10月17日から28日までの2週間にわたり、「国連の活動を通じて世界と私たちの未来を考える」をコンセプトに「上智大学国連Weeks October, 2016」が開催されました。日本の国連加盟60周年の節目に開催された今回は、岸田文雄外務大臣ほか多彩なゲストが登壇して行事を盛り上げました。

世界を話そう「国連の現実と日本の役割」

解説する吉川前国連大使

10月18日、「世界を話そう」企画が開催されました。今回は前国連大使の吉川元偉氏をお招きしました。冒頭、モデレーターの藤崎一郎特別招聘教授が「国連の役割と限界」「日本の役割」「国際機関の中で働くこと」の3つを吉川大使に質問しました。その後、植木安弘総合グローバル学部教授も交えて、会場からの質問に応える形で議論を行いました。

学生からの「国連で最も困難だったことは何か」との質問に対して、吉川大使は「辛いと思ったことはない。あえて言うと国連大使として自らに課した責務として、安全保障理事会や人権条約などの選挙で勝つこと。私は全戦全勝しました」と述べました。学生からの質問は続き、予定時間を超えるほど議論が白熱しました

「日本と国際連合の歩み-日本の国連加盟60周年-」写真展

国連と日本の歩みを見る

10月19日から28日まで日本の国連加盟60周年を記念した写真展が2号館1階エントランスホールで開催されました。写真はすべて外務省から提供されたものです。

1956年に国連へ加盟した日本は、以降さまざまな国際貢献を積極的に行ってきました。加盟国最多である11回の国連安全保障理事会非常任理事国入りも果たしています。

今後、国際社会が直面する紛争、テロ、難民、貧困といった国境を越えた課題に対して、国連が果たすべき役割はますます大きくなっています。写真展では、日本と国連の60年間の歴史を振り返り、これから日本が国連を通じてどのような貢献を行っていくか、その展望も併せて紹介しています。

国連機関合同就職説明会 ~国際公務員へのキャリア研究フェア~

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植木安弘教授

10月19日(水)、四谷キャンパス2号館17階国際会議室にて、国連機関合同アウトリーチミッション訪日、国連機関合同就職説明会が開催されました。国連事務局(UN)をはじめ、国連人道問題調査事務所(OCHA)、国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)、国連児童基金(UNICEF)、UNウィメン(UN Women)、IOM(国際移住機関)、CTBTO(包括的核実験禁止条約準備委員会暫定技術事務所)の人事担当者が来日し、各国連機関の採用のありかたが説明されました。当日は、学内、学外より100人を超える多くの来場者が訪れ、国際貢献にたずさわる国連職員への関心の高さがうかがわれました。

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UNHCR難民高等教育事業に関する協定記念式/第11回UNHCR難民映画祭 -大学パートナーズ映画上映

協定書を手に記念撮影

10月21日、国連難民高等弁務官(UNHCR)駐日代表のダーク・へベカー氏を迎え、今年6月に上智大学がUNHCR駐日事務所と締結したUNHCR難民高等教育事業の協定締結記念式が行われました。この協定は、日本に在住する日本国籍を持たない難民の人々に、上智大学への入学の道を開き、奨学金を付与して就学をサポートするものです。来年度から毎年1人、UNHCRから推薦された志願者が入学する予定です。

式典は早下隆士学長の挨拶に続き、事務局から協定内容についての説明が行われた。記念講演ではへベカー駐日代表から、世界の難民の状況やUNHCRの対応について説明があり、「UNHCRの活動は政治的に問題を解決するものではなく、発生した事態に対応する絆創膏のような活動である」と述べました。そして、「次期国連事務総長に選出されたアントニオ・グテーレス前難民高等弁務官の難民問題解決に向けた取組に期待している」と話しました。

続いて、第11回UNHCR難民映画祭-学校パートナーズの難民映画上映が行われました。上映作品は『国境に生きる~難民キャンプの小さな監督たち~』。クルド難民キャンプに暮らす8人の子どもが、ワークショップを通じて、脚本から演出、撮影までを行った作品です。難民キャンプの過酷な現状を、日常風景を切り取って見せる作品に、多くの参加者が問題意識を共有しました。

日本の国連加盟60周年・国連デー記念イベント

左から)岸田文雄外務大臣、外務大臣賞 モンテベルデ=ブスタマンテさん、レスリー・キー氏

10月24日、「日本の国連加盟60周年・国連デー記念イベント」第一部の『わたしが見た、持続可能な開発目標(SDGs)』学生フォトコンテスト授賞式に岸田文雄外務大臣が出席しました。このコンテストは、国連広報センターと上智大学が主催したもので、国連が昨年採択した「持続可能な開発目標(SDGs)」の17の目標をテーマにした写真を世界で募集したところ、50カ国から600点を超える応募がありました。

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企業・NPOと考えるサプライチェーン 「この商品が皆さんの手に届くまで」

10月27日、国連のイニシアチブに対して、民間企業やNPO法人などが、どのように関わることができるかを議論するシンポジウムが開催されました。上智大学とグローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン(GCNJ)が主催しました。

早下隆士学長の挨拶に続き、デロイトトーマツコンサルティングの向井真代氏がシンポジウムのテーマであり、昨年国連で採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の概要説明を行いました。

プレゼンテーションでは伊藤忠商事の広報部CSR・地球環境室長の小野博也氏が登壇。商品がどこから来るのか消費者に伝える「サステナビリティ・レポート」など企業の取り組みを説明しました。続いてNPO法人ACE代表の岩附由香氏(1997年文英卒)は、児童労働問題の現状とNPOとしての取り組み事例を紹介しました。

パネルディスカッションではGCNJ事務局の中村祥子氏、伊藤忠商事の村上清華氏(2005年外仏卒)、キリンホールディングスの森田裕之氏(1986年文新卒)、エシカル協会代表の末吉里花氏、岩附氏の5人がパネリストとして登壇。モデレーターは浦元義照グローバル教育センター特任教授が務め、商品の製造から販売までの流れの中でどのようにSDGsの目標と関わって行けるかを事例を交えて紹介しました。最後にGCNJ代表理事の有馬利男氏が総括を行って閉幕しました。

上智大学 Sophia University