多様なグローバル・イベントを開催し、世界の「今」を発信する

グローバル化推進担当副学長
法学部 国際関係法学科 教授
森下 哲朗

上智大学では、国内外からゲストを招待し、多様なグローバル・イベントを積極的に実施しています。イベントのねらいや、イベントを通して若者に伝えたいことなどについて、グローバル化推進担当副学長が語ります。

国内外から第一線で活躍する専門家が集う「国連Weeks」

本学は2014年から毎年、6月と10月に「上智大学 国連Weeks」(以下、国連Weeks)を開催しています。これは「国連の活動を通じて世界と私たちの未来を考える」をコンセプトに、国際機関の役職者や政府関係者、第一線で活躍する研究者などを国内外からゲストとして迎え、講演会やシンポジウム等を実施するものです。

国連Weeksのねらいは、できるだけ多くの人に国際社会の動向を知ってもらい、「日本はどのような役割を果たすべきか」「私たちはどう行動すべきか」を考える機会を提供することです。2023年6月の国連Weeksでは、イスラム協力機構(OIC)のアフガン担当特使を迎えて日本と国連がアフガニスタンの飢餓に苦しむ人々のためにどのような支援ができるのかを考えるシンポジウムや、SDGsのここまでの中間評価と今後の課題について専門家と共に議論する企画などを実施しました。

大学の中に閉じたイベントにしたくないという考えから、上智大学の学生・関係者だけでなく、他大学の学生や社会人、高校生も無料で聴講できるようにしています。以前は対面でのみ実施していましたが、コロナ禍のオンライン開催を経て、現在は主に対面とオンラインを交えたハイフレックス開催で実施しています。

情報発信だけでなく、人々の交流が生まれる場としての役割も

国連Weeksでは、毎回、タイムリーなトピックを優先的に取り上げています。なぜなら、国際社会は目まぐるしく変化しており、その時々で人々に目を向けてもらいたいトピックも、考えてもらいたい議題も様々だからです。そのためには、最新のテーマについて語れるゲストスピーカーを国内外から招かなくてはいけませんが、これを実現できているのは、上智大学の教職員が今まで築き上げてきたネットワークと信頼関係があればこそだと考えています。

また、国連Weeksは、グローバル・イシューについて情報発信する場であると同時に、参加者同士の交流を促進し、研究者同士の新たなネットワークを生む場でもあります。我々は、大学が果たすべき重要な役割の一つは「社会の“ハブ”として様々なものをつなぎ、新たな価値を提供すること」と考えており、その意味でも国連Weeksが果たす役割は大きいと思っています。

キャンパスで随時催される多様なグローバル・イベント

本学が実施するグローバル・イベントは国連Weeksだけではありません。2017年からは、「上智大学 アフリカWeeks」(以下、アフリカWeeks)を毎年開催しています。

アフリカの国々は、近年グローバル社会において存在感を増していますが、日本で暮らす私たちにとっては少し遠い存在で、ニュースを見ていても欧米と比べて伝えられる情報は多くありません。そこで、このイベントでは、国連Weeks同様、国内外から様々な方々にお越しいただいて講演やシンポジウムを開き、アフリカの「今」についての理解促進を図っています。

上智大学は多くのアフリカの大学とも協定を結んでいますし、「アフリカに学ぶ」という実践型プログラムも実施しています。アフリカWeeksやアフリカへの留学、プログラムへの参加を通じて、アフリカの人々、歴史、社会、文化、経済などに興味を持ち、理解を深める学生が増えることを期待しています。

さらに本学はこれ以外にも各学部や研究科、センターが主催するグローバル・イベントを数多く開催しています。1年中何らかのグローバル・イベントが開かれていると言っても過言ではありません。他方、「いつでも参加できる」という意識からか、参加を見送ってしまう学生も見られます。私としては、四谷キャンパスにいながら、世界を学び、グローバルな視点から深く考えることができるこうした機会を積極的に活用してもらいたいと考えていますし、学生の興味・関心を高め、より多くの学生が参加するようなしくみも考えていきたいと思います。

イベント参加をきっかけに、自分の将来に目を向けてほしい

これからの時代を生きる若者にとって、グローバルな視点はますます重要になるでしょう。国連Weeksなどのイベントでは、グローバルな課題解決に真剣に取り組む専門家や研究者の話を直接聞くこともできますし、その人たちが発する熱量や醸し出す雰囲気を感じ取る貴重な機会にもなるはずです。また、まだ将来の夢が現段階ではっきりしていない方にとっても、イベント参加を通して海外で働くこと、グローバルに活躍することを具体的にイメージできるようになったり、将来について真剣に考えたりするきっかけになるかもしれません。

次回の国連Weeksは「国連の日」がある10月に開催予定です。国連大学学長(国連事務次長)による特別講演や、国際機関や国際協力分野でのキャリアをめざす人向けのワークショップなども予定しています。前回6月開催の国連Weeksは、約2000人の参加者がありました。そのうち中・高校生は約500人です。オンラインでも視聴することが可能なので、興味を持った方は、ぜひ、奮ってご参加いただきたいと思います。

上智大学 Sophia University