2006年度上智大学シラバス

2006/04/11更新
◆日本史演習(古代史) - (通)
北條 勝貴
○科目サブタイトル
『日本書紀』用明〜推古天皇代の叙述を読む
○講義概要
日本古代国家の成立過程において、用明〜推古朝の占める位置は極めて大きい。『日本書紀』には、大陸・半島との交渉による先進的文物の受容、法制・礼制の整備から国史の編纂に至るまで、後の律令制度に結びつく最重要の記事が並んでいる。しかし一方で、近年の聖徳太子論争に象徴されるように、その史料的信憑性を疑問視する見解も後を絶たない。ここには、〈書かれたもの〉を〈史実〉の反映とみなしてきた、実証主義歴史学の認識論的陥穽が露呈していよう。正史といえど、何者かによって叙述された個別の言説にすぎない。本演習では、史実/虚構の二項対立に執着することなく、〈書く〉という行為を多角的に見据えるなかで、『書紀』の描き出そうとした世界とその意義に迫ってゆきたい。
○評価方法
出席は前提である。レジュメの内容、発表の仕方、質疑応答の態度を中心に、授業全体への貢献度(他の報告者への質問・意見、討論の内容)などから総合的に評価する。
○テキスト
森博達『日本書紀の謎を解く—述作者は誰か—』 中公新書、1999年
○参考書
授業の進行状況、各自の報告の準備や達成度に応じて適宜指示する。
遠山美都男 編『日本書紀の読み方』講談社現代新書、2004年
大山誠一 編『聖徳太子の真実』平凡社、2003年
○他学部・他学科生の受講

○ホームページURL
授業において指示する。
○授業計画
1ガイダンス:歴史と史料について考える
2『日本書紀』概説—歴史叙述としての達成—
3『日本書紀』研究の方法1—研究の現状:音韻論・文体論・区分論の基礎知識—
4『日本書紀』研究の方法2—研究の態度:史書を読む想像力—
5用明天皇即位前紀〜同元年五月条
6用明天皇二年四月丙午〜同年七月甲午条
7崇峻天皇即位前紀1
8崇峻天皇即位前紀2〜同元年三月条
9崇峻天皇元年是歳〜同五年十一月是月条
10推古天皇即位前紀〜同四年十一月条
11推古天皇五年四月丁丑朔〜同十一年七月丙午条
12推古天皇十一年十月己巳朔〜同十二年四月戊辰条1
13推古天皇十二年四月戊辰条2
14推古天皇十二年九月条〜同十五年二月甲午条
15まとめと反省
16前期の復習
17推古天皇十五年七月庚戌〜同十六年八月丙辰条
18推古天皇十六年九月乙亥〜同十八年十月辛亥条
19推古天皇十九年五月五日〜同二十一年十一月条
20推古天皇二十一年十二月庚午朔〜同二十六年是歳条
21推古天皇二十七年四月壬寅〜三十一年七月条
22推古天皇三十一年是歳〜同三十一年十一月条
23推古天皇三十二年四月戊申〜同三十四年五月丁未条
24推古天皇三十四年六月〜同三十六年九月壬辰条+推古紀の特徴
25整理と討論:『書紀』における用明〜推古紀の意義
26整理と討論:聖徳太子論争の意義と問題点1
27整理と討論:聖徳太子論争の意義と問題点2
28予備
29予備
30まとめと反省

  

Copyright (C) 2006 Sophia University
By:上智大学 学事センター