さまざまな成長の機会と環境を提供し、 学生の可能性を広げるキャリア支援

学生総務担当副学長
文学部 フランス文学科 教授
永井 敦子

社会変化が激しさを増し、先の予測が困難な時代となる中、若者の仕事観、キャリア意識が変化しつつあります。こうした状況に対して上智大学はどのようなキャリア支援の取り組みをしているのか? 学生総務担当副学長が語ります。

学生が主体的に進路を考え、行動する機会を提供する

近年、学生のキャリアに対する考え方が多様化していると感じます。ワークライフバランスを重視する学生、給与や社会的ステータスよりも社会貢献を重視する学生、会社の外での活動を大切にしたい学生など、本当にさまざまです。こうした学生のキャリア実現を後押しすべく、今、本学は一人ひとりの能力や個性、志向に合ったキャリア支援に取り組んでいます。

キャリア支援における基本方針は「学生自らが主体的に進路を考え、行動できるよう機会や情報を提供する」ことです。在学中に多様な経験を積む中で視野を広げ、未知の仕事の可能性を知り、人生の選択肢を増やしてもらいたい。そのためのさまざまな機会――例えば、留学や海外研修プログラム、国際機関でのインターンシップ、国内でのボランティア活動などを、多数用意しています。

海外に出たり、ボランティアに参加したり、課外活動に熱中したりすることは、一見、足踏みしているように見えるかもしれません。しかし、長い目で見れば、この“足踏み”こそが、自分には何ができて、将来何をしたいのかを考える貴重な機会になるはずです。

就職支援で大事にしているのは、多様な学生へのきめ細かいサポート

一方で、学生の希望進路実現のためには、現実的な就職活動サポートも不可欠です。キャリア・就職支援を担うキャリアセンターには、9名の常勤スタッフと延べ30名のアドバイザーが在籍し、きめ細かい学生サポートに取り組んでいます。

キャリアセンターでは、学生の話を「聞く」ことを重視しています。日々実施している個別相談では学生の悩みや、キャリアに対する考えに対して徹底的に耳を傾け、自身の仕事観と、取り組んでいる就職活動が本当にマッチしているのかを確認しながらアドバイスを行います。

個別相談は1年生から利用でき、対面でもオンラインでも相談可能です。留学生も安心して利用できるよう、英語や中国語での面談も実施しています。

各種ガイダンスの開催は、年間180回程度にのぼります。多様なバックグラウンドや個性を持つ学生に対応すべく、低学年向けや公務員志望者向け、教員志望者向け、業界別ガイダンス、インターンシップ対策や就職試験対策はもちろん、外国人留学生向けや障がいのある学生向けのガイダンスなども実施。LGBTQと就職に関わる相談についても個別に応じています。

2021年度の卒業生調査では、就職した学生の約9割が自らの進路に「満足している」と答えています。これは言い換えれば、学生が自分の価値観に合った企業に就職できたと感じているということ。一人ひとりに寄り添った就職活動サポートが実を結んだ成果だと考えています。

多様な人との出会いの中で、自分自身の可能性を広げてほしい

以前は社会全般に人気企業や大手企業に入社を希望する傾向が今より強かったと思いますが、これからは、知名度や企業規模だけで就職先を選ぶ時代ではなくなると思います。学生にはそれぞれのキャリア観を磨き、自分なりのものさしを持って就職先を選んでほしいと考えています。

自分自身のキャリアを描くという意味では、人との出会いも大切です。本学はワンキャンパスに29学科が集まる小さな総合大学。90を超える国や地域から集まった留学生と共に学び、生活できる環境です。外国籍の教員も多く在籍します。入学者には、このように多様なバックグラウンドを持つ人たちから刺激を受け、これまでの価値観が揺さぶられるような体験をしてほしい。そして、自分自身の可能性を大学でさらに広げてもらいたいですね。

本学が掲げる教育精神は「他者のために、他者とともに」生きる人を育てることです。キャリア支援においてもこの教育精神を根幹に置き、これを体現する若者を送り出すことで、社会に貢献していきます。

上智大学 Sophia University