学生の挑戦心と成長への期待に応える留学プログラムの拡充

グローバル化推進担当副学長
法学部 国際関係法学科 教授
森下 哲朗

上智大学は開学以来、世界に貢献する若者を育成してきました。日本のグローバル教育のトップランナーであり続けるために、「上智大学のこれからのグローバル教育の在り方」についてグローバル化推進担当副学長が語ります。

グローバルリーダー育成のための“尖った”留学プログラムを準備

グローバル化担当副学長の仕事は、大きく2つあります。1つは「グローバル教育プログラムの企画・推進」。もう1つは「海外大学とのネットワークづくり」です。

今、日本の大学は社会から、「グローバル時代において真に求められる人材の育成」を望まれています。キリスト教精神に基づく隣人性と国際性を教育の根幹に置く本学は、開学以来、日本におけるグローバル教育をリードしてきた自負があります。そのような本学が社会から期待されているのは、単に「留学経験があって、英語を流暢に話せる人材の育成」ではないはずです。加えて、本学には「将来、世界を舞台に活躍したい」という熱い思いを持って、多くの若者が入学してきます。こうした社会や入学者の大きな期待に応えられるよう、留学を含め、学生の成長に資するグローバル教育関連のプログラムを企画・設計するのがグローバル化推進担当副学長としての役目だと考えています。

私たちがめざしているのは、これからの世界を変えていく力を持った、国際社会のリーダーとして活躍できる人の育成です。そのためには、これまでよりも“尖った”プログラムをつくらねばなりません。例えば、海外のリアルな現場に身を置いて、国際社会が抱える現実の課題に触れ、多様な国の学生と共に議論し、解決策を考え、国際機関に提案するようなプログラム―― “若い世代のグローバルサミット”とも言えるようなプログラムを用意したい。これは実際に今、具体的な準備を進めているところです。

一方で、留学やグローバル教育関連のプログラム参加に対するモチベーションが現段階ではそこまで高まっていない学生も存在します。こうした学生の興味を掻き立て、エンカレッジする施策も欠かせません。すでに多様な短期留学プログラムやグローバルインターンシップなども用意していますが、さらに多くの学生が「参加してみたい」と感じるプログラムの企画に力を入れ、ラインナップの充実に努めたいと思います。

本学は2021年の秋学期から在学生の海外留学を再開していますが、そのきっかけは学生からの要望でした。留学希望者たちが自ら留学先である現地のコロナの状況を調べ、データやエビデンスを集めて「ぜひ留学に行かせてほしい」と、大学側に交渉して来たのです。結果、学生本人がリスクを理解し、対策をしっかり講じるのであれば、大学として留学許可を出すことにしました。学生の積極性に頼もしさを感じると同時に、「彼らの期待に応えられるような教育プログラムを、真摯に考えなくてはならない」という思いを改めて強くしました。

教育・研究を促進するための海外大学とのネットワーク強化

留学プログラムを拡充するには、受け入れ先の大学の開拓と、連携強化を図る必要があります。そのための「海外大学とのネットワークづくり」も、私に課された重要な責務です。

ここ数年はコロナの影響からなかなか海外に渡航することができず、グローバル化推進担当副学長として忸怩たる思いでしたが、制限が緩和された今、海外の高等教育機関とのカンファレンス等に積極的に参加し、関係強化を推進しています。特に国や地域を代表するようなトップ大学には、積極的に連携を働きかけ、教育・研究の両面で人的交流を図りたいと考えています。

他方、高等教育の充実が途上にある国・地域の大学とも協力関係を築いていきます。今でこそ、日本の高等教育は国際的にも高く評価されていますが、上智大学の開学からの歴史を振り返れば、世界の大学の協力を受けて成長してきた経緯があります。キリスト教ヒューマニズムを実践する大学として、新興国の教育の充実に貢献することも私たちの使命だと考えます。さらにこれは、本学の今後のグローバル展開を考えるうえでも重要な意味を持つと認識しています。

激しく変化するグローバル社会の中で、本学が今後も世界から敬愛される大学であるためには、変化を恐れず、日々前進しなくてはいけません。教員、職員、学生、すべての構成員が、多様性を持って生き生きと前に向かって進んでいける大学運営を推進していきます。

近年、「チャレンジしない若者が増えている」と言われています。しかし、実際は挑戦心にあふれる10代、20代は少なくないでしょう。そして、大学時代はそういった志を持つ若者が本当に成長できる時期でもあります。上智大学は、チャレンジの機会、学生が成長できる仕組みをどんどん設けていきたい。「大学で自分を成長させたい」と考える高校生の皆さん、そして社会からの期待を裏切らない大学であり続けたいと考えています。

上智大学 Sophia University