2006/02/24更新
○講義概要 |
私たち人間は、自然環境との対立や調和をとおして、多様な生活技術、思想・宗教を生みだしてきた。とくに前近代の社会においては、人間の文化活動全般に対する環境の影響力は、現代よりもはるかに巨大であったと想像される。戦後歴史学では、マルクス主義的な開発肯定史観のもと、歴史を自然の規制からの人間の解放と位置付けてきた。しかし、環境問題が世界的に深刻化している今、自然/人間の関係史もより批判的に、より多様な観点から捉えなおされなければならない。本講義では、縄文時代から奈良時代に至る列島の社会・文化・心性の変遷を、環境史的視野から跡付けてゆく。また、大陸や半島に由来する渡来系文化の展開にも充分注意し、〈固有〉や〈基層〉といった概念の有効性も再検討してゆきたい。
|
○評価方法 |
出席状況(20%)、リアクションペーパー(30%)、レポート(50%) 毎回提出してもらうリアクションペーパー、学期末のレポートを重視して評価する。
|
○参考書 |
授業の進行に即して適宜指示・紹介する。 増尾伸一郎・工藤健一・北條勝貴 編『環境と心性の文化史 上・下』勉誠出版、2003年 石弘之・安田喜憲・湯浅赳男『環境と文明の世界史―人類史20万年の興亡を環境史から学ぶ―』洋泉社新書、2001年 安田喜憲『日本文化の風土』朝倉書店、1992年
|
○授業計画 |
1 | ガイダンス:なぜ環境を扱うのか |
2 | 環境史の視座と方法 |
3 | 自然環境の変化と文明の盛衰 |
4 | 縄文期の社会・文化と自然環境1―動物の主― |
5 | 縄文期の社会・文化と自然環境2―土偶と死/再生の信仰― |
6 | 縄文期の社会・文化と自然環境3―祖先の誕生― |
7 | 弥生期の社会・文化と自然環境1―鳥と鹿の象徴化― |
8 | 弥生期の社会・文化と自然環境2―巨大神殿をめぐる疑問― |
9 | 弥生期の社会・文化と自然環境3―青銅器祭祀の盛衰― |
10 | 古墳期の社会・文化と自然環境1―古墳寒冷期論の展開― |
11 | 古墳期の社会・文化と自然環境2―古墳祭祀と他界観― |
12 | 古墳期の社会・文化と自然環境3―神の誕生― |
13 | 大規模開発と神殺し |
14 | 仏教の導入と自然=神の相対化 |
15 | まとめ |
|
Copyright (C) 2006 Sophia University
By:上智大学 学事センター
|