法曹養成専攻(法科大学院)

優秀な実業家との協働により、法律エキスパートを養成

法曹養成専攻(法科大学院)は、専門職大学院として、主として将来法曹(裁判官・検察官・弁護士)の職に就く人材を養成することを目的とします。多様なバックグラウンドを持つ人材に理論と実務の架橋を体現した新しい法学教育を行うことにより、広い視野で社会に貢献し、多角的視点から法的に思考でき、真に社会に求められる法曹を育てることを目指します。

法曹に就かない場合 にも「法務博士(Juris Doctor)」として、国際機関、公務部署、企業法務部など多様な分野で活躍する法律の専門家の養成を目指します。修了生の多くが弁護士のほか、裁判官、検察官、企業法務部など多方面での法律専門家の途を歩み出し、国際分野に、環境分野に個性豊かに羽ばたいています。

カリキュラムの特徴

法律基本科目 、法律実務基礎科目、基礎法学・隣接科目、展開・先端科目、研究論文という5つのカテゴリーからなるカリキュラムは、理論的教育と実務的教育を有機的に結びつけ、法学の基礎から応用までを段階的に修得できるよう組み立てられています。また、法科大学院の基礎となる上智大学法学部国際関係法学科、地球環境法学科との関係から、特に国際関係法、環境法領域に多様な科目を展開していることも大きな特徴です。
法学教育の基本体系を踏まえつつ、現代社会のニーズを見据えた独自性と先進性に富む科目構成は、未来の法曹に求められるトータルなスキルを身に付けるために最適なカリキュラムといえるでしょう。

授与学位

  • 専門職学位課程:法務博士(専門職)

法科大学院の特色

人間性豊かな法律家を養成

上智大学の教育精神“for Others, with Others( 他者のために、他者とともに)”に基づき、高い倫理観を備え、豊かな人間性を有する法曹、国際関係法および環境法のスペシャリストを、柔軟できめ細かな教育により養成します。

特色ある教育プログラム

環境法に強い法曹を育てる、国内の法科大学院では唯一の「環境法政策プログラム」、模擬仲裁や模擬調停を行う「国際仲裁・ADR」ワークショップ、充実したエクスターンシップやリーガルクリニックなどの授業を通じ、職業意識・問題意識を明確に持つことができる機会を多く提供しています。

バランスのとれた最適カリキュラム

法的素養の基盤となる法律基本科目、視野を広げる基礎法学・隣接科目、時代のニーズに応じた展開・先端科目、学んだ知識を活用する実務・実践科目をバランスよく配分。研究者教員と実務家教員のコラボレーションによって、法曹にとって必須のバランスのとれた思考力、深い洞察力、柔軟な論理的考察力を養います。

教育の目的・方針

将来法曹(裁判官・検察官・弁護士)の専門家として活躍する人材を養成する。キリスト教的ヒューマニズム基づく人間教育を、法曹倫理、隣接科学、基礎法学科目にも充実させることで、広い視野で社会に貢献する法律家を養成することを主眼とするが、国際問題や環境法政策に対して多角的なアプローチをすることにより、21世紀に必要とされる法曹を養成することも、法曹養成専攻の特長とする。

教育目標

○上智大学法学研究科法曹養成専攻(法科大学院)は、「他者のために、他者とともに」という上智大学の教育精神に則り、さまざまな社会の課題に法の専門家として取り組む意欲をもった、高度な専門性と、世界の人々とともに歩む「隣人性」と「国際性」を兼ね備えた法曹を養成するための教育を目指します。

 

上記の教育目標を達成するために、修了認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)を以下のとおり定めます。

○以下の要件を充足していること

(1)各学年において、所定の科目の単位を含む所定の単位数を修得し、所定の成績基準を満たすとともに、各学年(最終学年を除く)の進級試験に合格していること

(2)本専攻に所定の年限在籍し、所定の科目群から定められた科目を含む所定の単位数を修得したうえで前項の成績基準を満たしていること

 

○以下の素養を身につけた学生であること

(1)裁判官、検察官、弁護士をはじめとする法律家として社会で幅広く活躍できる専門的知識、思考力および技能を身につけていること

(2)高い倫理感と、専門家としての強い責任感を備えていること

(3) キリスト教ヒューマニズムを基盤として、人類普遍の価値である、人権の尊重、国際的協調、環境問題解決への関心を持ち、これら課題について理解し、問題解決についての専門的な知識を有し、議論をする力を身につけるとともに、物事の本質を見極めることができる智を備えること

(4)先端的な法律問題についての知見を有し、問題解決に繋がる応用力を有すること

(5)専門的知識に加え、幅広い知的好奇心とそれを生かすコミュニケーション能力を備え、高い実務対応能力を有する法律家として活躍する力を身につけていること

本専攻では、教育目標を実現し、学生が修了認定・学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)で示された素養を身につけるために、以下のとおり教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)を定めます。

 

○教育課程編成の考え方

・以下の5つの柱に即してカリキュラムを構築します

(1)法律基本科目については、基礎、応用、演習の3つのステップで段階的な履修を可能とするカリキュラムを設定するとともに、段階に応じて法的な問題を解決する能力を涵養する科目を配置します。また、少人数で多方向的な討議を重視した教育を行います。

