2006年度上智大学シラバス

2006/02/22更新
◆民事執行・保全法 - (後)
原 強
○講義概要
本講義では、民事執行手続・民事保全手続の基本構造、基本概念を確認しながら、理論上・実務上問題となっている事項を中心に、実際の判例や実務での取扱いに十分に配慮しつつ講義する。
 なお、講義は、なるべく多くの判例やさまざまな設例をもとにして、双方向授業(一部質疑応答形式)を通して行われ、単に民事執行法・民事保全法に関する知識の教授だけではなく、事案分析能力、法適用能力、個別具体的な事案に対する問題解決能力の涵養をも目指す。
○評価方法
授業に対する取組み(質疑応答含む)、最終筆記試験などを総合的に評価して行う。なお、上記評価対象項目における評価比率の一応の目安は、3:7である。
○テキスト
中野貞一郎編『民事執行・保全法概説〔第2版増補版〕』 有斐閣、2004年
○参考書
中野貞一郎『民事執行法〔新訂四版〕なお、本書は、現在改訂中とのことである。』青林書院
○他学部・他学科生の受講

○授業計画
1民事執行法の構造と機能
 権利実現過程における民事執行の位置付け、金銭執行と非金銭執行、包括的執行制度である倒産手続との関係などの説明とともに、民事執行の全体像を把握できるように講義する。
2執行機関、執行抗告・執行異議
 民事執行の担い手である執行機関(執行裁判所及び執行官)のほか、執行機関の行為に違反がある場合の当事者の救済に関する執行抗告・執行異議を中心に講義する。
3強制執行の要件と手続(1)   
 強制執行を起動させるための文書ともいえる、債務名義の意義・種類、債務名義を争う方法としての請求異議訴訟(異議事由・手続)、さらには執行文の意義・付与手続を中心に講義する。
4強制執行の要件と手続(2)
 強制執行の申立て、開始の要件、一旦開始された強制執行の停止・取消し、強制執行の終了、不当執行と違法執行を中心に講義する。
5金銭執行(1)-差押え 
 いわば強制執行の第一段階ともいえる差押えの意義・方法、差押えの効力、さらには差押財産と第三者の権利の調整としての第三者異議の訴えを中心に講義する。
6金銭執行(2)-換価 
 差押物を金銭化する、いわば強制執行の第二段階ともいえる換価の手続を、不動産等・動産の売却、強制管理、債権の取立てと転付の三つの類型に分けて、対比しながら講義する。
7金銭執行(3)-配当
 いわば強制執行の最終段階=金銭債権実現の局面である配当の手続について講義する。
8非金銭執行  
 実現されるべき債権が金銭の支払を目的とするものではない場合の強制執行としての、不動産・動産の引渡し、作為(代替的及び非代替的)・不作為の執行・意思表示義務の執行について、それぞれの特徴と差異に注意しながら講義する。
9担保権実行その他  
 担保権の実行としての競売につき、強制執行の場合と対比しつつ、開始要件、法定文書、担保権実行に対する救済方法及び手続の停止・取消し、差押え、換価、満足などを中心に講義する。
10民事保全の構造と機能 
 権利実現過程における民事保全の位置付けに注意しながら、民事保全の構造と機能などを中心に講義する。
11仮差押え  
 仮差押命令に関する手続(要件、管轄、申立て、審理、裁判、不服申立て、保全異議・保全抗告と保全執行停止命令、仮差押命令の取消し)と、仮差押えの執行に関する手続(開始要件、執行方法、効力、執行停止・取消し、本執行への移行)を中心に講義する。
12仮処分 
 仮処分命令に関する手続(要件、管轄、申立て、審理、裁判、仮処分解放金、仮処分の種類、仮処分の限界)と、仮処分の執行に関する手続(開始要件、執行方法、効力等)を中心に講義する。
13総合演習(1)
 総合演習問題を通して、民事執行・保全法における基本的概念を正確に理解していることの確認と、本講義の目標でもある、事案分析能力、法適用能力、個別具体的な問題解決能力が涵養されているかを確認する。
14総合演習(2)
 総合演習問題を通して、民事執行・保全法における基本的概念を正確に理解していることの確認と、本講義の目標でもある、事案分析能力、法適用能力、個別具体的な問題解決能力が涵養されているかを確認する。
15定期試験

  

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