すべての構成員の心の支えとなる場所へ~「DEI&B推進宣言」に込めた思い~

学生総務担当副学長
総合人間科学部 心理学科 教授
横山 恭子

2025年8月、上智大学は「DEI&B(ダイバーシティ・エクイティ・インクルージョン・ビロンギング)推進宣言」を公表しました。宣言を定めた背景や、宣言に込めた思いについて、学生総務担当の横山恭子副学長が語ります。

皆が安心して活躍できるキャンパスを目指して

2025年度策定した「DEI&B推進宣言」は、すべての学生、教員、職員が多様性を尊重し、安心して学び、働けるキャンパスづくりを目指すと同時に、互いを認め合いながら共に生きる社会の実現に向けて行動する指標となるものです。

本学のダイバーシティ推進は、これまで2011年に公表した「男女共同参画宣言」に基づき、その実現に取り組んできました。その結果、2025年5月1日時点で女性教員比率は約4割となり、文部科学省が掲げた目標である3割を大きく上回っています。大学執行部も女性が半数となり、「男女共同参画宣言」の時代から大きく進展しました。

一方、98か国から留学生が集まる本学では国籍、民族、宗教、言語に加え、性の多様性や学習のために必要となる合理的配慮など、多様なバックグラウンドを持つ学生が学んでいます。こうした状況を踏まえて、従来よりもさらに包括的な取り組みが必要であると考え、あらためて「DEI&B推進宣言」を策定したのです。

大学への帰属感の醸成と心理的安全性の確保を重視

DEI&Bは、それぞれ「D:ダイバーシティ(多様性)」、「E:エクイティ(公正性)」、「I:インクルージョン(包摂性)」、そして「B:ビロンギング(帰属感)」を意味します。

こうした宣言を出す企業や教育機関は少なくありませんが、特に「B:ビロンギング(帰属感)」を含めている点は、本学の宣言の大きな特徴であり、“上智らしさ”が現れている部分です。この要素を加えたのは、学生や教員、職員の誰もが「ここに私の居場所がある」と思えることが、それぞれの場所で活躍するための後押しになると考えたからです。

「自分を温かく迎えてくれる場所があること」や「自分を信頼してくれる場所があること」はとても大切で、特に人が疲れているときや困難に直面したときに、「もう少し頑張ろう」という力になりえます。

また、この宣言の実現にあたっては、心理的安全性の確保が必要だと考えます。心理的安全性とは、自分の考えや気持ちを、安心して素直に口に出せる状態を指します。すべての構成員が「思っていること」「疑問に感じていること」を安心して言える環境をつくりたい。そして、大学側はそれをきちんと受け止める姿勢を欠かさないことが重要と考えています。

小さな声にも耳を傾け、それを拾い上げていく

「DEI&B推進宣言」は、公表して終わりではありません。これを推進するための具体的な取り組みも進めていきます。その中心となるのが、ダイバーシティ・サステナビリティ推進室です。この推進室には、10名を超える学生職員が所属しており、学生たちのアイデアが、大学の環境改善に影響を与えています。例えば「Breeze Lounge」(2号館4階)には、随所に学生職員のアイデアが取り入れられています。誰もが自然に心地よく使える、風通しのよさをイメージした空間として設計されており、ラウンジのトイレは個室完結型で、誰でも利用できるように配慮されています。

また、毎年11~12月に開催している「ダイバーシティ・ウィーク」では、学生、教員、職員が協働し、多様性を受け入れる共生社会を目指してイベントを企画・実施しています。

一方で、学生には、自らが声を上げるだけでなく、声を上げられない人たちのために、学生同士が協力して行動を起こすことを期待しています。声を上げられずにいる人がいるなら、代わりに声を上げてほしい。それに対して私たちは、大学として何ができるかを一緒に考えていきたいのです。

そうした関わり合いの中からこそ、相互の信頼関係が築かれ、心理的安全性が生まれていくものだと考えます。全てを実現できるわけではありませんが、できる限り小さな声にも耳を傾け、それを拾い上げられる大学でありたいと思います。

真のDEI&Bを目指し、「風通しのよい大学」へ

現代社会において気遣いや配慮は当然必要ですが、最近は他者への忖度が行き過ぎて、かえって個人を孤立させてしまう傾向も見られます。人の思いは聞かなければわからないという前提に立ち、ごく普通に相手の気持ちを尋ねたり、率直に発言し合えたりすることが大切です。

こうした環境づくりは時間がかかります。宣言を公表した翌9月に、多様性を尊重する本学のさまざまな取り組みを集約したハンドブックを発行しました。今後さらに構成員の意識改革も必要でしょう。「風通しのよい大学」をつくっていくことが、真の意味でのDEI&Bにつながると考えていますし、それを目指したいと思います。

※「DEI&B推進宣言」の詳細な内容はこちらからご覧になれます。
※DEI&Bに関する情報や各種制度・相談窓口をまとめたハンドブックはこちらからダウンロードできます。

上智大学 Sophia University