(2)理論と実務の架橋を目指し、多様な実務家との協働のもとで、理論教育で得た知識を実践に活かす能力が段階的に涵養されるよう、実務科目を設置します。

(3)法曹としての強い責任感と高い倫理観が備わるよう、法曹倫理を必修科目とします

(4)法の理念、法が社会で果たす役割についての理解を深める科目を設けます

(5)先端的な法領域を含む、多様な法分野についての科目を選択科目として設けます。なかでも本学の建学の理念、教育精神に立脚した国際的法分野、環境法分野に関する先端的な科目を充実させます。

 

○学修内容及び学修方法

・上記の考え方に沿って、具体的な学習過程の設定、学修方法の選択を行うにあたっては、以下の方針に則って行います。

(1)学修の進行は、理論的な性格の強い科目から実務的な性格の強い科目に移行するように設定します。理論的な科目については、大きな流れとして法律基本科目からスタートし、隣接科目、展開・先端科目へと比重が移るように科目を配置します。

(2)理論科目については、「基礎」、「応用」、「演習」を重層的に配置するとともに、基礎、応用段階においても、事例を用いた法的問題を解決する能力を養う科目を設置します。

(3)実務科目についても、基礎的な科目から実践的な科目に比重が移行するように科目を設定します。

(4)学修方法は科目の特性により、講義、演習、実習などのさまざまの形式をとりますが、基本的に双方向・多方向性を重視します。ただし、法律基本科目のうち「基礎」においては基本的な知識を蓄積することに主眼を置きつつ一定の双方向性を確保することを基本とします。

 

○学修成果の評価方法

・各科目の単位認定は、各科目が設定した到達目標に到達し、次のステップに進めるかどうかを絶対基準で評価し合否を決定します。到達目標に到達したと認められる学生については、本専攻の定める成績評価基準に従って相対的に評価します。

・実習科目など、一部の科目については上記と異なる評価方法をとることがあります。この場合も、設定された到達目標に到達したかどうかを絶対基準で評価して合否を決定することには変わりがありません。

本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。

 

  1. 「法務博士」取得後に、法律家として、社会に貢献する明確なヴィジョンと意欲のある学生
  2. 「他者のために、他者とともに」(for Others, with Others)という本学の教育理念を理解し、キリスト教ヒューマニズムを基礎に持った法律家として社会に貢献できる学生
  3. 上智の校章、校歌にもある「Lux Veritatis(真理の光)」の理念、要請に応じられる、勢いにおもねらない、物事の本質を見極めることができる智を備えた真の法律家になる意思と素養を持った学生

教員一覧

岩下 雅充 教授

研究分野 [ 刑事訴訟法 ] 捜査・公判における真実発見の要請と実体的権利・利益の保護との関係についての研究

越智 敏裕 教授

研究分野 [ 環境法、行政法 ] 日本の環境訴訟・法政策、まちづくり、文化財保護などを研究

小山 泰史 教授

研究分野 [ 民法 ] 在庫商品や売掛債権等の流動資産を目的とする融資手法(asset-based lending=ABL)を中心に、担保物権法を主に研究。不当利得法や契約法領域についても研究を進める

原 強 教授

研究分野 [ 日米民事訴訟法の比較研究 ] 国際裁判管轄、判決効論などの手続上の諸問題の研究

土田 亮 教授

研究分野 [ 商法(会社法) ]取締役をはじめとする会社経営者の規律づけの問題と、会社訴訟を含むコーポレートガバナンスに関する研究を行っている
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永下 泰之 教授

研究分野 [ 民法 ] 不法行為法の研究。とくに、素因競合について研究を行っている。最近では、製造物責任法についても研究を進めている

巻 美矢紀 教授

研究分野 [ 憲法 ] 平等、経済的自由、司法審査論、憲法解釈方法論

佐藤 結美 准教授

研究分野 [ 刑法 ]名誉毀損罪、個人情報の刑法的保護について研究している。精神医療法分野にも関心を寄せている

早川 咲耶 准教授

研究分野 [ 商法(会社法)]弁護士業務との関係から、同族閉鎖会社に興味を持っている。比較法としてはフランス法を取り扱うことがある

〈 実務家教員 〉

朝山 芳史 教授

研究分野 [ 刑事実務、刑事訴訟法 ] 裁判員裁判の下での刑事裁判の在り方、裁判員裁判の事実認定、共犯論、経済刑法

岩崎 政孝 教授

研究分野 [ 民事総合実務、少年刑事実務、法曹倫理 ] 民事商事分野の総合的弁護士実務、少年刑事分野の弁護活動、現代の社会的事象と弁護士倫理、子どもの権利及び教育に関する法律実務等

小林 俊彦 教授

研究分野 [ 刑事実務、法曹倫理 ] 平成7年検事任官。東京高等検察庁検事等を経て、上智大学法科大学院実務家教授(派遣検察官)

対木 和夫 教授

研究分野 [ 企業法、民事法 ] 国内外のM&A やコーポレート・ガバナンスに加え、海外進出関係を中心とした企業法務全般

宍戸 博幸 准教授

研究分野 [ 民事訴訟・保全・執行、少年事件、学校問題 ] 弁護士として、企業法務及び債権回収を中心に、不動産関係、親族相続など民事分野全般の実務に携わっている。日弁連子どもの権利委員会委員として、学校問題、少年事件に関する研究を行っている

上智大学 Sophia University