ドイツ文学科

ドイツ語とドイツ語圏文化を起点に、多様性にあふれるヨーロッパ文化の深部に触れる

学科の特色

総合的なドイツ語能力を習得しながら、ドイツ語圏の文学と文化を学びます。専門科目を通じて、ドイツ・オーストリア・スイス・チェコなどヨーロッパ中央域の、多様で複雑な歴史と文化に関する理解を深めるとともに、テキストの読解に必要な論理的思考能力、想像力を育みます。異なる文化について考察することは、現在の日本と自分自身のあり方を問い直すきっかけにもなるでしょう。

ドイツ文学科では、ドイツ語の学習とドイツ語圏の文学・文化の研究を通じて、世界と人間に対する柔軟かつ鋭敏な洞察力を培い、高度な言語表現力と文化の発信力を身につけた人材を育成することを目指します。

カリキュラムの特徴

1〜2年次ではドイツ語の読む・聞く・書く・話す力を基礎から身につけ、同時にドイツ文学の入門、研究基礎の科目を通してドイツ文化の知識や考え方を学びます。なお2年次秋学期には、5名の学生を上限として、ドイツのデュッセルドルフ大学で所定の科目を履修する在外履修制度も設置しています。

3〜4年次には学科科目A群の「文献演習」で文学作品を講読し、B群ではさまざまな作品をテーマとして、ドイツ語圏の文学、芸術、言語について体系的かつ多面的に学びます。そして積み上げた語学力とドイツ文学・文化の知識を活用し、4年次には卒業研究に取り組みます。

※科目の詳細については、シラバスをご覧ください

科目紹介

ドイツ文学入門(1年次)

中世から19世紀前半、19世紀前半から現代(ロマン主義以降)に分けて、文学作品に多く触れながら、ドイツ語文学の流れを、ヨーロッパ全体の社会的背景や思想的背景に照らしながらたどります。

ドイツ文学研究基礎(2年次)

ドイツ文学・文化研究に必要となる考察力、資料の検索と活用、テキスト解釈のテクニック、論文執筆方法などを身につけます。また自主研究の成果の口頭発表と論文執筆を行います。

ドイツ文化・思想史(3~4年次)

ドイツ語圏の文化・思想の変遷を、歴史上の人物の生涯やその影響に注目しながらたどります。また哲学・文学・美術・音楽など、さまざまな文化現象をネイティブ教員のもとで具体的に学びます。

文献演習(3~4年次)

詩・小説・戯曲・エッセイなど多様なジャンルの文学作品をドイツ語で講読し、表現の豊かさを味わいます。また作品が生まれた歴史的・文化的背景を学び、作品解釈の可能性をゼミ形式で探求します。

ドイツ文化研究系列(3~4年次)

演劇・音楽・美術・映画など、文学以外の芸術領域、またスイスやオーストリアの歴史や文化、日独比較文化論を学びます。この科目群を通じてドイツ語圏文化の多様性と深さに触れることができます。

ドイツ語学研究系列(2~4年次)

会話や作文などの演習を通してドイツ語の実践的な運用能力をさらに高めます。翻訳・通訳といった異言語間交流について実践的に学びながら、異文化理解を深めていきます。

取得可能な教員免許と教科

  • 中学校教諭1種(ドイツ語)
  • 高等学校教諭1種(ドイツ語)

学芸員課程が履修できます。

教育の目的・方針

総合的なドイツ語運用能力を習得し、古典から現代にいたるドイツ語圏の文学、思想、美術、音楽などを歴史的・文化的文脈のなかで考察する能力を養うこと

ドイツ語圏の文学・文化を広い視野において考察することを通じて、複眼的な視点、柔軟な判断力、高度な言語表現能力をもつ人材を養成すること

本学科では、ドイツ語の学修とドイツ語圏を中心とする欧米の文学・文化の研究によって、以下の資質を備えた人材の養成を目的としており、学生が卒業時に身につけているべき能力や知識を次のように定めています。卒業要件を満たした学生には、学位を授与します。

