5月11日から25日まで、「第5回上智大学アフリカ・ウイークス」が開催されました。成長著しいアフリカ地域と今後深く関わる可能性の高い若い世代に対して、アフリカ地域への理解を促進し連携を深めていくための取り組みとして行われています。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で第4回の昨年は中止となりましたが、今回はすべての企画をオンラインで実施しました。シンポジウムや講演会に多彩なゲストが登壇したほか、学生企画「アフリカと共に」では学生の運営によりワークショップ、トークセッション、写真展などさまざまな企画が実施されました。

講演会「サナングイヤ、友愛の精神」

5月14日、永井敦子文学部フランス文学科教授の進行のもと、コートジボワールのフェリックス・ウフエ=ボワニィ大学メケ・メイテ教授を招いて講演会が開催されました。

メイテ教授は、13世紀以来、西アフリカのさまざまな共同体で社会的な人間関係の基礎となってきたサナングイヤについて解説。「サナングイヤは『冗談関係』という、冗談を言い合えるような関係を表すが、その奥には相手を尊重する友愛の精神がある」と話しました。

コートジボワールから講演する メケ・メイテ教授

続いて、サナングイヤが現代社会でどのように実践されているか、ビデオを視聴し確認しました。
その後、永井教授と共同研究を行っている東北大学の黒岩卓准教授やアフリカからの留学生も加わって質疑応答を行いました。メイテ教授は、サナングイヤについて「国によって捉え方は違うか」「教育でどのように伝えているか」などの質問に丁寧に答えました。

参加者からは「アフリカの文化や価値観を学ぶことができ、有意義だった」「現地の方から直接話が聞けて良かった」などの感想が寄せられました。

シンポジウム「コロナ禍でNGOが挑む平和構築 ~アフリカ、南スーダン、難民支援」

5月18日、途上国で活動するNGOが、コロナ禍の中でどのような課題を抱えながら平和構築活動を続けているかを参加者と共に考えるシンポジウムが開催され、250人以上が参加しました。

日本国際ボランティアセンター代表理事の今井高樹氏は、コロナ対策に過度に集中することで、通常実施している活動にしわ寄せが出ている点を指摘しました。また、南スーダンの難民キャンプでの活動に関して、コロナ禍で日本人スタッフの入国が難しい中で、業務内容を見直し、現地スタッフに仕事を任せる体制に移行していると話しました。

学内外から登壇した皆さん

ピースウィンズ・ジャパンの相島未有沙氏は、ケニアにある難民キャンプでは、NGOがすべてを行うのではなく、キャンプ内の難民自身が主体的にコロナ対策に関わることで、コミュニティの結束を深め、結果的に地域の平和構築に役立っていることを述べました。
平和村ユナイテッド理事の加藤真希氏は、出張先のガーナから参加しました。普段はアフガニスタンとパキスタン両国で活動していますが、政情不安定な地域での活動は遠隔で行わざるを得ない実情を報告。しかし、そのような地域で、現地スタッフが平和の祈りを込めた植樹活動を実施しており、小さな活動を続け連帯していくことが平和構築につながっていくと述べました。

講演のあと、質疑応答が行われました。参加者から10件近い質問が寄せられ、その半数は高校生でした。3人の講演者のほか、企画・司会を務めたグローバル教育センターの東大作教授からも丁寧な回答があり、盛況のうちに閉会となりました。

講演会「ルワンダで義足を作って24年 -底から這い上がるための1年-」

5月24日、ルワンダで人道支援活動を行うルダシングワ真美さんをスピーカーに迎え、現地での身体障害者支援に関する講演会が行われました。

ルダシングワ真美さんは、首都キガリ市に義肢製作所を設け、義肢装具の製作、義肢装具士の育成、障害者スポーツの普及、障害者に対する職業訓練などの活動を行っています。

ルワンダでの活動を話す ルダシングワ真美さん

冒頭、現地の状況について「かつての大虐殺の影響もあり、ルワンダでは現在でも義肢を必要とする人が多くいる」と歴史的背景を交えながら説明。続いて、自身が活動を始めたきっかけや、資金・資材集めの苦労話、更地にレンガを積み上げ、活動の拠点となる製作所を自ら建設したエピソードなどを紹介しました。

さまざまな困難や挫折が伴う中で活動を継続するにあたっては「希望を持つこと」の重要性を強調し、「自分を必要としている人から、自分も生きる力をもらっている」と語りました。

最後に、司会を務めたグローバル教育センターの山﨑瑛莉講師は、「今回のお話を聞いて、コロナ禍の鬱屈した状況の中でも、前向きに生きていくきっかけになれば」と講演を締めくくりました。

学生企画「アフリカと共に」

学生企画「アフリカと共に」は、上智大学の実践型プログラム「アフリカに学ぶ」に参加した学生と公募で集まった学生計23人が運営を担当し、以下のようなさまざまな企画を実施しました。

写真展 “Close up Africa”

アフリカ・ウイークスの期間を通して2号館1階エントランスで、写真展“Close up Africa”を開催。「私とアフリカ」をテーマに募集し寄せられた42点の写真が、解説とともに展示されました。また、コロナ禍の現状を踏まえオンラインでも鑑賞できるよう、担当の学生が写真展のウェブサイトを作成し公開しました。

写真展はオンラインでも公開

アフリカン・チャット フリートーク

5月11日と21日には、大学生と高校生に対象を限定しフリートークを実施しました。
21日の回はアフリカ出身のゲストや留学生などが多数参加し、アフリカの文化からコロナの状況に至るまでさまざまな質問が飛び交いました。

アフリカン・ワークショップ

16日は、アフリカの布を用いたワークショップを開催。講師の竹田士郎氏からアフリカ布の歴史や意味について解説を聞き、参加者は事前に送られた布入りのキットを使って切り絵を作成しました。

後半は、ルワンダでシングルマザーの雇用創出などに取り組む山田美緒氏と、山田氏が運営する団体「KISEKI」で働く現地の女性たちが登場。伝統音楽やダンスを生で披露しました。さらにターバンの巻き方を画面越しに習うなど、日本に居ながらアフリカを感じる時間となりました。

ターバンの巻き方をルワンダから指導

アフリカン・テーマトーク

22日は、アフリカン・テーマトークと題し、2部構成でアフリカ地域の学生などと意見を交わしました。1部のテーマは「学生生活」。本学のキャンパスツアーの動画に続いてマラウイの学生が作成したマラウイ大学の動画を視聴したあと、入試、学食、アルバイトなど学生生活全般について比較しました。2部は「恋愛・結婚」を取り上げ、3つのグループに分かれて話を進めました。
40人の定員の約半数を高校生が占めましたが、参加者は皆、英語を駆使し議論を楽しみました。

雑誌プロジェクト

コロナ禍で実施できなかった恒例の食堂企画に代えて、5人の運営学生が雑誌プロジェクトを立ち上げ、12ページの雑誌『With AFRICA』を発行し、学内で配布しました。

上智大学 Sophia University