2005年度上智大学シラバス

◆ドイツ文学特講Ⅱ(ドイツ抒情詩) - (通)
中村朝子
○講義概要
叙情詩は主観的感情の吐露を主眼とすると捉えがちである。しかし詩人もまた必ず社会的存在であるが故に、その詩人の手によって生まれるテクストも何らかの社会的視点を保有している。そこで授業では社会ないし時代への批判の姿勢が特に色濃く表されていると思われる詩作品を中世から現代まで選び、考察していきたい。その際テクストを形式・内容の両面から精緻に分析することで、何よりも叙情詩としての魅力をまず味わい、同時にそれぞれの詩の成立した時代や社会的背景を検討し、そこに浮かび上がる様々な問題点を吟味していきたい。授業は講義と演習を併用した形で進めるので、授業内の活発な意見の発表が求められる。
○評価方法
出席状況(25%)、授業参画(25%)、前期学期末試験(授業期間中)(25%)、後期学期末試験(授業期間中)(25%)
○テキスト
プリント配布
○参考書
山口四郎『ドイツ語必携・詩法と評釈』鳥影社 2001年
内藤道雄 編『ドイツ詩を学ぶ人のために』世界思想社 2003年
○必要な外国語
ドイツ語
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1導入(授業についての説明)
2中世宮廷社会とキリスト教教会 Walther von der Vogelweide
3三十年戦争とバロック時代 Andreas Gryphius
4Sturm und Drangの詩人たち
5Sturm und Drangの詩人たち
6フランス革命の震撼:Goehte,Schiller
7フランス革命の震撼:Goehte,Schiller
8ナショナリズムの台頭:ロマン主義の詩人たちを中心として
9ナショナリズムの台頭:ロマン主義の詩人たちを中心として
10三月革命に向かう激動の時代―政治的詩人Heine
11Mörikeにみるビーダーマイアー的姿勢
12オーストリア詩人 Lenau
13市民的道徳への挑発:Dehmel,Wedekind
14市民的道徳への挑発:Dehmel,Wedekind
15試験
16詩に描かれる都市―自然主義から表現主義へ
17詩に描かれる都市―自然主義から表現主義へ
18ハプスブルク帝国の没落:Trakl
19伝統からの離反:ダダイズム
20ヴァイマル共和国:Brecht,Tucholsky Kästner
21ヴァイマル共和国:Brecht,Tucholsky Kästner
22ナチス政権下の詩
23Brecht
24自然叙情詩
25第二次世界大戦終結から現代まで
26「ゼロ地点」の詩
27ナチスの過去との対決
28消費文明社会
29環境問題
30試験

  

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