2006年度上智大学シラバス

2006/03/20更新
◆文献講読ⅡA(ドイツ語) - (前)
長町 裕司
○科目サブタイトル
  Heidegger Lektüre ― (1)
○講義概要
20世紀以降の思考の動向に決定的影響を与えたドイツの哲学者、マルティン・ハイデガー(1889 - 1976)の『芸術作品の根源』(1935/36年)を
講読し、その哲学的内実から学ぶものへ向けての熟慮を重ねたい。1930年代後半におけるハイデガーの思索の道は、「転回 Kehre の思惟」として特徴づけられるが、その思惟の在りかたを最初に呈示したのがこの書(もとは、講演)であったと言える。存在するものの中で芸術作品という特異な存立を、ヨーロッパー近代美学による芸術へ接近法と捉え方を拒絶しつつ、≪真理生起の卓越した現出≫として究明するハイデガーの語りは、共にこの思索の道を歩む者に驚きと開眼をもたらす。授業はドイツ語原文の解釈と共に、参加者皆が問題そのものを捉えてゆけることを絶えず目指したい。
○評価方法
出席状況(20%)、授業参画(15%)、レポート(65%)
○テキスト
ハイデガーの生前に公刊された単行本の中でも、とりわけ著名な珠玉の中篇。本来、講演として起草されたもの(1935/36)であったが、それに序論的な部分が加筆され、現行のテキストでは3部構成になっている。正にこの時期に開拓の途に就いたハイデガーの「性起(Ereignis)-思索」が芸術作品における卓越せる真理生起に即して語り出されると共に、芸術作品の存在論的性格への問いが推し進められる。
Martin Heidegger "Der Ursprung des Kunstwerkes(1935/36)"  Reclam Verlag 1960
○参考書
四日谷 敬子『ハイデガーの思惟と芸術』世界思想社 1996年
北川 東子『ハイデガー 存在の謎について考える』NHK出版( シリーズ・哲学のエッセンス) 2002年
○必要な外国語
ドイツ語(中級程度)
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1導入: 今日の日本でハイデガーと共に思索すること
   (付)ハイデガー中期の思索の動向
授業の進め方、毎回のレポーターと学期末のレポートについて
2 テキスト読解と哲学的内容の吟味(1)
3 テキスト読解と哲学的内容の吟味(2)
4 テキスト読解と哲学的内容の吟味(3)
5 テキスト読解と哲学的内容の吟味(4)
6 テキスト読解と哲学的内容の吟味(5)
7 テキスト読解と哲学的内容の吟味(6)
8 テキスト読解と哲学的内容の吟味(7)
9 テキスト読解と哲学的内容の吟味(8)
10 テキスト読解と哲学的内容の吟味(9)
11 テキスト読解と哲学的内容の吟味(10)
12 テキスト読解と哲学的内容の吟味(11)
13 『芸術作品の根源』第一部・第二部を巡っての総括ディスカッション

  

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