2006年度上智大学シラバス

2006/02/27更新
◆教育学特殊講義Ⅴ-臨床教育学 - (前)
上杉 賢士
○科目サブタイトル
「学びの環境」としての学校を見直す
○講義概要
 現代の学校は実に多様な問題を抱え、「学びの環境」としての危機に瀕しているといってよい。そこで、まず臨床的な視点から問題の整理をするとともに、教育改革の方向性について確認する。次に、アメリカで生じている教育改革運動、とりわけミネソタ・ニューカントリースクールが開発したプロジェクト・ベース学習の方法と可能性について、演習を含む「参加・体験型授業」を通して深い理解をもたらすように構成する。
○評価方法
出席状況(20%)、授業参画(30%)、レポート(50%)
○テキスト
テキスト1は購入の必要がある。参考書に掲げた訳書は可能な限り読むことが期待される。
上杉賢士、市川洋子『プロジェクト・ベース学習で育つ子どもたち-日米18人の学びの履歴-』 学事出版 2005
○参考書
○ロン・ニューエル著、上杉賢士・市川洋子監訳「学びの情熱を呼び覚ます プロジェクト・ベース学習」(学事出版、2004)
○上杉賢士「総合学習進化論-12年間で育てる学力-」(明治図書、20 03)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1「ガイダンス」の原義に見るわが国の教育状況
戦後のわが国に導入された「ガイダンス」の概念を再検討し、わが国の学校が抱えている課題を明らかにする。
2「不登校」研究の変遷と現代的課題
 一般に不登校と呼ばれている現象は、いくつかの呼称の変遷をたどって現在に至っている。「不登校」問題が投げかける学校の課題を整理する。
3「学びの環境」としての学校が抱えている問題群
 「学習指導要領」を手がかりにしながら、わが国の学校の「学びの環境」としての是非を問い直す。
4学校のあり方を問い直す
 アメリカで生まれたチャータースクールの意義と現状を紹介し、わが国の教育改革の必要性と方向について検討する。
5ミネソタ・ニューカントリースクールの挑戦
 プロジェクト・ベース学習を生み出したミネソタ・ニューカントリースクールを紹介するとともに、子どもの学びの実際をビデオで視聴する。
6プロジェクト・ベース学習の意義と方法
 デューイの経験主義を理論的基盤とするプロジェクト・ベース学習の方法と現代的意義について検討する。
7評価規準の明示がもたらす学びの変化
 わが国の評価観の変遷とその功罪について検討した後、評価規準の事前提示がもたらす学習効果について体験的に理解する。
8プロジェクト・ベース学習の企画立案
 一定のフォーマットに即して、自らの課題意識に基づくテーマ設定とそれを追究するための企画立案を行う。
9企画書に基づくプロジェクト・ベース学習の展開①
 グループによるテーマ追究①
10企画書に基づくプロジェクト・ベース学習の展開②
 グループによるテーマ追究②
11企画書に基づくプロジェクト・ベース学習の展開③
 グループによるテーマ追究③
12プレゼンテーション
 テーマ追究の結果をプレゼンテーションする。
13トライアルの最前線
 プロジェクト・ベース学習を応用して現在実践しているいくつかの実例を紹介してまとめとする。

  

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