Sophia Future Design Platform構想 – 四谷キャンパスを、全ての人々の学びの場に。

学長
理工学部 機能創造理工学科 教授
曄道 佳明

2024年4月、未来の社会と自らの生き方を見通すための、全ての人に開かれた公開学習の場となる「上智地球市民講座」が開講します。上智が今、この講座を開く意義と、Sophia Future Design Platform構想について、曄道学長が語ります。

あらゆる人に、主体的に生きる力を

2024年4月に開講する「上智地球市民講座」は、地球市民、つまり社会課題にいかに向き合い、どのように役割を果たしていくかを考える人が、その生き方を、前向きかつイノベーティブにデザインするための公開講座です。

 地球市民の自覚を持つ人なら、受講の資格は問いません。講座を通して誰もが、生き方のデザインに必要な、「“個”を深める」「“生きる”を彩る」「“未来”を見つめる」「“他者”に寄り添う」の4つのマインドを醸成するヒントを得ることができます。現役のビジネスパーソンはじめ、一線を退いた方、主婦(夫)、学生など、いろいろな立場の人が多層的に学び、得られた智が多様な形で社会に還元される未来が、この講座の理想とするところです。

 各講座は、気候変動等の「社会課題」、AI等の「技術革新」、家族のあり方等の「社会変革」のいずれかをテーマにしています。複数の講座に参加して多角的な視点をもてるように、1講座は全4回と、確実に修了できる回数にしました。対面型だけでなく、オンライン型、ハイフレックス型(対面かオンラインかを選べる形式)の講座もあり、来学できない人でも受講可能です。4月はまず、20講座での開講を予定。2月から受講申し込みを受け付けており、高校教員、高校生の受講も歓迎しています。

学位にとらわれず、社会と学びを結びつける

「上智地球市民講座」を運営するのは、2023年7月に立ち上げた「Sophia Future Design Platform推進室」(以下、SFDP推進室)です。これまで大学が行ってきた学位授与を前提とする教育ではなく、広く社会に向けた学びを学内外に提供するのがこの新しい組織の役割。2020年度から取り組み始めた、受講者が未来を見通すことを目的とした2つの教育プログラム--高校生が研究者と共に探究活動を行う「せかい探究部」、ビジネスパーソンが社会変革の時代に、教養としての国際通用性や創造性を発揮するための実践智を学ぶ産学共同プログラム「プロフェッショナル・スタディーズ」も、現在はSFDP推進室が運営に携わっています。

 大学の学士課程では、学術的な専門性を身に付け、ものを深く考えるプロセスを経験します。確かにそこでは、思考を深め探求を果たす軸の一つが形づくられるでしょう。しかし今は、学校、仕事、老後という直線的な人生ではなく、学生時代に起業したり、複数の仕事や社会貢献活動に携わったりと、多様な局面を行き来しながら学び続けるマルチステージの時代。ときにステージを変え、ときに自らステージを組み立て、と一人ひとりが生き方をデザインしながら人生を歩みます。学びは、未来社会を展望し、向かうべき、あるいは組み立てるべきステージを見定めるための根源と言えるでしょう。

 このような時代において、学位という枠を超えた教育を提供し、人々の人生を豊かにする支援を行うのも、高等教育機関である新しい大学の役割・機能ではないのか。そう考え、上智は「学生の学びの場」から、「全ての人々の学びの場」へと、多様な学びの欲求に応える場となることを将来目標に据えています。

 全ての人に開かれ、あらゆる学習目的に適い、集った人々が交流し合う場に。大学をこのような場と捉える試みは、私が知る限り、国内はもとより海外にも類を見ないのではないかと思います。

多様な知的好奇心が、四谷で交わる未来

学びを求めて多様な人が集う環境は、在学中の学生にとっても大いにメリットがあります。社会人と交われば、産業界の実情を知ることができる。高校生と交われば、リーダーとしての自覚や模範となるべき意識が生まれる。大学としても、従来の学びの体系にはない教育に携わった経験を、学生に還元していきます。2023年11月には、学部生に向けて、短期集中型の「アントレプレナーシップ養成講座」を開講しました。魅力的な学生起業アイデアに協力企業が出資を検討する実戦的なこの講座には、社会人対象の指導ノウハウが生かされています。

 今後は、SFDP推進室が提供するプログラムの受講者同士が対面やオンラインで交流し、ネットワーキングも後押ししながら、知恵や心を響かせ合う場を整えていく考えです。すでに「プロフェッショナル・スタディーズ」では、過去と現在の受講生による「同窓会」が開催され、約150名が集まりました。人が集まって議論をするというのは、大学の本質的な姿。交流の輪をどのように広げていけるかは、SFDP推進室の今後の腕の見せ所です。

 高校も大学も、卒業したからといって何かが完結するわけではありません。学びを継続しつつ人や社会と交わり、化学反応を起こしながら生きていくのが現代です。その中で、「上智地球市民講座」を筆頭に上智がめざす役割は、知的興味や好奇心を喚起し、学びの魅力を社会に発信し続けること。そして、その学びを実践できる場であること。四谷キャンパスを、あらゆる学びの欲求が満たせる環境へとシフトさせていきます。

上智大学 Sophia University