)に行った際の先生との写真です。

なんでもやってみるチャレンジ精神は私の人生の選択肢の幅を大きく広げるだろうと思います。帰国間際に、この留学経験やこれまでの学内での国際交流経験を大学に還元したいと思い、自分に務まるのか心配もあったのですが、グローバル教育センターの学生職員に応募してみました。前向きにチャレンジし続ける人であり続けたいです。

-留学に行こうか迷っている人に一言

留学ではかけがえのない友人たちに出会うことができ、日本以外の帰る場所ができました。4年生から留学に行く人はあまり多くないかもしれませんが、単位数を気にせず好きな授業を取れることや、これまでに学んだ科目の知識や大学生活での経験を活かせることなど利点は多々あると思います!学年や学部学科を気にせず挑戦してみてください!!

上智大学 Sophia University