2006年度上智大学シラバス

2006/02/26更新
◆西洋倫理思想史Ⅱ - (後)
長町 裕司
○講義概要
前期に引き続き、後期には西欧近代の「倫理の合理的基礎づけ」という学的プロジェクトの成立とその企図からの諸倫理学理論(義務論的倫理学、功利主義倫理学、契約論)と自由主義思潮との拮抗関係を築いた社会思想(アナーキズム、マルクス主義、等)を検討・吟味する。20世紀の倫理思想上の問題状況は、一方ではアメリカを中心とするプラグマティズムの台頭とこれに対抗するドイツ・フランスの哲学界からの実存主義倫理及び価値倫理学などが見られる。しかし他方では、従来の規範倫理学の諸類型に対し、倫理的述語の言語分析を課題とするメタ倫理学上の議論が中心となる。併せて、責任倫理やエコエティカ等、今日の倫理の新しい問題状況を展望したい。
○評価方法
出席状況(15%)、授業参画(15%)、リアクションペーパー(15%)、前期学期末試験(定期試験期間中)(55%)
○テキスト
小坂国継 / 岡部英男 (編著)『倫理学概説 (古代から現代まで)』 ミネルヴァ書房 2005年4月 初版
○参考書
アラスデア・マッキンタイアー『西洋倫理思想史 下』九州大学出版会 1985 / 1991年
加藤尚武『現代倫理学入門』講談社学術文庫 1267 1997 / 1999年
○必要な外国語
なし
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1 導入:西洋近代における倫理の基礎への問いと20世紀における倫理学の進
    展
  授業の進め方、グループ発表、学期末レポートについて
2西欧近代の道徳哲学 - 倫理の合理的基礎づけというプロジェクトと
            社会契約論(ホッブス、ロック、ルソー)
3 西欧近代の倫理学理論(1):義務論的倫理学 - カント -
4 西欧近代の倫理学理論(2):義務論的倫理学 - カントとフィヒテ -
5 西欧近代の倫理学理論(3):功利主義倫理学 - ベンサムとミル -
6 西欧近代の倫理学理論(4):古典的功利主義から今日の功利主義道徳へ
7 西洋近代の社会思想:①ヘーゲルからマルクスへ②自由主義とアナーキズ
           ム
8 20世紀の倫理思潮(1):プラグマティズム(実用主義)の倫理
9 20世紀の倫理思潮(2):実存主義の倫理と価値倫理学(マックス・シ
              ェーラー
10 20世紀の倫理思潮(3):責任倫理(ハンス・ヨナス)とエコエティカ
11 規範倫理と言語分析的なメタ倫理学(1)
12 規範倫理と言語分析的なメタ倫理学(2)
13 総括と展望:今日の新しい倫理学の諸問題

  

Copyright (C) 2006 Sophia University
By:上智大学 学事センター