2006年度上智大学シラバス

2006/02/24更新
◆知的財産権法Ⅱ - (後)
駒田 泰土
○講義概要
法科大学院はアメリカのロースクールにならって設立されたが、新司法試験はアメリカのバーエグザムのようにやさしくはなく、しかも合格者も(当初の予定とは違って)大幅な増員はなされないようなので、いきおい法科大学院生は、受験科目であればペーパーテストへの対応を、受験科目でなければ効率のいい単位取得を求めざるをえない。すなわち、実態はアメリカのロースクールとは全く異なる。

今年度も基本的にはレクチャースタイルで臨もうと思う。ただし、ケースメソッドもやれる範囲で実験的に取り入れてみるつもりである。それはやはり、ある程度判例を知らずして、法の機能や内容を的確に理解することは難しいと考えられるからである。

本講義は、新司法試験検討会が先ごろ明示した試験科目である特許法・著作権法のうち、特許法をとりあげてその全体的把握に努める。まず、発明要件や特許要件、先願主義、特許権の内容とその制限等、特許法の概念、構造、制度についてひととおりの講義を行う。この分野は社会情勢によって常に変動しているので、最新のトピックについては特別にこれを解説・敷衍する時間を設ける。
○評価方法
出席状況(20%)、授業参画(10%)、後期学期末試験(定期試験期間中)(70%)
基本的に板書を多くし、試験も板書の範囲から出題する。
○テキスト
弘文堂より刊行予定の『ケースブック 知的財産権法』
○参考書
渋谷達紀『知的財産法講義Ⅰ』有斐閣・2004年
高林 龍『標準特許法[第二版]』有斐閣・2005年
仙元隆一郎『特許法講義[第四版]』悠々社・2003年
○他学部・他学科生の受講

○ホームページURL
http://pweb.sophia.ac.jp/~komada-y/
○授業計画
1特許法における先願主義と先発明主義の違いについて説明する。
2自然法則利用の要件等、発明要件について説明する。
3ソフトウエア関連発明(ビジネス方法特許を含む。)について説明する。
4特許要件のうち、産業上の利用可能性、新規性について説明する。
5治療方法発明をめぐる近時の議論及び生物関連発明など医療、バイオの世界の特許保護をめぐる論点について検討する。
6特許要件のうち、進歩性について説明する。
7先願主義の下で発生するさまざまな問題とそのための規制を概観する。
8特許を受ける権利について説明する。
9職務発明をめぐる権利の帰属、近時の裁判例について説明する。
10特許権の存続期間及び延長登録制度について説明する。
11特許権の効力について説明する。どのような行為が「実施」に該当するのか、どこまで特許権の効力が及ぶのかについての論点をいくつか検討する。
12試験や研究のためにする実施、医薬品の調剤行為や特許権の消尽等、特許権が制限され合法とされる実施行為について説明する。
13特許発明の技術的範囲を確定するアプローチ、均等論等について説明する。

  

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