2006年度上智大学シラバス

2006/03/01更新
◆日本史概説Ⅲ - (前)
川村 信三
○講義概要
日本の中世末期(戦国期及び織豊期)、および近世初期にいたる概説。室町の終焉、戦国動乱、織豊政権、徳川幕府初期の通史。東アジアの国際情勢を踏まえた日本史の位置づけをめざす。扱うテーマは、室町幕府末期の畿内政治、惣村発展論、一揆論(土一揆・宗教一揆)、東アジア貿易圏、織田信長の「天下一統」、秀吉政権の対外政策、徳川幕藩体制成立、キリスト教の発展と禁教など
参考資料・文献は、各テーマにつき随時紹介する。
○評価方法
出席状況(50%)、前期学期末試験(定期試験期間中)(50%)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1導入: 中世から近世へ 日本史時代区分の問題:マルクス主義史学(社会構成史的認識・法則認識)と実証主義史学(個別認識・アカデミック史学)
2中世史学と近世史学の考え方:黒田俊雄の「権門体制論」考察
3戦国のはじまり: 応仁・文明の乱の史的意義の考察および室町中期の農村変化
中央政権としての室町幕府の崩壊と農村におけるエネルギーの蓄積(気候変動と社会変動)
4一揆の諸相:土一揆(徳政一揆・国一揆)
幕府、土倉 酒屋、農民の相互依存関係 徳政の効果 一揆の意味
5宗教一揆論: 一向一揆 法華一揆: 顕密仏教と異端的新仏教の興隆(13世紀)から真宗、法華宗のそれぞれの発展を基礎とした16世紀宗教状況の概観
6戦国大名論:大名領国制の形成(貫高制のプロセス)、戦国時代の「国家」概念
7織田信長論(1)「天下一統」と「天下布武」:織豊政権についての学説史まとめ、『信長公記』の歴史史料的価値の検証、信長における「権力power」と「権威authority」と朝廷および幕府
8織田信長論(2)安土城:「信長の天下統一イデオロギーの目に見えるしるし」として
9東アジアの国際情勢と日本:日明勘合貿易のプロセスと東シナ海におけるポルトガルの参入(日欧関係史の端緒)
10豊臣秀吉論(1):国内統一政策(九州征伐以前)
秀吉は信長の継承者か、オリジナリティーをもった為政者か
11豊臣秀吉論(2):秀吉の対外政策 朝鮮侵略:日本国内政治の視点、朝鮮半島からの視点、明(中国)の視点の多角的考察による日本の国際的位置づけの模索、「武威」概念
12徳川政権成立期の課題:織豊政権との連続性と断続性
13寛永期における「鎖国」体制の成立

  

Copyright (C) 2006 Sophia University
By:上智大学 学事センター