学校法人上智学院について
理事長メッセージ
あなたの使命は何ですか?2025年1月、上智大学6号館で開催されたアンコールワットの展示コーナーで、NHKの番組がこの問いに注目しました。この展示は、上智大学と石澤良昭教授が33年以上にわたって協力してきた、カンボジアでのいわゆる「ソフィアミッション」の完成を記念したものです。「カンボジア人のカンボジア人によるカンボジア人のための」という国際協力の理念のもと、研究だけでなく、人材育成や研修にも力を注いできました。上智の学生として恩師に触発され、カンボジアに自分のライフワークとしての使命を見出した石澤教授は、これを「他者のために、他者とともに」という教育理念に基づく上智の使命と考えています。本学学生にも、学生生活の中で自分の使命を見つけ、生涯をかけて取り組んでほしいと願っています。
私たちの旅は、1549年に聖フランシスコ・ザビエルが来日したことに始まります。ザビエルは知識欲にあふれており、学問と教育を通じて日本社会に貢献することの重要性を認識していました。彼はカトリックの男子修道会であるイエズス会の創設メンバーの一人であり、「ミヤコに大学を」という彼の志はイエズス会の神父たちに受け継がれ、1913年に上智大学、1937年に六甲学院中学校・高等学校、1973年には上智大学短期大学部、1947年に栄光学園中学高等学校、1956年に広島学院中学校・高等学校、1932年に上智福岡中学高等学校(福岡神学校として開校し、1983年イエズス会に経営移管)が設立されました。
今、世界は紛争や人間によって引き起こされた悲劇、気候変動などの難問に直面しています。このような状況だからこそ、私たちの建学の理念と教育精神に基づいて、キリスト教ヒューマニズムを土台とした教育、研究、社会貢献を行うことの重要性は増しています。上智学院の長期計画「グランド・レイアウト3.0-2030年に向けて-」(2023~2030年)とその10のコミットメントは、「叡智(ソフィア)が世界をつなぐ」という建学の理念と、「他者のために、他者とともに(For Others, With Others)」という教育精神に真に導かれ、激動する世界に対応するためのさまざまな改革に取り組んでいます。これらのコミットメントを実現するためには、皆様のご協力とご支援が不可欠です。希望の精神のもとで、これらの取り組みを共に追求していくために、皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
学校法人上智学院 理事長
サリ・アガスティン

[プロフィール]
上智学院理事長、総合グローバル学部総合グローバル学科教授。
カリカット大学(ケーララ、インド)で政治学および ンジャーナディーパヴィディアーピーダ(JDV)大学(プネー、インド)で哲学の学士号を取得後、上智大学神学部神学科を卒業。
その後上智大学外国語学研究科地域研究専攻博士前期・後期課程修了。博士(地域研究・政治学)。2009年神学部准教授、2016年総合グローバル学部総合グローバル学科教授、2017年学生総務担当副学長、2018年上智学院総務担当理事を経て2023年5月に上智学院理事長に就任。
イエズス会と教育事業について
イエズス会の設立
イエズス会は、スペイン・バスク地方出身のイグナチオ・デ・ロヨラが、フランシスコ・ザビエルをはじめとするパリ大学での同志6人と共に創立したカトリック男子修道会です。1540年に教皇パウロ3世から正式認可を受けました。キリストの教えを伝えることを目的とし、教皇の派遣命令に対して絶対的な従順を誓いました。ヨーロッパのみならず、新たな大陸の存在が知られる時代にあって、世界のいかなる土地にも宣教に赴きました。また、カトリック教会の刷新のために開催されたトリエント公会議にも派遣されました。
イエズス会と教育事業
イエズス会は創立の当初から学校教育の重要性を認め、1548年にシチリアのメッシーナで最初の学校を開設しました。その後、ヨーロッパ各地で学校教育を始め、イグナチオが亡くなる1556年までに31校の学校・大学が設立され、海外宣教地にも設立されました。その教育方法はイグナチオ自身の信仰体験をもとに著わされた『霊操』に基づくもので、物事をより深く知り、何をなすべきかを決断し、実践する方法です。そして、“他者のために、他者とともに生きる”ことを目指します。このような教育方針に基づき、3,400以上のイエズス会学校とコンパニオン・スクールで170万人以上の学生・生徒が学んでいます。