学科の特色
放射性物質による汚染、地球温暖化、酸性雨、オゾン層破壊、海洋汚染、砂漠化の拡大、廃棄物の不法投棄、アスベスト問題など、人類の生存に対する深刻な事態が地球規模で生じています。法的枠組みがなければ環境問題の深刻化を防ぐことはできず、また環境破壊が一度生じてしまうと、失われた環境や健康を元通りにすることは困難です。
地球環境法学科はそうした現代社会の要請と期待に応えるべく、環境行政・政策についての専門知識を備えた行政官、環境問題を扱う弁護士、企業における環境対策の専門家、環境NGOスタッフなど、さまざまなタイプの専門家育成も大きな目標としています。
地球環境法特修コース
地球環境法学科の学生は、法学部生として通常の履修もできますが、環境法関係科目を集中的に履修することも可能です。地球環境法学科は、環境法に特化した「特修コース」を整備し、優秀な成績で修了した学生に対してコースの修了認定を行っています。多くの学生が認定を受け、環境法のスペシャリストとして世に羽ばたいていくことを願っています。
カリキュラムの特徴
環境法の専門的知識とあわせて国際社会への理解力を培い、世界の課題と向き合う素養を修得する
法律の基本科目を修得したうえで、「環境法入門」「環境法総論」といった基礎から「環境訴訟法」「自然保護法」などの専門へと発展的に学び、世界の環境関連ルールの知識と思考力を身につけます。
行政や企業など異なる舞台における環境と法の関係性や、アメリカやヨーロッパ、アジアなど、地域ごとの環境法のあり方も探究。環境問題に関する世界と日本の法システムに関する素養と法的思考力に加えて、国際関係法学科の科目群を通して得られる国際法・比較法の視点や、政治学、行政学など多方面のアプローチから身につく学際的な知見も、持続可能な社会を創り支えるための力となるでしょう。
※科目の詳細については、シラバスをご覧ください
科目紹介
- 環境法総論
環境問題の多様化と国際化により、環境法の分野では国内法や国際条約が数多く生まれています。また、画期的な裁判判決も現れており、講義ではこれらの具体例を題材に、環境法制を概観します。
- 自治体環境法
自治体環境行政をめぐる法と政策について、条例、要網、協定、環境アセスメントなどに触れながら解説します。あわせてゲストによる講演を行い、自治体環境行政における現場の実態への理解を深めます。
- 自然保護法
自然保護を目的とする法律および自然保護と密接な関係を持つ法律を概観し、その意義および問題点を考察します。自然環境保全法や自然公園法などの個別法令についても触れています。
- 環境訴訟法
大気汚染、水質汚濁、騒音、日照・眺望侵害、土壌汚染など、さまざまな環境訴訟の判例・事例検討を通じて、環境紛争を司法審査で解決する手法、すなわち環境訴訟の理論と実務を学びます。
- 環境法各論
総論で学んだ知識をもとに、主要な国内環境法を深掘りします。条文や判決に則しつつ、さまざまな環境問題に対して環境法がどのような発想による法的仕組みでアプローチしているのかを考察します。
- 廃棄物・リサイクル法
環境法の一分野である廃棄物・リサイクル法制は、社会の持続可能な発展を実現するという重要な使命を担っています。講義では廃棄物処理法を中心として、関係する法制度について学習します。
取得可能な教員免許と教科
法学部生は教職課程を履修することはできません。
学芸員課程は履修できます。
学生の研究テーマ例
- TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)と環境経営
- 食品ロス削減に向けた提言
- 自治体温暖化政策の比較研究
- 香害政策の現状と課題
- 小笠原諸島の外来生物対策
- 環境マネジメントシステムの有効性
- 国内排出量取引制度の展望と課題
- 日仏都市政策の比較研究―高さ制限と住民合意
教育の目的・方針
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環境問題にかかわる世界と日本の法システムに関する素養を身につけ、環境問題を法的観点から総合的・多角的に検討する能力を養うこと
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環境法研究者、企業活動に係る環境法のエキスパート、環境法の知見を有する実務家や環境NGOで活躍しうる人材、環境法の専門家として母国で活躍できる人材を養成すること
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本学科は、地球環境に配慮した持続可能な社会の実現に向けて、次のような資質・能力を修得した人材の養成を目的として、学生が卒業時に身につけているべき能力や知識を次のように定めています。卒業要件を満たせば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
- 法的な観点から環境問題を検討するため、日本の法制度に関する基本的な素養と問題解決のための思考枠組を修得し、現実の環境問題にそれを応用する能力
- 個別の環境問題について発展しつつある日本の法制度の特徴を理解し、それぞれの問題領域の特殊性もふまえながら、適切な問題解決のあり方について考える能力
- 環境問題に関する外国や国際社会の法制度を学び、よりグローバルな視野から問題を考える能力
- 法学に限定されない学際的な視野から、環境問題の解決に資する今後の政策のあり方を考える能力
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本学科は、ディプロマ・ポリシーに沿って、次のようにカリキュラムを編成しています。
- 日本法に対する素養や思考枠組を養うため、憲法、民法といった法律基本科目について、特に基本的な講義を必修科目として提供するとともに、学生のニーズに応じて選択可能な講義を幅広く配置する。
- 法学の知見や思考枠組みをさまざまな環境問題に応用して考える力を養うため、日本の環境法に関わる基本的な講義を必修科目として提供するとともに、個別の環境法制度に関わる講義などを選択必修科目・選択科目として配置する。
- 国際的な視野から発展的に問題を考える力を養うため、外国や国際社会における環境法などに関わる講義を選択必修科目・選択科目として配置する。
- 適切な環境法政策のあり方をさらに学際的に考えるための視点を養うため、政治学、社会学等の隣接科目に関わる講義を、選択必修科目・選択科目として配置する。
- 関連科目の理解を深めると同時に、討論・論述などの能力の向上を図り、現実の問題解決に資する思考力と発信力を養うため、1年次の導入的な科目として、また4年次の必修科目(3年次も履修可)として、少人数の演習を配置する。
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本学科では、主に法学と政治学の観点から、日本や世界が直面している環境問題への取り組みに資する能力を養成します。そのため以下のような特質を有する学生を求めています。
- 環境問題に関わる人間や社会のあり方に対して、高い関心を有する学生
- 海外事情・国際情勢に対する幅広い関心と一定の語学力を備え、グローバル化する環境問題にも対応しうる学生
- 社会科学一般を中心に柔軟かつ広範な関心を有する学生