 

  1. 総合的なドイツ語技能(読む・聞く・話す・書く)を修得することで、ドイツ語話者との共感に基づく高度なコミュニケーションを、日常会話から学問的議論まで、様々なレベルにおいて実現する能力
  2. 文学及び美術や音楽など、諸芸術の研究・享受により育まれた豊かな想像力と論理的創造的思考力をもって、古今の多種多様なテキストの意味内容を的確に把握する能力
  3. 様々な時代や地域、文化現象における問題点、研究テーマを自ら発見し、分析的に考察する能力。またそれによって得た知識や見解をドイツ語ないし日本語で明晰に表現する能力
  4. ドイツ語と英語の学修によって獲得された「複言語主義」的視点において、世界の多様さと豊穣さを認識し、多角的な視座から人間の来し方行く末を洞察する能力
  5. 自国とは異種の思想・文化を歴史的社会的背景もろとも理解することで、他者に向かって開かれた精神性を身につけ、ドイツ語圏文化に関する広範かつ深い理解に基づいて、自国と欧米諸国との相互理解、文化交流に貢献する能力

本学科では、ディプロマ・ポリシーに沿って、異文化間交流に寄与する資質と能力を開発・促進するため、ドイツ語の学修及びドイツ語圏文化の研究を軸に、次のようにカリキュラムを編成しています。

 

  1. 1・2年次では、総合的実践的なドイツ語能力(会話・読解・作文)を短期間で確実に体得できるよう、日本人とネイティブ教員が連携して実施する少人数の語学授業に能動的に参与させる。
  2. 初年次においては、ドイツ語圏の言語・歴史・芸術に関する概括的な知識、文化研究の方法論を修得し、さらに人文科学研究における問題意識を培うための科目群を配置する。
  3. 3・4年次では、ドイツ語圏の文学、諸芸術を主題とする多様な講義・演習、上級レベルのドイツ語科目を通じて学識を深化させると共に、批判的分析能力、総合的判断能力、実践的コミュニケーション力を養う。
  4. 4年次には、在学中に修得した文化研究の手法及び知識の集大成として、また優れて学問的な論理構成力を身につけられるよう、教員の個別指導の下、日本語ないしドイツ語での卒業論文を作成させる。
  5. 日独比較文化研究、文学部横断プログラム、他学部他学科開講科目の履修、またドイツ語圏大学への留学を通じて、自他の歴史や社会、文化に対する俯瞰的な視野の獲得と、より深い相互的理解の実現を図る。

本学科は、上智大学の建学の精神についての十全な理解に加えて、以下のような資質を持った学生を受け入れます。

 

  1. ドイツ語圏の文学、芸術、思想、歴史等々に大きな関心を持ち、それらの学修に不可欠のドイツ語能力を確実に体得するため、日々の地道な努力を厭わず、自発的・持続的に勉学に取り組むことができる。
  2. 異文化に関する新しい知識や体験を求めようとする知的好奇心が旺盛で、自由で柔軟な精神を有し、加えて高度に学問的な内容の文章を読み書きするのに必要な論理的思考能力と豊かな言語表現力を持っている。
  3. 現代世界のありようを多角的に捉えることのできる視点、そして自己とは異質な文化を育んできた「他者」に対する想像力と寛容の精神、畏敬の念をもって、自国とドイツ語文化圏の相互的理解と協力関係の深化に貢献しようという強い意欲を有する。

教員一覧

大田 浩司 教授

研究分野 ドイツ叙情詩、ドイツ近代精神史

小松原 由理 教授

研究分野 ドイツ語圏アヴァンギャルド芸術・文学

佐藤 朋之 教授

研究分野 ロマン主義の文学と舞台芸術

Christian ZEMSAUER 教授

研究分野 ドイツおよびオーストリアの現代文学・文化

中井 真之 教授

研究分野 ゲーテにおけるスピノザ主義、ヤコービおよびドイツの文芸論史
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研究分野 日独比較文学・文化、ドイツ現代文学

上智大学 Sophia University