動き続ける上智大学の「今」を見てほしい

高大連携担当副学長
経済学部経営学科 教授
西澤 茂

この先の上智大学を形づくるのは、在学生や卒業生、そしてこれから入学する「未来の上智生」たちです。高校と大学の橋渡し役を担う高大連携担当副学長が、「入学試験」や「広報」を通じて今伝えたい想いを語ります。

入試を通して見据えるのは、多様性に富むキャンパス

「入学試験」および「広報」領域を担当する高大連携担当副学長として、主に「高校生と本学との最適なマッチング」をミッションに取り組んでいます。本学の特色ある教育環境の中で、入学後に潜在的な資質・能力をより大きく伸ばしていけるのはどんな学生なのか。高校の先生方から育成や期待というバトンを受け取ったとき、大学として私たちに何ができるのかといったことを常に考えながら、入試制度の検討や戦略的な広報活動に力を注いでいます。

上智大学ではさまざまな入学者選抜を実施していますが、各入試の出願要件や試験内容は、どんな人に入学してほしいのか、私たちが人材育成で何を重視しているのか、それらの想いを形にした言わば高校生へのメッセージです。例えば、英語の4技能を評価する検定試験としてTEAPを日本英語検定協会と共同開発して入試に導入したのは、グローバルな視点を重視する本学の教育精神、そして日本の英語教育の未来を見据えた高校への働きかけの意味合いがありました。実際、TEAPの立ち上げと同時に新設した一般入試(TEAP利用型)による入学者の4技能スキルは入学後も着実に向上しており、周囲の学生に良い影響を与えてくれています。

コロナ禍を経て、オンラインによるコミュニケーション技術が急速に発展しています。世界がますます小さくなるであろうこの先の時代に大切なのは、新しい技術や考え方に出会った際に、「受け入れよう、やってみよう」と思える柔軟性、チャレンジ精神です。今後の入試では、これらの要素を持ち合わせる学生を積極的に見出していきたいです。多様な人がいて、異質性を受容するキャンパスを共に創っていきたいですね。

多様な入学者の確保を目的とした大きな入試改革として、一般選抜では2021年度入試から、大学入学共通テスト結果を利用する選抜方式を新設しました。その結果、首都圏以外の出身学生が増えたことも、一つの成果と捉えています。特別入試では、主に書類と面接で選考する、新入試制度の導入を検討しています。高校や学外での探究活動などを通じ、自らの将来に対して明確な目的・目標を持ち、新たな時代を築こうとする“とがった”人を受け入れるしくみにするつもりです。

高校生に自身の未来を期待してもらえる大学として

こうした新たな層とも言える受験生をターゲットにするには、まずは広く本学への関心の芽を育てなければなりません。本学はこれまで伝統的なブランド力頼みで、他大学と比べて広報活動が必ずしも十分ではありませんでした。しかし、本学でならより大きな成長を遂げられたかもしれない学生が、情報が少ないがために受験の機会を失った可能性を考えると、提供する情報の質・量を見直すべきだと想いを改めました。

副学長に就任してまず手がけたのが、学生や教員が自分自身の言葉で所属学部での学びについて語る学部紹介動画「Learning at Sophia」の制作です。各学部長がカリキュラムを説明するオーソドックスな動画は既にあったのですが、新たに公開したのは、ただのインタビュー集とは異なるユニークな動画。学生が自身の挑戦や成長を、教員が学部での学びの魅力を、それぞれがリアルな言葉で語るオムニバス形式となっています。入学後、同級生や先輩の存在に触発され、試行錯誤しながらも確かな自信を持って成長を遂げた学生たちの姿こそが、本学の魅力を体現するものだからです。

そして今回の大学Webサイトのリニューアルです。大学目線の情報提供を脱し、高校生をはじめとする読者目線で上智大学の「今」がわかるサイトをめざしました。キーワードは「学びのインスパイア」。約500人の研究者(教員)が自身の研究の未来を語るインタビュー記事、高校生が自分に合う学科を探せるコンテンツなど、あらゆる角度から本学での学びの魅力を発信していきます。

卒業後の挑戦を支えるのも大学の責務

高大連携担当副学長が「入試」「広報」と並んで受け持つもう一つの分野が、「IR」(Institutional Research=データを活用して大学運営を改善する活動)です。教育面では現在、対面とオンライン双方の利点を生かしたハイブリッド型の授業体制を構築するために、授業アンケート等の調査・分析に力を入れています。

さらに卒業生に対して、実社会における在学中の学びの有用度、ディプロマポリシーの妥当性等を尋ねる調査にも着手しています。改善すべき部分が見つかれば真摯に向き合い、カリキュラムやポリシーをより社会で役立つ内容に軌道修正するなど、教学マネジメントに生かしていきます。

また、未来が不確実と言われ、必要とされる力もその時々で変わっていくこれからは、卒業後も生涯、学び続ける時代です。社会に出てからも挑戦する姿勢を保てるよう、卒業生を含む一般の方・社会人の方の学びを積極的に支援していく体制の確立をめざします。

高校生や高校の先生方から選ばれ、在学生、卒業生、地域に頼りにされる大学であり続けるために、私たち自身も挑戦のあゆみを止めません。本学の歴史をたどれば、聖フランスシスコ・ザビエルが日本という未知の地に大学を設立しようとした志、つまりチャレンジ精神がその起源にあります。仲間と切磋琢磨する中で「自分にもできる」、学生がそう感じられる大学であり続けたいと思っています。

上智大学 Sophia University