5月16日から28日まで、「第6回上智大学アフリカ・ウイークス」が開催されました。
上智大学は、グローバル社会で存在感を増すアフリカをグローバル化推進の戦略的地域と位置付け、アフリカ開発銀行や現地教育機関との連携締結、アフリカ研究の推進など、教育・研究交流を活発に展開しています。
今回のアフリカ・ウイークスでは、講演会、シンポジウムの他、昨年に続き、学生企画「With Africa」を実施。学生有志の運営でトークセッションや多彩な企画の発表がありました。

講演会「西アフリカにおける言語の力 日常~ポップス~文学を横断する諺」

5月17日、永井敦子文学部フランス文学科教授の進行のもと、国士舘大学法学部の鈴木裕之教授を招いて講演会が開催されました。さらに、鈴木教授の夫人でもあるグリオ歌手のニャマ・カンテ氏がゲストとして登壇しました。

13世紀に成立したマリ帝国の系譜を引く西アフリカのマンデの人々は、グリオと呼ばれる語り部が音楽化した「声の文化」を発達させました。鈴木教授は、その声の文化が近代化の中でレゲエなどのポップスや、フランス語による現代文学などにも影響を与えていることを、諺に焦点を当てて紹介しました。解説の合間に、民族衣装をまとったカンテ氏が迫力ある生の歌声を披露。参加者は声の文化を体感しました。

美しい民族衣装で歌声を披露するカンテ氏

講演会は「フランス文学入門Ⅱ」の授業と同時開催され、教室で受講した学生たちは熱心に耳を傾けていました。オンラインで参加した一般の方からは、「レゲエの中で使われているアフリカの諺がおもしろかった」「歌詞の解説が興味深く、日本と共通するような諺もあれば多様な意味にとれるメッセージもあった」などの感想が寄せられました。

セミナー「上智大学アフリカ研究紹介」

5月19日、本学で行われているアフリカ地域を対象とした研究や実践型プログラムを紹介するセミナーが開催されました。冒頭、曄道佳明学長が登壇。本学が力を注いでいるアフリカとの連携を紹介し、若い世代への期待を述べました。

セミナーはまず、グローバル教育センターの山﨑瑛莉講師が、上智大学で展開されている多彩なアフリカ関連の開講科目について説明。特に、アフリカ地域の協定校での講義、現地学生との交流、地域の人々との対話などを通して体験的に学ぶことができる実践型プログラム「アフリカに学ぶ」を紹介しました。

上智大学でのアフリカ研究を紹介

続いて、上智大学でアフリカ研究に携わっている3人の教員が順に登壇。それぞれにスライドを用いて研究内容を解説しました。

外国語学部フランス語学科の岩﨑えり奈教授は、北アフリカ地域を中心に研究。注目している水問題に関し、水資源の稀少性ゆえに知恵を学べる場として研究の面白さを語りました。
総合グローバル学部の戸田美佳子准教授は、研究フィールドの中部アフリカについて説明。特にカメルーン熱帯雨林での共創プロジェクトを通して、現地住民が受け継いできた「在来知」と客観的な「科学知」の融合で相互理解を図るという目標を話しました。
同じく総合グローバル学部の眞城百華教授は、東アフリカのエチオピアの政治やアフリカにおける紛争と女性をテーマにした研究を行っており、アフリカ各国の国会議員の女性比率が世界的に上位を占めると紹介しました。
各教員の研究紹介のあとには、質疑応答も行われました。

セミナーには高校生が多数参加。終了後のアンケートでは、「アフリカに対して紛争や貧困などマイナスのイメージが強かったが、今回の話を通して良い面についても目を向けたいと思った」「自分の知りたいことについて、多角的な視点で点から線へ面へと広げ研究したいという気持ちが強くなった」など、大変満足したという感想が数多く寄せられました。

シンポジウム「アフリカ地域から見た日本 共に未来を考える」

5月24日、アフリカ地域出身者がどのように世界や日本を見ているのかを聞き、共に考えるシンポジウムが開催され、グローバル教育センターの山﨑瑛莉講師の司会のもと、3人のパネリストが登壇しました。

ジェレミ・ドンガラ氏は日本在住のアフリカ研究者で、アフリカ地域出身者から見た日本について、日本の警察官の素晴らしさなどを他国と比較して語りました。

上智大学への交換留学経験者も登壇

イヴェット・ニャンゴノ・ミンコ氏は、上智大学の交換留学生としての体験を紹介。現在筑波大学の博士課程に在籍するメンサー・アコト・ジュリウス氏は環境問題などグローバル社会における課題を提示しました。

シンポジウムは、大学院開講科目「グローバルシティズンシップ:アフリカと共に考える未来」の授業と同時開催され、約150人が視聴しました。第2部では、児童労働の現状や、ガーナの世界遺産「ケープコースト城」の負の部分についての考え方など、活発な質疑応答がなされ、予定時間を超過して盛況のうちに終了しました。

学生企画「With Africa」

学生有志14人により「つなぐ」をテーマとしたアフリカを楽しむ多彩な企画が実施されました。

アフリカン・チャット

5月21日は大学生と高校生に対象を限定し、「アフリカとつながろう」をテーマにトークセッションを開催。
第1部はお互いの生活や価値観から見える違いについて議論し、第2部ではフリートークを行いました。南アフリカやカメルーンから現地学生が参加。日本在住の留学生も加わり、グループに分かれて議論や会話を楽しみました。

現地学生とオンラインでつながる

日本とアフリカをつなぐインタビュー

5月27日は「アフリカとつながるってどういうこと?」と題し、上智大学卒業生など5人のゲストから、アフリカの魅力などをインタビュー形式で聞きました。

アフリカン・ワークショップ

アフリカ布を使って完成したコースター

5月28日は「アフリカを感じよう」をテーマに、アフリカ布を用いたワークショップを行いました。参加者は事前に送られたキットを使って、思い思いにコースターを作成。

学生団体ASANTE PROJECTによる活動も紹介しました。

その他のプロジェクト

昨年に続き、12ページの雑誌『With AFRICA』を発行。
また、運営学生が作成したウェブサイトで、学生企画の情報を発信しています。

雑誌とアフリカ布を手に、運営学生代表の2人

上智大学 Sophia University