社会福祉学専攻は従来の狭義の社会福祉を超えて、広く新しい福祉社会の構築に寄与できる人材を養成します。そのために、これからの時代に求められる社会福祉の高度な教育と研究を新しい方法により進めていきます。上智大学の社会福祉学専攻では、理論と実践とを統合する大学院教育を進めます。
福祉政策・運営管理系科目と福祉臨床系科目を設け、前者では、国や地方自治体、そして非営利セクターや市場セクターにおいて福祉政策や福祉サービスの運営管理のデザインを設計するとともに、それらを担う人材を育てます。この目標に沿って、明日の福祉社会を切り拓く研究者・行政官・ソーシャルアントレプレナー(社会起業家)が育っていくでしょう。後者では、ソーシャルワークの援助技術分野についてその理論的基盤を再検討するとともに、現代社会の多様化する福祉ニーズに対応できる高度な専門性を追究します。
カリキュラムの特徴
カリキュラムについては、福祉政策・運営管理および福祉臨床の両領域において求められる研究方法の基礎演習と、さらにそのアドバンス科目として福祉政策・運営管理、福祉臨床のそれぞれの領域の研究方法の演習を各2単位設けています。そのため既存の先端知識を学ぶだけではなく、自ら知識をつくり上げていくという研究の方法を具体的に学ぶことができます。
さらに研究者養成プログラムと高度福祉専門職養成プログラムを設け、大学院生の修了後の進路に則して、社会福祉の研究と実践をリードする研究者、高度専門職業人を養成する研究・教育拠点たることを目指します。また博士前期課程には長期履修制度があり、職業に就いている学生は、学費の負担が増えることなく長期(3年間)にわたって学ぶことができます。
授与学位
- 博士前期課程:修士(社会福祉学)
- 博士後期課程:博士(社会福祉学)
取得可能な教員免許・免許教科
- 高等学校専修(福祉)
※教員免許が取得できる専攻は、博士前期課程に限ります。また、1種免許状を取得済、あるいは1種免許状取得要件を満たしている教科のみ取得可能で、必ずしも全教科取得できるわけではありません。
社会福祉専攻の特色
二つの養成プログラム:「研究者養成」と「高度福祉専門職養成」
「研究者養成プログラム」を充実強化するとともに、学問的な理論と方法に裏付けられた「高度福祉専門職養成プログラム」を設け、修了後の進路の幅を広げました。後者のプログラムは、将来の専門職大学院の設置を念頭において先駆的に行われるプログラムです。
斬新な体系的カリキュラム:「二つの系」と「コアカリキュラム」
福祉政策・運営管理系および福祉臨床系のバランスのとれた科目群と、コアカリキュラムとしての多様な社会福祉研究法の演習からなる体系的・構造的なカリキュラムを編成しています。
理論と実践の統合を目指したトレーニング
「科学の知」「臨床の知」「政策・運営の知」のそれぞれを学び、「理論」と「実践・臨床」の統合を目指し、演習、事例分析、フィールドワークなどにより科学的理論と方法を実践に結び付ける能力を高めるトレーニングを行います。
ソーシャルアントレプレナーの育成
福祉臨床の最新の知識・技術を修得したうえで、高度な専門職業人として社会のなかで実践し、新しい福祉社会をデザインし、つくり出していく人を育てるとともに、新しい福祉社会のデザインを構想・設計する研究者を養成します。
認定社会福祉士へのキャリアアップのために
社会福祉学専攻開講科目の「社会福祉研究法基礎」、「福祉政策運営管理研究法基礎」、「福祉臨床研究法基礎」、「医療ソーシャルワーク研究」の各科目は、認定社会福祉士認証研修として認証されています。社会福祉士から認定社会福祉士へとキャリアアップを目指す人を応援します。
働きながら学べる長期履修制度
職業に就いている博士前期課程の学生が職業と研究とを両立することができるよう、長期履修制度があります。これは就業している学生の場合、2年間の学費(授業料・教育充実費)で3年間在籍し研究できるという制度です。
教育の方針
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博士前期課程
本課程では、人間の尊厳を尊重し、福祉社会の実現と創造的進歩に貢献できる人材の養成を目的として、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
- 社会福祉における基本的理念、高度な専門知識と実践能力、研究能力
- 福祉政策・運営管理と福祉臨床の両領域について幅広い知識を修得し、福祉社会を構築するうえでの実践能力
