2006年度上智大学シラバス

2006/02/28更新
◆自然人類学Ⅰ - (前)
乘越 皓司
○科目サブタイトル
霊長類学
○講義概要
自然人類学IおよびIIの講義では、霊長類学の立場から人間の社会や行動の独自性を次の4つの側面から進化学的に講ずる。1)霊長類の多様な社会構造と人間家族の起原、2)動物のコミュニケーションと類人猿の「言語」研究、3)人類進化、4)動物の道徳類似行動(あるいは倫理)、愛情、自己意識など。前期の自然人類学Iでは1)および2)を後期のIIでは3)および4)を行う。動物行動の理解を深めるため、アフリカや東南アジアでの調査経験をふまえて、ビデオや写真等の映像資料を多用する。
○評価方法
リアクションペーパー(20%)、前期学期末試験(定期試験期間中)(80%)
○テキスト
テキストは使用しない。
講義資料を適宜配付する。
○参考書
河合雅雄著『人間の由来、小学館 1992
江原昭善編『サルはどこまで人間か』、小学館 1989
スー・サベージ・ランバウほか著『人と話すサル カンジ』、講談社 1997
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1イントロダクション、霊長類の社会構造(1)ニホンザルの生態(複雄複雌の母系血縁社会、順位制、インセスト回避機構、文化的行動)、ビデオ(樹の上の生活)
2霊長類の社会構造(2)インドの聖なるサル・ハヌマンラングール(単雄複雌の母系血縁集団、群れ乗っ取りと子殺し、繁殖成功)
3霊長類の社会構造(3)樹冠の家族社会・テナガザル(family formation、子供の独立と両親の支援)、ビデオ(テナガザルの家族)
4霊長類の社会構造(4)大型類人猿(オランウータン、ゴリラ、チンパンジー)の社会、チンパンジーの社会的知能
5霊長類の社会構造(5)霊長類社会の進化と人間家族の起源、リアクションペーパー
6霊長類の社会構造(6)リアクションペーパーの解説、まとめ
類人猿の「言語」研究(1)イントロダクション、
7類人猿の「言語」研究(2)ビデオレポート「動物はどこまで考えるか -- 天才ザル カンジ君に続け」
8類人猿の「言語」研究(3)ビデオオレポートの解説、動物の「言語」実験(オウム、アシカなど)
9類人猿の「言語」研究(4)類人猿の「言語」能力(言語の取得、ヒトとの比較、など)
10類人猿の「言語」研究(5)類人猿の知的能力、心の理論
11類人猿の「言語」研究(6)言語の起源(人類進化、石器技術、社会関係、意識、文化)、リアクションペーパー
12リアクションペーパーの解説、まとめ
動物のコミュニケーション(1)動物のコミュニケーションの特徴、小鳥の歌声(本能と学習)
13動物のコミュニケーション(2)チンパンジーのコミュニケーション

  

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