2006年度上智大学シラバス

2006/02/24更新
◆日本史特講(古代史)Ⅱ - (後)
北條 勝貴
○科目サブタイトル
〈神仏習合〉の古代文化論
○講義概要
神と仏の共存する〈神仏習合〉現象は、日本人にとって極めて一般的な宗教形態であり、年中行事の実践においても慣習的な住み分けがなされている。しかしその「当たり前」という認識が、かえって、神仏関係の歴史的理解を浅薄にしてはいないだろうか。一口に〈習合〉といっても、神が仏教に救済を求める形式、仏法の守護神となる形式など、様々な内的論理が存在する。またこれらは、長く固有信仰の枠組みで捉えられてきたが、近年の研究を通じ、中国仏教より受容されたものであることが明らかになっている。では、〈神仏習合〉は中国でどのように生み出され、日本化の過程でいかなる変容を遂げたのか。環境史的視点も加味して考察してゆきたい。
○評価方法
出席状況(20%)、リアクションペーパー(30%)、レポート(50%)
毎回提出してもらうリアクションペーパー、学期末のレポートを重視して評価する。
○参考書
授業の進行に即して適宜指示・紹介する。
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1ガイダンス:〈神仏習合〉の日本文化
2折口信夫のみた古代文化の核―『死者の書』を読む―
3中国六朝における〈神仏習合〉言説の成立1―宮亭廟神済度伝承の形成―
4中国六朝における〈神仏習合〉言説の成立2―宮亭廟神済度伝承と廬山仏教―
5中国六朝における〈神仏習合〉言説の成立3―山林修行者と山神の護法善神化―
6中国隋唐期における〈神仏習合〉言説の展開
7日本古代における神仏関係の起点1―『日本書紀』崇仏論争記事の問題点―
8日本古代における神仏関係の起点2―『日本書紀』崇仏論争と『法苑珠林』―
9〈神身離脱〉言説の日本的展開1―山林修行者の宗教的実践1―
10〈神身離脱〉言説の日本的展開2―山林修行者の宗教的実践2―
11〈神身離脱〉言説の日本的展開3―祟り神の救済と活性化1―
12〈神身離脱〉言説の日本的展開4―祟り神の救済と活性化2―
13〈神仏習合〉と律令国家―奈良朝の政治過程における役割―
14〈神仏習合〉と自然環境―〈本地垂迹〉説から〈本覚論〉へ―
15まとめ

  

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