おわりに

 2019年2月に第31代イエズス会総長アルトゥーロ・ソーサ神父から「イエズス会使徒職全体の方向づけ」(UAPs: Universal Apostolic Preferences of the Society of Jesus, 2019-2029)が発表されました。これはおよそ2年にわたり全世界のイエズス会員が、イエズス会が取り組むべき世界的なレベルの優先課題について議論し、まとめあげたものです。2029年までの10年間、イエズス会のそれぞれの施設・学校・組織は次の4つをミッション(使命)として意識して取り組んでゆきます。

A.霊操および識別を通して神への道を示すこと。(大切なことの中でも特に大事にすべきことを選んで行える人になること。)
B.和解と正義のミッションにおいて、貧しい人々、世界から排除された人々、人間としての尊厳が侵害された人々とともに歩むこと。(弱い立場の人たち(貧しく社会の片隅に追いやられている人たち)を大切にすること。)
C.希望に満ちた未来の創造において若い人々とともに歩むこと。(未来を創る若者たちと共に歩むことを大切にすること。)
D.「ともに暮らす家」(地球)への配慮と世話を協働して行うこと。(私たちが暮らす地球の環境を大切にすること。)
(上智学院カトリック・イエズス会センターのホームページより)

 一見して明らかなように、1548年、聖イグナチオが最初の学校を開設した際に掲げたイエズス会教育の伝統は、これらの課題のなかにもしっかりと生き続けています。一方で、その理念とはまったく異なる行為が、イエズス会経営の学校でおこなわれ、少年少女を苦しめたこともありました。上智学院もこの点を忘れず、聖イグナチオの伝統に常に立ち返り、アルペ神父の”Men for Others”「他者のために生きる人間」という言葉を噛みしめながら、よりよい未来を築いてゆく必要があるでしょう。

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