上智大学が挑む新たなグローバル展開。アフリカとの協働で国際的リーダーの育成を目指す

グローバル化推進担当副学長
外国語学部 英語学科 教授
飯島 真里子

上智大学は2025年度、新たな国際交流プログラム「国際協働を通じてグローバルな環境課題の解決に貢献するリーダー育成事業」を始めました。このプログラムは、文部科学省の令和7年度「大学の世界展開力強化事業(グローバル・サウスの国々との大学間交流形成支援)※」(タイプII:アフリカ諸国)に採択され、本学のみならず日本の高等教育機関のグローバル展開を推進する重要な役割を担います。今回は、このプログラムの背景や狙いについて、グローバル化推進担当副学長が語ります。

 

アフリカ地域との連携による国際的リーダー育成プログラムを開設

20世紀初頭にヨーロッパのイエズス会士によって設立された上智大学は、歴史的に欧米諸国の大学とのつながりが強く、学生の留学先も同地域に集中する傾向があります。もちろん、欧米の教育機関との関係はさらに維持、発展させていきますが、今後の本学のグローバル化を見据えたとき、新たな地域としてアフリカとの連携を強化する必要があるだろうと考えました。

実は、アフリカという地域にフォーカスした背景には、いくつかの要因があります。

まず、総合グローバル学部の中東・アフリカ研究領域をはじめ、アフリカ諸国を専門とする教員が複数の学部や研究科に在籍しており、研究・教育のリソースに恵まれていることです。加えて、2017年からは、毎年5月に「アフリカWeeks」という全学的なイベントを2週間ほど開催し、学術研究、留学、キャリア形成など、さまざまな視点から同地域を知ってもらう機会を提供してきました。このイベントを通じて、アフリカ地域を専門とする研究者、実務者、行政官を含む幅広いネットワークが形成されていると同時に、アフリカに大きな関心を寄せ、実際に短期訪問や交換留学をする学生が増えつつあることも挙げられます。

そして、本プログラムでは、これまで学部や研究科、センターごとに分散していたアフリカ地域、国際協働、地球環境に関する学びを全学横断的カリキュラムとして設計・実施し、一つに集約しました。これは、全学レベルで展開する新たなグローバル化の取り組みの具体的な一歩となります。

多言語を駆使したコミュニケーション能力と国際協力の理論を実践的に学ぶ

本プログラムの特徴は、アフリカ諸国の7つの大学と連携し、講義科目と実地研修を組み合わせた学びを通して、グローバルな舞台で活躍できる次世代リーダーを育成することにあります。参加学生は、「共通科目」及び「専門科目」の講義と「実践プログラム」の実地研修を修めることで、「日本・アフリカ協働実践プログラム」の履修証明を取得できます。

「日本・アフリカ協働実践プログラム」の履修証明(オープンバッジ) ※国際標準規格に基づいた信頼性の高いデジタル修了認定証

アフリカ 連携大学一覧

南アフリカ
ステレンボッシュ大学

エジプト
エジプト日本科学技術大学

コートジボワール
アビジャン・イエズス大学
フェリックス・ウフェ=ボワニ大学

ジンバブエ
アルペ・イエズス大学

セネガル
シェイク・アンタ・ジョップ大学(連携予定)

ガーナ
ガーナ大学(連携予定)

具体的には、「共通科目」はアフリカについて学ぶ導入レベルの必修科目となります。講義は英語とフランス語でそれぞれ実施され、一部ではCollaborative Online International Learning(COIL, 国際協働オンライン学習)を活用して、アフリカの提携校の教員による講義や、提携校の学生とのディスカッションを学期中に数回行います。この科目の受講を通じて、渡航前の段階から、アフリカ地域への知識を習得するとともに、連携大学の学生との「国際協働」の意識を持ってもらうのが狙いです。

専門科目は、「日本アフリカ研究」「国際協力学研究」「地球環境学研究」の3分野から構成され、3科目以上の履修が求められます。「日本アフリカ研究」では、アフリカからの留学生は日本を、本学学生はアフリカを学ぶことで、お互いの地域への理解を深めます。「国際協力学研究」では、将来的な国際協力活動に必要な専門知識や理論を習得します。「地球環境学研究」では、地域を限定することなく環境問題に関する学びを提供し、グローバルな視点から地球規模の課題に対する知見を深める機会を設けます。

以上の共通科目・専門科目で培った知識は、春・夏期休業期間中に実施している短期実践型プログラム「アフリカに学ぶ」や、現地で日本語を教える国際協働ボランティア、あるいはアフリカ諸国への短期・中長期留学といった「実践プログラム」の場で活かされることが期待されます。

よって、学生は講義と実践を通して、多言語(日本語・英語・フランス語)を駆使したコミュニケーション能力を鍛え、自分が赴く地域に関する専門知識を活用し、国際協働のあり方を実践的に学びます。さらに、意欲的な学生が学びを深めるために、長期の交換留学や、本学と協定を結ぶアフリカ諸国の大使館・アフリカ開発銀行などでのインターンシップ、大学院へとつながる発展的な学びの道筋も用意しています。

経済面・安全面を手厚くサポートし、学生の海外での飛躍と成長を実現

一方で、アフリカへの渡航は、距離や治安、費用の面でハードルが高いのが現状です。加えて、アフリカ以外の国への留学に関しても、世界的なインフレや円安の影響で、現在、留学費用は高騰しています。そのような変化の激しいなかでも、私たちは学生が安全かつ安心して学べる環境を提供できるよう努力しています。

経済的なサポートとして、奨学金の支援を充実させ、渡航費や生活費の一部援助など、経済的な負担軽減に努めています。安全管理に関しても、既存プログラムで蓄積したノウハウを活用しつつ、新しいプログラムの開始前には、必ず本学教職員が現地へ赴き、安全確認を徹底しています。また、社会情勢の変化も常に注視しており、例えば直近米国のビザ取得の遅延で留学が困難になった際は、提携校と密に連絡を取り、状況を確認したうえで、延期や代替案の提案など、学生一人ひとりの状況や要望に沿った対応を心掛けています。本学では、グローバル教育センターを中心に、教職員が提携大学と直接連絡を取り合い、情報交換を行っているため、強固な信頼関係が築かれており、これが学生の安全確保と充実した留学機会の提供につながっていると考えています。

最後になりますが、世界の中でもアフリカはとりわけ文化や環境が多様であり、実際に現地に足を運ぶことで、想像していなかった世界と出会うことになるかと思います。これまでの自分の殻を破るような未知の体験もできるでしょう。このプログラムをきっかけとして、多くの学生がアフリカという新たな舞台で視野を大きく広げ、将来グローバルな課題解決に貢献するリーダーとして羽ばたいていくことを、心から願っています。

上智大学 Sophia University