- 理論と実践・臨床を統合することによって、現代社会における課題解決に向けた多角的な分析能力
- 「研究者養成プログラム」では、福祉社会をデザインし作り出す実証研究能力を身につけ、学術雑誌や国際学会等で研究成果を発信し、学術論文としてまとめる力
- 「高度福祉専門職養成プログラム」では、福祉臨床の知識・技術を身につけ、政策立案や臨床の現場で指導的役割を果たせる実践能力と、学術論文としてまとめる力
博士後期課程
本課程では、人間の尊厳を尊重し、福祉社会の実現と創造的進歩に、自立した研究者として貢献できる人材の養成を目的として、学生が修了時に身につけるべき能力や知識を次のように定めています。修了要件を満たし論文審査に合格すれば、これらを身につけたものと認め、学位を授与します。
- (博士前期課程で身につけた)社会福祉における基本的理念、高度な専門知識と実践能力、研究能力をより高め、独創的な知見を生み出すことができる力
- 福祉政策・運営管理と福祉臨床の両領域についての幅広い知識をさらに深め、福祉社会を構築するうえで必要となる高度な分析能力、実証研究能力
- 学術雑誌への投稿、国際学会等での報告において研究成果を発信・議論し、博士論文としてまとめる力
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博士前期課程
本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、狭義の社会福祉を超えた新しい福祉社会の実現に貢献する人材育成のために、「研究者養成プログラム」と「高度福祉専門職養成プログラム」を用意し、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。
- コアカリキュラムの「社会福祉研究法基礎」、「福祉政策運営管理研究法基礎」、「福祉臨床研究法基礎」を通して、社会福祉学で求められる多角的な研究法を学ぶ。
- 「福祉政策・運営管理系科目」と「福祉臨床系科目」を通して、社会福祉学で必要とされる幅広い領域を学ぶ。
- 「社会福祉フィールドワーク」と「援助事例分析」「社会政策・経営事例分析」を通して、理論と実践の統合を行い、現状や課題を多角的に分析する力をつける。
- 「研究者養成プログラム」では、コアカリキュラムにより研究法を深めるとともに、英語開設科目を通して英語による研究発信の方法・技術を学ぶ。
- 「高度福祉専門職養成プログラム」では、おもに臨床や福祉各分野・課題に関する科目を通して福祉臨床の知識・技術を実践的に学ぶ。
- 上記のカリキュラムおよび研究指導を通して修士論文をまとめ、その審査および最終試験に備える。
博士後期課程
本課程では、ディプロマ・ポリシーに沿って、新しい福祉社会の実現に向けて国際的にも貢献できる人材育成のために、以下の趣旨を盛り込んだ科目によってカリキュラムを編成しています。
- 指導教員による研究指導のもと、国内外の先行研究レビューや調査実施等により、研究のテーマ・方法を絞り込み研究を進めていく。
- 福祉政策・運営管理系および福祉臨床系のコース・ワークを通して、社会福祉学の研究を進めるうえで求められる多角的な視点や研究方法を学ぶ。
- 英語開設科目を通して英語による研究の発信や議論についての方法・技術を学ぶ。
- 上記の研究指導およびカリキュラム、さらにコースワークの研究法特殊講義を通して博士学位申請論文をまとめ、その審査および最終試験に備える。
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博士前期課程
本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。
- 人間の尊厳が尊重される社会の実現のために、社会福祉学に強い学問的関心をもち、研究遂行上に必要な学力と論理的思考力を有する学生
- 「研究者養成プログラム」では、社会福祉学の専門的学力を有し、将来研究者をめざす学生
- 「高度福祉専門職養成プログラム」では、福祉や保健医療等の現場で高度な専門性を発揮し、リーダーとして活躍しようとする学生
博士後期課程
本課程は、次のような資質を持つ学生を求めています。
- 社会福祉学のみならず保健医療、経済学、法学、社会学、心理学など他分野で博士前期課程を修了した学生
- 本専攻博士前期課程おいて優秀な成績を収め、さらに研究を深め社会に貢献しようとする意欲的な学生