2006年度上智大学シラバス

2006/02/18更新
◆宗教社会学Ⅱ - (後)
芳賀 学
○科目サブタイトル
高度消費社会における人間と宗教
○講義概要
本講義では、1980年代以降の現代日本社会に絞って、宗教と私たちとの関係の諸側面について情報提供し、あらためて考え直す機会を提供する。特に、新新宗教・水子供養・四国遍路などの現象を参加者の動機に焦点を当てて取り上げることで、「豊かな社会」に生きる私たちに特有の苦悩や不安が、人々を宗教に吸引している状況が次第に明らかとなるだろう。ただし、現代社会において、こうした人々の願望は、一方でいくつかの点で深刻な問題を生みだしてもいる。そこで、生命倫理問題と「カルト」問題を例にとって、その社会的背景と処方箋について検討をしたいと思う。なお、本講義の履修には、前提となる宗教社会学Ⅰの単位獲得が必要である。
○評価方法
レポートとリアクションの総合評定で行う。
○テキスト
村上春樹『約束された場所で:underground2』 文藝文庫・2001年
村上春樹『アンダーグラウンド』 講談社文庫・1999年
○参考書
伊藤雅之・樫尾直樹・弓山達也編『スピリチュアリティの社会学』世界思想社・2005年
島薗進『いのちの始まりの生命倫理』春秋社・2006年
大泉実成『説得:エホバの証人と輸血拒否事件』現代書館・1988年
○必要な外国語
なし
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1オリエンテーション:教団勢力の退潮と両極化
2新新宗教の興隆(1)プッシュ要因
3新新宗教の興隆(2)プル要因
4新新宗教の興隆(3)ヴィデオ鑑賞
5四国遍路の流行:現代仏教ブーム
6水子供養の発明
7生命倫理と不老不死の夢
8苦悩のなき人生への憧れ:宗教は現代人にとっても必然か?
9オウム事件のインパクト
10事件報道の言説分析
11マインドコントロール説の深層
12まとめ(1)共存か排除か
13まとめ(2)宗教と社会の近未来形

  

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